テレワーク研究の第一人者である、比嘉邦彦氏へのインタビュー後編。テレワークで課題となりがちなマネジメントのあり方や情報セキュリティーの考え方、またアフターコロナのテレワークの方向性について語っていただいた。
1988年州立アリゾナ大学経営・経営情報システム専攻でPh.D.を修得。同大学講師、ジョージア工科大学助教授、香港科学技術大学助教授などを経て1999年より現職。テレワークをメインに21世紀の情報システムのあり方、組織改革、地域活性化などについて、独自の観点で研究し続ける。日本テレワーク学会特別顧問、日本テレワーク協会アドバイザーを務めるほか、官公庁のテレワーク推進事業に関連した委員・委員長・評価委員などを多数務める。主な著書に『クラウドソーシングの衝撃』(インプレスR&D)など。
テレワークが功を奏している企業は、共通してマネジメントの仕方を変えています。しかしながら、部下のコンディションと仕事の状況の把握が大切なのは、対面でもテレワークでも変わらないでしょう。「テレワークだと、部下の管理ができない」と不満を述べる管理職もいますが、「自分は仕事を管理する能力がない」と言っているようなものです。
またテレワークを行う日の前後に業務計画書や報告書を提出させることも、“仕事”より“態度”の管理になりがちです。ましてや就業中は会議システムのカメラを常時ONにする、テレワーク用のマネジメントツールを導入して就業中のキーストローク(コンピューターのキーボード操作)の長さを計測する、デスクトップの画像をキャプチャして管理職に自動送信するといった“監視”行為は、コスト的な負担増となるばかりでなく、従業員に強いストレスを与え、モチベーションも生産性も下げることにつながりかねません。テレワークではリアルな場でのマネジメント以上に、上司と部下の信頼を築くことが重要なのです。
望ましいテレワーク・マネジメントの要素には、「能力やスキルに応じた適切なタスクの振り分け」「具体的な指示」「仕事の管理」が挙げられます。勤務態度や就労時間以上に、仕事の中身に目を向けることが重要なのです。
これを叶えるには、「タスクのチケット化」を行うことです。案件ごとに、「アウトプットのクオリティー」「必要なリソース」「メンバーのスキル要件」「期限」を明文化し、ワーカーとのマッチングを図っていきます。タスクの洗い出しにより仕事を部分的に切り出せるようになり、一人に過剰な負荷がかかることを防いだり、アサイン時のミスマッチを回避したりできます。また部下の職能を、客観的に測れるようになるのも大きな利点です。
そして意外かもしれませんが、テレワークはやり方次第で、オフィスワーク以上に業務プロセスの可視化が進み、業務の質が高まります。ある大手企業の営業所の例を紹介しましょう。
その営業所では、モバイルワークの導入を機に直行直帰を原則とし、営業所には毎週の定例会議の際に出社すればよいという形に変更しました。当初は大半の現場マネジャーが反対したそうです。外回りから戻って来た部下の表情を見て、報告を聞き、発破をかけることが自身の仕事だと認識していたからです。
ところが導入して3カ月ほどで、マネジャーたちの考えは変わります。営業所への移動時間が削られ、上司と顔を合わせない分、部下たちが提出するレポートの内容が充実していったからです。取引先で何を話し、どんな課題が見つかったのか。そして、今後打つべき施策は何かといった点が具体的に整理されるようになりました。なおかつ、レポートは商談の直後に記入されるため、マネジャーは以前よりも素早く、ほぼリアルタイムで状況をつかめるようになったのです。仕事の中身が見えれば、指示も具体的になります。営業成績は上がり、従業員のパフォーマンスも業務プロセスに基づいて評価できるようになったのは言うまでもありません。加えて文書化によって共有もしやすくなり、部員同士でアドバイスし合うようになったそうです。
適切な助言をもらえるようになると、部員たちも情報を隠すほうがマイナスだと感じるようになります。そのため報告の精度はますます上がり、文章力とともに要点をつかむ力も向上しました。さらに直接会える機会が限られることから、ミーティング自体の質も大幅にアップしたといいます。テレワークの導入がポジティブに機能した好例といえるでしょう。
ただし断っておきたいのですが、テレワークとオフィスワークは二項対立で語られるべきものではありません。たとえば今春の新入社員は、入社早々に在宅勤務を余儀なくされたところも多いと思います。オンラインで帰属意識を培うのは、簡単なことではありません。リアルな触れ合いによって、芽生える感情もあるはずです。
