2020年4月22日に開催された「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」。セッション1では、「オンラインによる人材育成・組織開発の新たな価値創造」と題して、リモート組織・トオラス代表の田原真人氏に登壇いただいた。本稿では、「人材育成のオンライン化」と「組織開発と集合知マネジメント」に関する田原氏の解説を紹介する。
早稲田大学大学院博士課程中退(物理学及び応用物理学)。河合塾の物理講師として10年教鞭を執った後、物理ネット予備校「フィズヨビ」を経て現在は、人材育成や組織開発のオンライン化に取り組む。著書に『Zoomオンライン革命!』(秀和システム)など。
こんにちは田原です。最初に、なぜ私がこのテーマでお話をするか、ということですが、私は2005年からオンライン学習、2013年ごろから主体的な学びについて、そして2017年に『Zoomオンライン革命!』という本を出版と、それぞれに、まだ世間で注目されていないときから取り組んできました。その分たくさんのノウハウが貯まっているということは言えると思います。
「オンライン学習」については、河合塾で物理の講師を10年ほどしていたときに、2005年に個人事業でネット予備校を立ち上げたのが始まりです。ペンタブレットで板書をその場で書いて、音声も重ねて表示できるソフトを使い、自分の講義を100時間以上録画して、400人以上の受験生や社会人に教えるということを行っていました。LMS(学習管理システム)をWeb上に構築して質問を書き込んでもらい回答したり、田原式解答集を受講生が自分たちで作れるといった、参加型のこともしていました。
2011年の東日本大震災のころから「主体的な学び」について考えるようになり、私生活では家族でマレーシアに移住。子どもがインターナショナルスクールに通い始めて刺激を受けたりしながら、Facebookに「反転授業の研究グループ」(現在4,800名ほど参加)を立ち上げました。2013年からはWeb会議システムやLMSなどを組み合わせてオンラインで主体的な学びを引き出す方法についてオープンに議論し、集合知をつくってきました。2017年には参加型のオンライン講座や、コミュニティが自己組織化する運営が確立したので、そのノウハウをコアな価値にして「与贈工房」という、全員がオンラインで参加する組織をつくり、2020年まで活動してきました。
その後、組織の枠があると、その範囲でやれることを考えてしまうのが制約になると感じ、組織の枠を外して、本当にやるべきことを企画して、組織の所属に関わらずにプロジェクトチームを組むことができるように変えました。自然発生的にプロジェクトが立ち上がり、収益が分配され、オープンに渦が回っていくような組織に変えたかったので、組織の名前(「トオラス」に変更)と構造を変えて活動しています。
さて、現在、多くの人が新型コロナウイルス感染症の影響により、早急に業務のオンライン化を進めなければならないという危機感を抱いています。一方で、「オンラインはリアルの劣化版では?」というイメージを拭い切れていない方も多いのではないでしょうか。
多くの方が「リアル」を基準にしていて、リアルでできることが100だとすれば、「オンライン」は50くらいだと考え、「画面しか見えないから、空気感もわからない」というように、オンラインに対して強い「制限」を感じていると思います。
私自身、マレーシアに在住し、早いもので9年が経ちます。この「オンラインしかない」という“背水の陣”ともいえる環境に身を投じるなかで、「オンラインだからこそできること」が見えてきました。
たとえば、Zoomで小さなグループをつくって、ワークショップを開いたりしますが、Zoomでは全てのグループワークを簡単に録画することができます。これにより、「次回のワークショップまで1週間あります。その間に、他のグループが行ったワークの動画を観て、相互にコメントしましょう」といった学習が可能になります。そこから、「同じテーマでワークをしても、グループによってこんなに違いが出るんだ」という認識を相互に理解し、それぞれの気づきを持ち寄ったうえで、次回のワークへ参加することが可能となります。
しかしリアルの場合、このようにはいきません。なぜなら、他のグループが何をやっているのかが、参加者には見えづらいからです。
オンラインにあってリアルにはない特筆すべき概念が「心理的安全性」です。オンラインではリアルに比べて、参加者の“ランク”が表れにくい傾向にあります。なぜなら、リアルの場合、地位がある人、体が大きい人、声が大きい人などが場を支配してしまいがちですが、オンラインではそうはいかないからです。偉そうな人であっても、モニターの枠内に他の人と同じように平等に表示されていますから、そこから必死になって“マウンティング”しようとしても、不可能なのです。
また、ミーティングをフラットな場にするために、実名とは異なる名前をつけることがあります。たとえば、「田原のことは“まさとさん”と呼んでください」といったように。そうしたことで、リアルで貼られている“ラベル”を外すことも、オンラインでは容易にできます。
普段自分が生活している「安心空間」から自然にオンラインに入っていけることもまた、心理的安全性を高める要因となっているように思います。
なお、これは仮説ではありますが、オンラインで自分自身の顔が見えていることも心理的安全性と関係があると考えています。話すときに、自分がどんな顔をしているのか、常にフィードバックを受ける状況に置かれていることで、内省的になりやすい環境が自然とつくられているからです。
リアルの対話の場合、近くにいる人の顔しか見えませんが、オンラインでは全員の顔をしっかりと見ることができます。人間の表情には本音が出るといわれており、「嘘の笑い方」と「本当の笑い方」によって、顔の筋肉の動きやしわの寄り方に違いが生じます。このように、本音でしゃべっているか、そうでないかを判断できる情報がオンラインでは溢れていることも、心理的安全性と関係しているのかもしれません。
