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Web Limited Series Web限定連載

2020年06月01日
  • オンライン教育

オンライン研修に関する法的ポイント
~新型コロナウイルス感染症の流行に伴う
オンライン研修の増加を踏まえて~

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務等が増加する中、研修についてもオンラインでの実施の増加が見込まれる。オンラインで研修を実施するにあたっては、研修資料の作成及び研修の実施に関して、著作権法、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)に注意するほか、情報セキュリティへの配慮も必要である。下記にポイントを記す。

田中浩之・蔦大輔・松本亮孝
森・濱田松本法律事務所 弁護士

田中浩之氏(弁護士・ニューヨーク州弁護士)
2007年弁護士登録、2013年 ニューヨーク大学ロースクール修了。個人情報、知的財産、ITを3本柱とする。日本経済新聞社による2019年に活躍した企業が選ぶ弁護士ランキングでデータ関連分野で第5位に選出。

蔦大輔氏(弁護士)
2010年弁護士登録(一時登録取消、2020年再登録)。内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターの任期付職員として「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック」等を担当。サイバーセキュリティ、個人情報、IT関係を中心に業務を行っている。

松本亮孝氏(弁護士)
2017年弁護士登録。個人情報、IT、労働法を中心に業務を行っている。主な著書に、「働き方改革時代の規程集」(労務行政、共著)「働き方改革関連法その他重要改正のポイント(労働事件ハンドブック追補)」(労働開発研究会、共著)等がある。

1 オンライン研修と著作権法

まず、オンラインで研修を実施する際には、著作権法の観点から、研修資料(研修コンテンツ)について留意する必要がある。

(1)研修資料と「著作物」

研修資料の作成にあたっては、研修資料中に、第三者が著作権を有する「著作物」が含まれないように注意する必要がある。

「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を意味する(著作権法2条1項1号)。論文や絵画が典型例(著作権法10条1項参照)であるが、これに限らず、新聞記事やインターネット上で公開されている画像なども、創作性(創作者の個性)が認められる限りは、広く著作物に該当しうる。

著作物を利用する権利(著作権)は、著作権者に帰属するため、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用した場合には、著作権侵害として、損害賠償請求や差止請求等を受けるリスクがある

オンライン研修においても、例えば、新聞記事やインターネット上で公開されている画像をそのまま又は加工して使って研修資料を作成し、これを研修対象者に送信した場合には、著作権(複製権・公衆送信権・翻案権等)侵害となるリスクがある。

(2)著作権者の許諾なく「著作物」を使用できる場合

ただし、著作権法上、一定の場合には、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用することが認められている(著作権法30条~50条 権利制限規定)。

例えば、著作権法32条1項は、既に公表された著作物について、「引用」して利用することを認めており、研修資料においても、著作物を「引用」して利用することが考えられる。ただし、この場合には、「公正な慣行に合致」して、「引用の目的上正当な範囲内」であることが必要である。その判断にあたっては、一般に、引用部分とそれ以外の部分の主従関係が明確であり、カギ括弧などによって引用部分が明確になっていることが必要であり、また引用を行う目的・必要性等も考慮され、単に引用される側の著作物を紹介したり鑑賞されることを目的としたものは、否定される傾向にあるので留意が必要である。さらに、出所(出典)を明示することも必要となる(著作権法48条で出所明示義務が規定されているが、引用の要件を充足するかの判断でもポイントとなる)。

著作権法は、その他様々な権利制限規定を置いているが、オンライン研修にあたっては、以下の規定について誤解がないよう留意が必要である。

まず、著作権法30条は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」を目的とするときは、原則、著作物を複製することを認めている(私的利用)が、一般に、企業の内部的使用の場合には私的利用とはいえないと考えられているため、企業のオンライン研修において本条は適用されない。

また、著作権法35条は、学校その他の非営利の教育機関において、「授業の過程における利用に供すること」を目的とする場合には、既に公表された著作物を複製・公衆送信すること等を認めている。本条は、平成30年に改正され、教育の情報化を企図して、教材をメールで生徒に送信すること等も許容されることになった(なお新型コロナウイルス感染症の流行に伴う教育現場の状況等に鑑みて、当初の予定を早めて、2020年4月28日から施行されている)が、あくまで学校その他の非営利の教育機関を対象としているため、企業のオンライン研修においては適用されない。

インターネット上のフリー素材を使うような場合も、利用規約で商用利用が広く禁止されている場合があり、規約に抵触しないかの確認が必要である。規約に従う限りで利用が許諾されているため、規約違反での利用は、契約違反となるのみならず、著作権侵害を構成することになる。

Image by ふじよ /PIXTA

2 オンライン研修と情報セキュリティ

オンラインで研修を実施するという際には、情報セキュリティの観点からも、研修資料の作成及び研修の実施において留意すべき点がある。

(1)研修資料の作成

研修資料の作成にあたっては、資料の中に機微性の高い社内情報、例えば、不正競争防止法2条6項にいう営業秘密(秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの)や、個人情報保護法2条1項にいう個人情報が含まれないように注意する必要がある。