それにテレワークはリアルな場と違い、コミュニケーションの壁が生じがちです。ビジネスチャットやメールでいつでも連絡がとれる、すぐにビデオ会議を行える状態にするなどして、ネガティブなことも気軽に相談できる環境を整えておく必要があります。また一人で仕事をしていると孤独感に襲われ、メンタルが不安定になる人も出てきます。ビジネスチャットに雑談スレッドを立てる、フリートークのオンラインミーティングを開くなど、“遊び”を設けるとよいでしょう。
もう1つ、テレワークというと情報セキュリティーの確保が気になるところでしょう。けれども実際は、“テレワークだから”注意すべきという事項はほとんどありません。ほとんどの問題は社内にもともと潜んでいたセキュリティーリスクの顕在化、または従業員の情報リテラシーの不足によるものです。気になるようならテレワークを想定し、どこにセキュリティー上の不足があるのか洗い出してみることをおすすめします。そこで出てきたリスクは、おそらくテレワーク導入以前の問題であると気づくはずです。
そもそも情報漏洩などのインシデント(事件・事故)は、外部からの侵入よりも情報の持ち出しなど内部不正で起こる割合のほうが圧倒的に多い傾向にあります。社員の情報リテラシーを、教育で補うことも必要でしょう。個人のパソコンにもウイルス対策ソフトを入れて定期的にパソコンをスキャンする、カフェなどのFree Wi-Fiにはつながない、外部の人にPC画面を覗かれないようにする、モバイルルーターのセキュリティレベルを最高にするなど、基本的な扱い方を手厚くフォローすることで、守れることはたくさんあります。
またサーバーへのアクセス権も、リスクのレベルに応じて線引きすることがポイントです。たとえば、1)漏洩したら致命的なもの、2)アクセス権を限定するもの、3)従業員ならアクセスできるもの に大別します。1)はネットワーク上に置くこと自体が危険ですから、ネットワークから切り離したスタンドアロンで保管し、出社時にデータにアクセスします。2)は1)ほどではないものの機密性を持つもので、閲覧できる人を制限します。そして3)は、業務で頻繁に使用するものという具合です。
一律に制限をかけた結果、漏洩による経営リスクがほぼゼロのデータまで外部からアクセスできなくなり出社せざるを得ないというのであれば、テレワークを取り入れたところで非効率な働き方になりかねません。また情報の鮮度も考慮すべきです。大学の場合だと、入試の合格発表の情報は発表日まで絶対外に漏れてはならないので1)にあたりますが、公表後は3)でも差し支えないものになるはずです。
今回の新型コロナウイルスの影響により、入念な準備を行えないまま全社的なテレワークに舵を切った一方で、有用性を確認できた企業も多いのではないでしょうか。日本は台風や地震など自然災害のリスクが高い国ですから、BCP(事業継続計画)の観点からもテレワークの整備は必須といえます。けれども大手企業の多くは、米国Twitter社のように標準的な勤務スタイルとしてテレワークを恒久的に認めるレベルには至っていないようです。
しかしイレギュラーな勤務形態としてのテレワーク制度では、前編で解説した経営のメリットはなかなか実感できないでしょう。オフィスを縮小できず月々の固定費は変わらないうえ、テレワークの整備が加わり余計にコストがかかるからです。それにテレワークの対象者が一部に限られると、電話の取次ぎなどのオフィス業務を出社した人が肩代わりすることになるため、その人たちの生産性が下がってしまいます。本気でテレワークに取り組むのであれば、大胆で思い切った判断が必要なのです。
そしてテレワークに合わせたマネジメントが定着するまでは、生産性は一時的に少し下がる可能性もあります。半年から1年ほどは様子を見て、結果を急ぎ過ぎないことも重要です。長い目で見れば費用対効果は十分に得られますから、ぜひ腰を据えて取り組んでほしいと思います。
いずれにせよ日本にテレワークが浸透する鍵は、チャンピオン(第一人者)の登場にかかっています。コロナ騒動をきっかけに本格的に取り組んだ企業が一定の成果を上げれば、2、3年以内に後に続く企業が現れるのではないでしょうか。そこで大きな波が訪れれば、一気に一般化する可能性もあります。
AIの発達やデジタルトランスフォーメーションにより、将来的に人々の働き方は確実に変わるはずです。テレワークは次世代型ワークスタイルの第一歩であることからも、ぜひチャンピオンの登場に期待したいですね。
[取材・文]=田邉泰子
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組込みソフトウェアを手がけるイーソルでは新卒を毎年採用し、手厚い研修制度で未経験者からプロのエンジニアに育て上げる。2020年はリモート環境下であっても、例年と変わらぬレベルで育成を進めたという。どのような工夫を施し、難局を乗り切ったのか。
