コロナの流行に関わらず「働き方」「生き方」が劇的に変化しているこの時代。企業における「学び方」はどう変化していくべきか。以前から「オンライン教育」の必要性を認識し、取り組みを続けてきたファンケルに話を聞いた。
株式会社ファンケル
1980年創業。無添加化粧品、健康食品の研究開発、製造および販売を行う。「ファンケル大学」と名づけられた独自の教育部門を持ち、理念教育、専門家集団の育成、次世代経営層育成を行っている。
資本金:10,795百万円
従業員数:1,055名(2020年3月時点)
集合・対面からオンラインへ――新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、企業研修の在り方は大きく変わりつつあるが、本来、「教育のオンライン化」は、コロナ対応という文脈だけで対症療法的に論じられるべき課題ではない。現に、コロナ以前から、その必要性を認識していた企業も多くある。その1つが、無添加化粧品や健康食品などの製造・販売を手がけるファンケルだ。
同社では「ファンケル大学」と名づけられた社員教育専任部門の主導により、今年(2020年)4月の新入社員研修から本格的にオンライン研修を導入。以来、他の様々なプログラムへの応用・拡大を加速させてきた。ファンケル大学教育企画部教育企画運営グループ課長の小野琴理氏は、「仮にコロナがなかったとしても、私たちはオンライン化に動いたでしょう。従来の手法には限界を感じていましたから」と振り返る。小野氏のいう“限界”とはどういうことか。
ファンケル大学は2013年6月、それまで各部門が担っていた教育機能を集約し、創業の理念を継承・発展させる人材育成の拠点として東京・新橋に創設された。本社から工場、研究所、店舗や通販のコールセンターまで、全国に展開する3,000名以上の従業員への教育を小野氏らが一手に担う形だ。
「以前はもちろん集合研修がメインだったので、各地の社員にこちらへ集まってもらうか、私たちが出向くかしかありません。いずれにせよ、遠方となると交通費や宿泊費などのコストがかかりますし、準備の手間や時間もとられる。研修プログラムが多岐にわたる分、そうした課題感が年々強まり、一部でもオンラインに移行できないかと模索するようになりました」
昨年、試験的に一度チャレンジしてみたが、参加した社員に感想を聞くと、集合形式に慣れているせいか、オンラインより直接会って受講するほうがいい、という声が多かった。「現場の抵抗感を考えると、なかなか本格導入には踏み切れずにいた」と、小野氏は打ち明ける。
その意味では、コロナ禍という想定外の事態が大きなきっかけになったことは間違いない。2、3月の感染拡大初期には当面の研修活動を自粛したが、早期終息の見通しが立たないことから、ファンケル大学内で議論を重ね、これを機に今春の新入社員研修から本格的にオンライン化を進めると決断したのだ。
「意思決定の決め手は次の2つでした。まず何よりもスタッフの安全・安心が優先されるべきだということ。研修のために集まったり、移動したりして感染したのでは元も子もありません。そしてもう1つは、こういう状況だからこそ学びを止めない、在宅勤務へのシフトは学びの好機にもなりうるということです。この2つの軸が明確になったことで、今後はオンラインで行おうと覚悟が決まりました。やむを得ない苦肉の策という感じではなく、私の中では、むしろピンチをチャンスに変える、ポジティブな選択でしたね」
Withコロナにおける同社とファンケル大学の姿勢を物語るエピソードを紹介したい。オンラインでの新入社員研修を2ヵ月間実施した後、ある新入社員が社内のアンケートにこう答えたのだ。
〈自分たちのために日々研修スケジュールを調整し、オンラインで試行錯誤でも研修をしてくださったことへ感謝の気持ちが湧き、早く会社に貢献したいと感じた〉
他の新入社員からも同様のコメントが多数寄せられたといい、小野氏も「こちらが感動するぐらいうれしい反応ばかりだった」と手応えを語る。新入社員研修をオンラインで実施したことにより、彼らの会社に対するロイヤルティーは例年以上に高まったようだ。それはいったいなぜなのか。
「最初の頃は正直なところ、明日のスケジュールがどうなるかもわからないという日が続きました。たとえば緊急事態宣言が出るのか出ないのか、それによって研修の内容も流れも変わってくる……みたいな。でも、こういう時期だからこそ、バタバタしたところも含めて会社の実情を、新人たちにもいままでにないほど正直に、誠実に説明するように努めたのです。教育担当者だけでなく人事部の部長や、時には社長までが直接語りかけることもありました。結果的に、それがよかったのではないでしょうか。急な予定変更もしょっちゅうでしたが、彼らも状況を理解しているので、逆に『自分たちのためにギリギリまで調整してくれた』と会社への感謝や信頼感につながったようです」