通常これらの情報を研修資料に入れる必要はないが、研修の性質から入れざるを得ない場合、営業秘密について秘密としての保護、個人データ(従業員名簿、取引先連絡先一覧など、データベース化された個人情報等を指す)について安全管理措置※を適切に行わなければならない。
※営業秘密がオンラインでやりとりされること等を含めたテレワーク対策に関して、経済産業省知的財産政策室「テレワーク時における 秘密情報管理のポイント (Q&A解説)」(2020年5月7日)も参照。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/teleworkqa_20200507.pdf

なお、機微性の高い情報について一部マスキング処理を行う場合、例えば、PDFファイルについて黒い図形を乗せて一部を隠すという処理では、その黒い図形を消去等することで、マスキングしたはずの情報が知られてしまうおそれがある。マスキングの不十分な処理による情報漏えい事故は定期的に発生しているため留意が必要である。

(2)研修の実施

オンラインで研修を実施する際には、研修に関する資料等が外部に漏えいしないように注意しなければならない。可能であれば研修対象者以外の者が閲覧できないようにすることが望ましく、例えば、閲覧のためのパスワード(複雑なものにすることが望ましい)を付す等の対応が考えられる。

また、研修の実施に際して必要最低限のルールを整備することも必要であろう。例えば、研修資料に含まれている情報の機微性を格付けし、当該格付けに応じた取扱いを求める(例えば、機微性が高い情報が含まれているのであれば厳格な取扱いを求める等)旨のルールを整備したり、第三者が出入りする場所では、盗み見(ショルダーハッキング)のおそれがあるため閲覧を禁止するといった対応を行うことが考えられる。

3 オンライン研修の委託

オンライン研修を実施する際には、資料の作成または研修の実施を他社に委託する場合も多いと思われるが、以下のとおり留意すべき点がある。

(1)資料の作成の委託

資料の作成を委託するにあたって、資料の中に機微性の高い情報を入れざるを得ない場合には、秘密保持契約を締結する等して当該情報を保護する必要がある。

(2)研修の実施の委託

オンライン研修の実施を委託するという場合、委託先において研修実施用のプラットフォームをWeb上に用意し、各従業員がID・パスワードを用いてログインする場合もあると考えられるが、そのような場合には、各従業員にID・パスワードの取扱いに留意するよう周知することが必要であろう。また、この場合、委託先が受講者(従業員)の情報を取り扱うことになるが、当該情報の取扱方法(例えば委託契約終了時に当該情報を適切に破棄するかどうか等)に注意すべきである。

特に、研修実施のために従業員の個人データを委託先に提供する場合、委託先を適切に監督する義務が生じる(個人情報保護法22条)ため、その必要性については検討を要する(例えば、委託先から受講人数分のID・パスワードを発行してもらい、それを委託元において各従業員に配布する等の手段をとれば、委託元における作業は増えるものの、委託先に対して従業員の個人データを提供する必要はなくなると考えられる)。

どのような手段が適切かは各々の企業によって異なると考えられるため、いずれにせよ、とりうる選択肢とそれに伴うリスクを認識し、当該リスクに対応しつつ適切な選択肢を検討することが重要である。

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社内にイノベーションを起こす異文化マネジメント

2020年4月22日、「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。ここでは当日のセッション2、ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮森千嘉子氏の講演より、イノベーションを起こすチームづくりに欠かせない異文化対応力を磨き、文化の違いを活かすポイントを紹介する。本稿では当日の内容に加え、グローバルなテレワーク環境で信頼関係を築き、維持する具体的な方法についても加筆いただいた。

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2020年05月22日
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新連載 “Buzzword” から人材育成の未来を読み解く 危機のいまだからこそ テレワークを再考・深掘りする

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気づきのエンタ HEALTH お悩み解決健康法 感染症予防につながる「免疫機能」の高め方

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2020年05月22日
  • テレワーク

議論白熱 第11回 テレワークは“黎明期”を 脱却できるか?

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2020年05月22日
  • ビジネス予測

続 書籍に学ぶ ビジネストレンド 第12回 「想定外」と どう向き合うか

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2020年05月22日
  • テレワーク

(連載より)第82回:『マネジャーにすべてを背負わせるのは、もうやめよう。最軽量のマネジメント』

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2020年05月15日
  • テレワーク

(連載より)第81回:『テレワークの切り札! Office365 Teams 即効活用ガイド』

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“答えのない問題”を解ける人材が育つ ミネルバ大学のオンライン&プロジェクト学習

2020年4月22日、学びのオンライン化をオンラインで考えるイベント「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。本稿では、当日のセッション3、元ミネルバ大学日本連絡事務所長の山本秀樹氏の講演より、同校における、答えのない問題を解ける人材が育つオンライン授業とプロジェクト学習による教育法を先行事例として紹介する。

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学びは、決してとめてはいけない! 「オンライン研修」のあり方と成功の鍵

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