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1943年に設立された米国タレント開発協会(ATD、旧ASTD)は、毎年国際大会を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、急遽リアルカンファレンスを中止しヴァーチャルに変更。 2020年6月1日から5日にかけて開催し、その後3カ月間、アーカイブを公開した。 最終的に5人の基調講演を含む38のライブセッションと148のアーカイブ動画等で構成され、71カ国から4,500人が参加したという。 本稿では、ラーニングの転換に参考になる3つの講演のダイジェストを紹介する。
新型コロナウイルスの感染拡大により、OJTなどの企業内教育もオンラインへの転換を余儀なくされている。オンラインでどのようにOJTを行うのか。メンターや上司はどう関わっていけばいいのか。人事・人材開発担当者ができる支援とは。 新入社員研修に続き、オンラインでのOJTを支援している三井物産人材開発に話を聞いた。
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弊社、日本能率協会マネジメントセンターの調査結果※によれば、「Withコロナ」において、マネジャーの意識や行動に3つの変化の傾向が見て取れた。本編に入る前に紹介しよう。 ※2020年は「イマドキの若手社員の仕事に対する意識調査」(6月実施)、2018年は「JMAM管理者実態調査」(9月実施)にて同項目の調査を行った。
2020年6月、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングが発表したレポートでは、「コロナ起点の人材マネジメントの課題分類と対応する施策」が整理されている。 マネジャーのマネジメントスタイル転換の方向性と、人材マネジメント課題解決における人事部門の役割や各施策を進めるうえでの注意点とは。執筆者2名に話を聞いた。
テレワークの長期化は、単に働く場所が変化するという話にとどまらない。 マネジャーの役割、評価の方法、さらには組織の在り方まで、その影響は多方面に波及する。 働き方の変化がとまることはない時代における、マネジメントと人事の役割とは。 同志社大学政策学部教授の太田肇氏に話を聞いた。
テレワークが前提のWith コロナ時代。 一堂に会しにくい状況下で、組織の力を高めることに難しさを感じる人もいるだろう。 その意味で、組織開発の重要性が高まっている。 そこで組織開発の研究者である中村和彦氏に、困難な状況下でも課題を乗り越え、新しいものやアイデアがどんどん生まれる職場をつくるマネジャーの在り方や、テレワークでの望ましい職場運営等について聞いた。
「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。 近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。 同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。
情報機器大手のコニカミノルタの国内事業会社であるコニカミノルタジャパンでは、2013年に働き方を見直すためのプロジェクトをスタート、2017年からは全社員を象にテレワークを解禁し、オフィスにしばられないワークスタイルを広めてきた。 さらに2020年、新型コロナウイルス感染症対策のため、在宅勤務を原則とする働き方にスイッチ。 そこで見えてきた新たな課題と傾向、そしてテレ・マネジメントのポイントについて、人事部トップの伊崎公司氏に話を聞いた。
「成果主義から成長主義へ」をコンセプトに、人事制度改革を進めてきた博報堂。 部下の成長の鍵を握るマネジャーを、様々な施策で支援してきた。 同社で人材育成に長年携わってきた白井剛司氏は「これらの施策は、With コロナ・マネジメントにも活きる」と話す。 コロナ禍においてマネジャーをどう支援していけばいいか、また今後どのように支援しようとしているか、話を聞いた。