非常時こそ、社員と誠実に状況を共有すべき――小野氏自身もこの経験から貴重な学びを得たという。
しかし、ロイヤルティー向上の要因はそれだけではない。新入社員研修のプログラム自体は通常どおりだが、今回、オンラインで実施するにあたり、小野氏と教育チームは受講者への接し方やコミュニケーションのスタンスを大きく見直したのだ。
「昨年、あるイマドキの若手社員の意識に関するセミナー※を受講して、目からウロコが落ちるぐらい刺激を受けました。弊社にも“昭和の教え方”みたいなものがまだ残っていて、それがイマドキの若手とミスマッチを起こしているのではないかと、ずっと気になっていましたから。もっと彼らの特性を理解し、こちらから歩み寄るスタンスに切りかえてみたのです」
※こちらから同内容のセミナーレポートがご覧になれます。
https://jhclub.jmam.co.jp/mypage/seminar/seminarreport_EV00034824.html
従来は、研修で遅れなどが目立つと、厳しく指導していたという。しかし今回は、本人の内省を促し、自ら問題に気づくような関わり方を心がけた。「オンラインでもそれができた……というより、むしろ画面越しのオンラインだからこそ、一歩引いてより冷静にコミュニケーションできたのかもしれません」と小野氏。eラーニングの確認テストなども活用しつつ、一方通行にならないようにアウトプットを重視したことで、肝心の理解度も例年の集合研修と同レベルを達成できた。
コロナ禍の出口が見えないなか、新入社員研修でオンライン化に手応えをつかんだファンケル大学では、他の様々な取り組みについても順次導入を進めている。7月に行った「新任役職者研修」もその1つ。管理監督者に必要なマネジメントの知識や人材育成のスキルを習得する研修で、従来は集合形式で実施していた。
「チームに分けてディスカッションを行ったり、部下とのコミュニケーションの取り方をロールプレイングで体感したり、そういう学びもオンラインで問題なくできました。今後、ビジネスの現場では、役職者にもオンラインでのコミュニケーション力が求められるでしょう。でも、その世代には、対面とオンラインとで本人の印象が違うという人が意外に多い。実際に会うと明るくて好印象なのに、画面越しだと妙に堅苦しく見えたりする人が結構います。オンラインでは意識的に表情を明るく、アクションや頷きも大きめにするなど、そういうトレーニングが同時にできたのもよかったですね」(小野氏)
デジタルネイティブの若手社員と違い、オンラインの環境やツールそのものに慣れず、自在に使いこなせないというベテランも珍しくない。実際、役職者研修の受講者に対するアンケートでは、「最初はオンラインで行うことに不安があった」との声も多かった。そんな不安を和らげるのに役立ったのが、ファンケル大学が社内向けに配信している「大学通信」。教育に関して自社がどういう取り組みを行っているかを周知・浸透させるための広報ツールである。
「私たちにできるのは、社員が自ら学ぶためのしくみづくりやきっかけづくりですが、『大学通信』で仲間が学ぶ姿を広く発信し、学習意欲を刺激する活動もその1つと考えています。集合研修からオンライン化への移行についても、社長のメッセージを掲載して方針を明確に示し、実際のオンライン研修のやり方や新人たちがいち早くそれに取り組んでいる様子を具体的に紹介しました。結果、既存社員に潜在していた抵抗感も少なからず払拭できたと考えています」
また、同社ではもともと「自己革新セミナー」と呼ばれるリベラルアーツ系の研修も実施していたが、5月にはそのオンライン版の第一弾として、任意参加の「ワインセミナー」を開催。専門家を講師に招き、各自で用意したぶどうの品種の異なるワインを飲み比べながら感想をシェアするという内容で、受講者には「ステイホーム期間ならではの企画で楽しかった」「また実施してほしい」と好評を博した。
これ以外にも、ファンケル大学が実施する研修メニューは多岐にわたるが、現在、その9割がオンライン化されている。本社だけでなく、各地の店舗スタッフへの教育についてもすでに導入を開始。専門性の高い接客技術が求められるだけに、他の研修以上に集合・対面でないと難しいのでは、との懸念もあったが、実際にオンラインで行ってみたところ、研修目的の達成度など集合研修と比べても遜色なかったという。
そこに、未曽有の事態と向き合いながら、研修の構築・運営を牽引した小野氏らの創意工夫があったことは論を俟たない。もちろん最初からすべて準備できていたわけではなく、まずやってみて、走りながら考えた。研修を実施していくなかでオンラインならではのポイントやメリットに気づき、それをブラッシュアップして、他の研修にも応用する。「現在もその繰り返しで進めています」と語る小野氏に、最も大きな気づきは何かとたずねてみた。
「最初はオンライン研修も集合と同じで、講師と受講者の関係性は『1対多』だと思っていました。だから、“多”の中には授業中の生徒のように、どうしても集中できない受講者もいるだろうなと。でも、やっているうちに、オンラインは『1対多』ではなく、『1対1』の関係が受講者の人数分だけある。つまり『1対1×人数』なんだとわかってきました。受講する側からすると、それぞれが講師とマンツーマンになっていて、もしかしたら集合よりもこちらの思いが伝わりやすいのかもしれません。在宅だと他の受講者もその場にいないし、自分だけに語りかけられているような感覚がありますからね」
この気づきはオンライン化への確信を深めるとともに、オンラインならではの独自のルールの構築にもつながった。それは「オンライン研修で成果を出すには、いかに“オフライン”をうまく入れるかがポイント」だということである。
各自が別々の場所にいることは、決してデメリットばかりではない。集合研修と違い、受講者にとっては周囲の視線や進捗が気にならない分、内省が促され、自己学習が深まりやすい環境といえるからだ。そこで、オンラインの接続を切って“オフライン”にすれば、完全に自分だけの時間になる。
「特に終日続く新入社員研修では、オンとオフの時間を交互に入れるように心掛けました。オンラインでインプットを行った後、一旦オフラインにしてインプットの内容を各自で内省・自己学習し、さらにオンラインで発表などのアウトプットにつなげる――という流れが徐々に確立されていきました。接続を切ってしまえば、私たちの管理は及びませんが、社員を信じてオフラインの時間をあえて入れています。でも、学びにはそういうメリハリがすごく大切だと思います」
ファンケル大学では、決してオフラインの集合研修自体を否定しているわけではない。小野氏も、「それぞれの手法の良さを理解したうえで、研修の目的に合わせて、最大限の効果が得られる学びの環境やしくみを提供することが私たち人材育成部門の使命」だと強調する。先述したとおり、かつては集合研修に慣れきっていたせいか、変化を嫌い、オンライン化に抵抗する雰囲気が同社の中にもあった。しかし若い世代を中心に、仕事に対する「考え方」や「働き方」が劇的に変わりつつあるなかで、「学び方」だけが現状に甘んじていいはずがない。
「最近強く感じているのは、ビジネス環境の凄まじい変化に対応するためには、学びのスピード=成長のスピードを上げていかなくてはいけないということです。いままでと同じやり方にこだわっていては、いままでと同じ成長度合いしか望めません」
場所と時間に縛られないオンライン研修はもちろん、将来的にAIやデジタル技術などを活用することで、教育にもいわゆる“DX”(デジタル・トランスフォーメーション)が起こり、新しい発想を生み出せる人材がもっと速く育つようになるかもしれない。「私たちが固定観念にとらわれて、その機会を奪ってはいけないと、肝に銘じているところです」と、小野氏は力を込めた。人材育成部門の変化こそが、社員の成長に結びつく鍵なのかもしれない。
[取材・文]=平林 謙治
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組込みソフトウェアを手がけるイーソルでは新卒を毎年採用し、手厚い研修制度で未経験者からプロのエンジニアに育て上げる。2020年はリモート環境下であっても、例年と変わらぬレベルで育成を進めたという。どのような工夫を施し、難局を乗り切ったのか。
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1943年に設立された米国タレント開発協会(ATD、旧ASTD)は、毎年国際大会を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、急遽リアルカンファレンスを中止しヴァーチャルに変更。 2020年6月1日から5日にかけて開催し、その後3カ月間、アーカイブを公開した。 最終的に5人の基調講演を含む38のライブセッションと148のアーカイブ動画等で構成され、71カ国から4,500人が参加したという。 本稿では、ラーニングの転換に参考になる3つの講演のダイジェストを紹介する。