多くの企業でリモートワークが広がるなか、チームワークの難しさが課題となっています。 『リモートチームでうまくいく』(日本実業出版社)の著書でもある倉貫義人さんにリモートワークでGood Team をつくる方法について聞きました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業内研修の在り方に大きな影響を与えている。 多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行うなか、本田技研工業は早期に新入社員研修のオンライン化を決断・実施し、手応えを感じたという。 オンライン化の経緯や工夫、そして効果とは。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、各企業が積極的にテレワークを導入することとなった。今後もテレワークを実施する企業は増えると思われるが、テレワークの実施にあたり留意すべき法的問題点は少なくない。本稿ではテレワークにおける労働時間管理とサイバーセキュリティについて留意すべき点を取り上げる。
コロナウイルスという現時点で終わりが見えない巨大な敵は、世界そして日本の経済にも大きな打撃を与えている。とはいえ、経済活動を止めるわけにもいかず、当面、国策も企業政策も試行錯誤が続いていく。そんな最中、2020年7月3日開催の首相官邸「未来投資会議」において、新たな「成長戦略実行計画案」が示された。
政府による緊急事態宣言解除後、気がつけばほぼ毎日出社している。本当は、リモートワークの旗振り役にならなければならないのだが、リアルの面談も少しずつだが復活してきており、致し方ないところだ(と自分をなぐさめている)。通勤電車でも、ビフォーコロナに戻ったとは言わないものの、8割方乗客数が復活している気がする。JR東日本では、電車の混雑状況をリアルタイムで顧客に届けるアプリを開発し、首都圏主要路線での展開を進めている。それにしても実に便利な時代である。
内閣府の「景気ウオッチャー調査」を以前から足元景気を見る際に参考にしている。コロナショック後、よくメディアでも取り上げられるようになったのだが、小売店やサービス業の店主・店員やタクシードライバー等の方々に、全国地域別に調査をして取りまとめている報告書であり、コメントが生々しく、今が有事であることを実感させられる。
プロ人材の活用(プロシェアリング)や新しい働き方を支援する久保田氏は「緊急事態宣言によって半ば強制的にテレワークに踏み切った企業が今後どう変革していくかに注目したい」と話す。個々の社員の多様な要望とマネジメントの意向とをどうすり合わせ、双方の成長につなげるか。ポイントを聞いた。
新型コロナウイルス感染症拡防止策としての緊急事態宣言は、日本経済に深刻な影響を与えた。まさに“コロナ・ショック”である。日々刻刻と状況は変化し予測も難しいなか、マクロ経済的には、国や企業にどのような政策・施策が求められるのか。エコノミストの永濱利廣氏に話を聞いた。
感染症拡大で、キャリア観や働き方も転換を迫られている。先行き不透明な状況の中で、私たちはいかに働き、キャリアを築いていけばいいのか。そして、企業はいかに社員をサポートすればいいのか。雇用や人的資源管理を専門とする法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授に、Afterコロナ・Withコロナ時代のキャリア観について聞いた。
テレワーク研究の第一人者である、比嘉邦彦氏へのインタビュー後編。テレワークで課題となりがちなマネジメントのあり方や情報セキュリティーの考え方、またアフターコロナのテレワークの方向性について語っていただいた。
新型コロナウイルスの影響で、この春に急遽テレワークを導入した企業も少なくない。けれども、本来望ましいテレワークのあり方とはどのようなものなのか。テレワーク研究の第一人者である比嘉邦彦氏に、前後編にわたり解説いただいた。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務等が増加する中、研修についてもオンラインでの実施の増加が見込まれる。オンラインで研修を実施するにあたっては、研修資料の作成及び研修の実施に関して、著作権法、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)に注意するほか、情報セキュリティへの配慮も必要である。下記にポイントを記す。
2020年4月22日に開催された「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」。セッション1では、「オンラインによる人材育成・組織開発の新たな価値創造」と題して、リモート組織・トオラス代表の田原真人氏に登壇いただいた。本稿では、「人材育成のオンライン化」と「組織開発と集合知マネジメント」に関する田原氏の解説を紹介する。