新型コロナウイルスの感染拡大により、OJTなどの企業内教育もオンラインへの転換を余儀なくされている。オンラインでどのようにOJTを行うのか。メンターや上司はどう関わっていけばいいのか。人事・人材開発担当者ができる支援とは。 新入社員研修に続き、オンラインでのOJTを支援している三井物産人材開発に話を聞いた。
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弊社、日本能率協会マネジメントセンターの調査結果※によれば、「Withコロナ」において、マネジャーの意識や行動に3つの変化の傾向が見て取れた。本編に入る前に紹介しよう。 ※2020年は「イマドキの若手社員の仕事に対する意識調査」(6月実施)、2018年は「JMAM管理者実態調査」(9月実施)にて同項目の調査を行った。
2020年6月、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングが発表したレポートでは、「コロナ起点の人材マネジメントの課題分類と対応する施策」が整理されている。 マネジャーのマネジメントスタイル転換の方向性と、人材マネジメント課題解決における人事部門の役割や各施策を進めるうえでの注意点とは。執筆者2名に話を聞いた。
テレワークの長期化は、単に働く場所が変化するという話にとどまらない。 マネジャーの役割、評価の方法、さらには組織の在り方まで、その影響は多方面に波及する。 働き方の変化がとまることはない時代における、マネジメントと人事の役割とは。 同志社大学政策学部教授の太田肇氏に話を聞いた。
テレワークが前提のWith コロナ時代。 一堂に会しにくい状況下で、組織の力を高めることに難しさを感じる人もいるだろう。 その意味で、組織開発の重要性が高まっている。 そこで組織開発の研究者である中村和彦氏に、困難な状況下でも課題を乗り越え、新しいものやアイデアがどんどん生まれる職場をつくるマネジャーの在り方や、テレワークでの望ましい職場運営等について聞いた。
「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。 近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。 同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。
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新型コロナウイルスの感染拡大は、企業内研修の在り方に大きな影響を与えている。 多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行うなか、本田技研工業は早期に新入社員研修のオンライン化を決断・実施し、手応えを感じたという。 オンライン化の経緯や工夫、そして効果とは。
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プロ人材の活用(プロシェアリング)や新しい働き方を支援する久保田氏は「緊急事態宣言によって半ば強制的にテレワークに踏み切った企業が今後どう変革していくかに注目したい」と話す。個々の社員の多様な要望とマネジメントの意向とをどうすり合わせ、双方の成長につなげるか。ポイントを聞いた。
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新型コロナウイルスの影響で、この春に急遽テレワークを導入した企業も少なくない。けれども、本来望ましいテレワークのあり方とはどのようなものなのか。テレワーク研究の第一人者である比嘉邦彦氏に、前後編にわたり解説いただいた。
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2020年4月22日に開催された「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」。セッション1では、「オンラインによる人材育成・組織開発の新たな価値創造」と題して、リモート組織・トオラス代表の田原真人氏に登壇いただいた。本稿では、「人材育成のオンライン化」と「組織開発と集合知マネジメント」に関する田原氏の解説を紹介する。
2020年4月22日、「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。ここでは当日のセッション2、ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮森千嘉子氏の講演より、イノベーションを起こすチームづくりに欠かせない異文化対応力を磨き、文化の違いを活かすポイントを紹介する。本稿では当日の内容に加え、グローバルなテレワーク環境で信頼関係を築き、維持する具体的な方法についても加筆いただいた。
リモートワークには様々なメリットがある一方で、うまく活用できないとマイナス要因にもなりかねない。デジタルコンサルティング事業を行うプリンシプルでは4年前、「リモート経営」がうまくいかず業績が低迷。その原因分析と、成功に導くために行った改善策を聞いた。
デジタル人材、HRテック、ピープルアナリティクス、AR / VR 型トレーニング、AI 人事、エンプロイーエクスペリエンス――。デジタルテクノロジーの隆盛にともない、組織・人事領域でもデジタルにまつわる様々なBuzzword を耳にするようになりました。Buzzwordとは特定の分野で一定期間、話題になるものの、定義や意味が曖昧な用語を指します。「世の中で大きな変化が起こっているな」という感覚を抱いても――これがまさに“バズっている”状況といえますが――、変化に対応するため自社や自分にとってどんな打ち手が必要となるのか、具体的なイメージが描きにくいという人は多いかと思います。そこで本連載ではBuzzword に焦点を当て、用語の意味合いを解説するとともに、コンサルティング事例や先進活用例をもとに、各社の組織開発や人材開発の場面でBuzzwordを生かすヒントを紐解いていきます。
2020年現在、コロナウイルスが猛威をふるっている。多方面で大きな影響が出ており、私たちも、感染症の恐ろしさをあらためて実感させられることになった。いま一度感染症について考えてみたい。感染症とは、細菌やウイルスが体に入って増殖することにより起こる病気である。細菌は細胞をもつ生き物。一方、ウイルスは細胞をもたず、人や動植物の細胞の中に入って増殖していく。冬に感染症が多いのは、細菌やウイルスが、湿度も温度も低いところを好んで発生することが一般的だからだ。また、空気が乾燥していることで、ウイルスの体内への侵入を防ぐ役割をもつ人の粘液や体液の働きが低下する。そのため、人の体の抵抗力や体力が落ちやすくなり、冬は感染症のリスクが増えるのだ。
東京五輪・パラリンピックに向けて推奨されてきたテレワークによる在宅勤務は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、想定外のかたちで企業に浸透しつつあります。しかし、なかには拙速ともいえる導入事例も少なくありません。労務管理、マネジメントなど、人事はどう対応すべきでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大が世の中に暗い影を落としている。欧米において感染者が急拡大しており、日本でも(本稿執筆時点では)まだオーバーシュート、いわゆる急拡大には至っていないものの、感染者数は確実に増加トレンドにある。リーマンショックを超える衝撃とまで形容されるコロナショックはいったい、いつ収束を迎えるのか。気が気でない読者も多いだろう。
2020年5月4日、政府による緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、新型コロナウイルス感染者数の推移を慎重に見守りながら、前倒し解除の可能性も出てきた。とはいえ、完全に世の中が元に戻るのではなく、ウィズコロナ時代に突入するのは間違いない。働き方においては、宣言解除後も、リモートワークの引き続きの実施を中心に、「リモート+リアル」のバランスを取りながら、各社取り組んでいくことになるだろう。
2020年のゴールデンウイークは、近年誰も経験したことがない「人の大移動をともなわない」不思議な休暇期間となった。歓迎すべき事象ではないが、歴史にこの期間のことは刻まれるだろう。政府による緊急事態宣言も5月末まで延長された。今だからこそできることを模索し、実行していきたいと考えている(読書も1つの手段であることは間違いない)。
2020年4月22日、学びのオンライン化をオンラインで考えるイベント「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。本稿では、当日のセッション3、元ミネルバ大学日本連絡事務所長の山本秀樹氏の講演より、同校における、答えのない問題を解ける人材が育つオンライン授業とプロジェクト学習による教育法を先行事例として紹介する。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行っている。先が見えない状況が続くなか、企業内研修はどうあるべきか。オンライン化はどう進めていけばよいのか。「人材開発」「組織開発」を専門とする立教大学経営学部中原淳教授からの緊急提言をお届けする。