2020年4月22日、「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。ここでは当日のセッション2、ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮森千嘉子氏の講演より、イノベーションを起こすチームづくりに欠かせない異文化対応力を磨き、文化の違いを活かすポイントを紹介する。本稿では当日の内容に加え、グローバルなテレワーク環境で信頼関係を築き、維持する具体的な方法についても加筆いただいた。
リモートワークには様々なメリットがある一方で、うまく活用できないとマイナス要因にもなりかねない。デジタルコンサルティング事業を行うプリンシプルでは4年前、「リモート経営」がうまくいかず業績が低迷。その原因分析と、成功に導くために行った改善策を聞いた。
デジタル人材、HRテック、ピープルアナリティクス、AR / VR 型トレーニング、AI 人事、エンプロイーエクスペリエンス――。デジタルテクノロジーの隆盛にともない、組織・人事領域でもデジタルにまつわる様々なBuzzword を耳にするようになりました。Buzzwordとは特定の分野で一定期間、話題になるものの、定義や意味が曖昧な用語を指します。「世の中で大きな変化が起こっているな」という感覚を抱いても――これがまさに“バズっている”状況といえますが――、変化に対応するため自社や自分にとってどんな打ち手が必要となるのか、具体的なイメージが描きにくいという人は多いかと思います。そこで本連載ではBuzzword に焦点を当て、用語の意味合いを解説するとともに、コンサルティング事例や先進活用例をもとに、各社の組織開発や人材開発の場面でBuzzwordを生かすヒントを紐解いていきます。
2020年現在、コロナウイルスが猛威をふるっている。多方面で大きな影響が出ており、私たちも、感染症の恐ろしさをあらためて実感させられることになった。いま一度感染症について考えてみたい。感染症とは、細菌やウイルスが体に入って増殖することにより起こる病気である。細菌は細胞をもつ生き物。一方、ウイルスは細胞をもたず、人や動植物の細胞の中に入って増殖していく。冬に感染症が多いのは、細菌やウイルスが、湿度も温度も低いところを好んで発生することが一般的だからだ。また、空気が乾燥していることで、ウイルスの体内への侵入を防ぐ役割をもつ人の粘液や体液の働きが低下する。そのため、人の体の抵抗力や体力が落ちやすくなり、冬は感染症のリスクが増えるのだ。
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新型コロナウイルス感染症の拡大が世の中に暗い影を落としている。欧米において感染者が急拡大しており、日本でも(本稿執筆時点では)まだオーバーシュート、いわゆる急拡大には至っていないものの、感染者数は確実に増加トレンドにある。リーマンショックを超える衝撃とまで形容されるコロナショックはいったい、いつ収束を迎えるのか。気が気でない読者も多いだろう。
2020年5月4日、政府による緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、新型コロナウイルス感染者数の推移を慎重に見守りながら、前倒し解除の可能性も出てきた。とはいえ、完全に世の中が元に戻るのではなく、ウィズコロナ時代に突入するのは間違いない。働き方においては、宣言解除後も、リモートワークの引き続きの実施を中心に、「リモート+リアル」のバランスを取りながら、各社取り組んでいくことになるだろう。
2020年のゴールデンウイークは、近年誰も経験したことがない「人の大移動をともなわない」不思議な休暇期間となった。歓迎すべき事象ではないが、歴史にこの期間のことは刻まれるだろう。政府による緊急事態宣言も5月末まで延長された。今だからこそできることを模索し、実行していきたいと考えている(読書も1つの手段であることは間違いない)。
2020年4月22日、学びのオンライン化をオンラインで考えるイベント「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。本稿では、当日のセッション3、元ミネルバ大学日本連絡事務所長の山本秀樹氏の講演より、同校における、答えのない問題を解ける人材が育つオンライン授業とプロジェクト学習による教育法を先行事例として紹介する。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行っている。先が見えない状況が続くなか、企業内研修はどうあるべきか。オンライン化はどう進めていけばよいのか。「人材開発」「組織開発」を専門とする立教大学経営学部中原淳教授からの緊急提言をお届けする。