テクノロジーの発展は様々なプラットフォームを生み出し、AIやクラウド技術の導入によって「情報化社会」はどんどん広がっています。一方、「産業化社会」はすでに限界に達しているため、今後、これ以上の拡がりは期待できません。
現在、私たちの「中心の位置」がどこにあるのかを考えてみましょう。私自身、2011年以前は産業化社会(リアル)に主軸を置きながらオンラインも活用していましたが、現在は、情報化社会(オンライン)の中心にいるため、「オンラインでできて、リアルではできない」ことに対して不便を感じるようになりました。
つまり、情報化社会(オンライン)を中心に世の中を見た場合、今までリアルではできなかったことが、オンライン教育によって実現可能になってくるということです。
それを具体的に示したものが、下記の『学びの4象限』です。
教師中心の①『講義型集合研修』と③『講義型ウェビナー配信』(水色部分)は、生徒のレベルがそろっていないと学習内容が伝わりにくい傾向があります。ですから、特に①『講義型集合研修』は、生徒を「規格化」(均質化)し、トップダウンで情報を流すといった、一方向に教える体制には向いていることになります。
しかし、③『講義型ウェビナー配信』(オンライン)へ、①『講義型集合研修』のやり方のまま移行してしまうと、「相手が多様化しているため、管理ができない」という問題が生じ、「一方向コミュニケーション」から「劣化版一方向コミュニケーション」となり、機能不全に陥ってしまいます。
お勧めなのは、まず①『講義型集合研修』から、上の②『体験型ワークショップ』へと移行することです。教師中心から学習者中心への学びのパラダイムシフトをする、ということになりますが、双方向コミュニケーションによって、お互いの「違い」や「多様性」を、学びのリソースとして学び合うことができます。
その際、知識のインプットはどうするか。「反転学習」などが有効です。あらかじめ動画で見てきてもらったりして、当日、それぞれの見方の違いを学び合う。また、インプットする教材を事前にライブラリ化しておいて、各人が自分の好きなもの・異なるものを観て、教え合うような学習の場を設けることができます。LMSなどのプラットフォームを使うと、プラットフォーム上でも対話(研修)の場でも学び合うことができ、学びの質をテクノロジーによってアップデートしていくことが可能になります。
②『体験型ワークショップ』の右にある、④『オンラインワークショップ』へ移行すると(黄色部分)、双方向コミュニケーションのさらなる拡張が起こります。通常、リアルで集まることができる人といえば、同じ地域に住んでいる人、似たような環境・文化で育っている人に限定されてしまいます。しかし、オンラインでワークショップを行った場合、地域や国境を越えての参加が可能となるため、各人が住んでいる国や地域によって、持ち込まれる情報も大きく異なります。それらを皆で共有することにより“石垣”を組み合わせるような多様性を帯びた、さらなる深い学び合いとなります。
学びのリソースが、「テキスト」から、お互いの「違い」や「多様性」になること。これは、オンライン教育におけるもう1つのパラダイムシフトだといえるでしょう。
「テキストをつくる」ということは、過去の実証から成功法則を導き出すということです。しかし、昨今のコロナ禍も含め、現在は前例のない状況が次々と起こっています。かつてはスペイン風邪などが流行したとはいえ、当時と現在とでは「状況」が異なるため、自ずと解決の「方法」も変わってきます。
誰も正解を持ち合わせていないなか、それぞれが持っている情報を出し合い、お互いの「違い」を正解のない問いに向けて話し合っていく。そのときに大事なのが「多様性」を確保することであり、そこへかかわっていく教師や支援者といった人は、「教える人」から「ファシリテーター」へと変化していく。このシフトも、重要になってきていると感じます。
リアルとオンラインの違いでいえば、圧倒的に開催コストが低いオンライン教育では、内容の「精度」や開催の「頻度」を上げることができます。たとえば、対面で1カ月に1回しか開催できなかったものが、オンラインで毎週できるようになれば、世界中とつながり続けるような学び方も不可能ではありません。
するとどういうことが起きるか。時間や場所に左右されない継続的な学びの場ができて、それは、「関係性」を育むとともに、前述の「心理的安全性」も高めます。関係性が育っているからこそ、正直に話せて、お互いに精度の高いフィードバックを受け取れるので、さらに学びが深まるという好循環が発生します。「リアル」での“一期一会”ではつくり出せない、新しい学びの場をオンライン上で創出できるのです。
かつての新入社員研修といえば、1週間、ほぼ缶詰状態で行って、そこから配属先へと送り出されるのが一般的でした。しかしオンラインであれば、配属後、半年くらいかけて、新入社員が配属されたそれぞれの状況で、各人の学びや経験から得た気づきを持ち寄った研修を実施することができます。
異なる部署同士が集まり、自己開示や本音で話し合うことで、会社の全体像への理解や、コミットメントを高めるといったことも、オンラインでは容易に実現できます。
人材育成全体としても研修としても、従来の枠組みを拡張し、新しいやり方の中にオンラインを位置づけていくことが必要でしょう。
※編集部註:当日はブレイクアウトセッションを行ったが、本稿では割愛する。
「組織開発と集合知マネジメント」というテーマに話を移します。先の「学びの4象限」と、マネジメントのパラダイムシフトは、重なっている部分があります。
まず、「リアル」(目が届く)と「にらみをきかせる経営」(規格化)というのが①『トップダウン型マネジメント』です。つまり、学校教育等で人間を「規格化」し、『トップダウン型マネジメント』のなかの労働者として働けるようにすることを、国全体で行ってきたのが、従来の学校教育システムです。
ところが社会構造が変化し、「多様性」や「個性」を生かしながらクリエイティブな活動を行うニーズが高まる現在は、学校教育も組織マネジメントも『トップダウン型マネジメント』から④『広域・自律分散型集合知マネジメント』へと、悪戦苦闘しながらも移行しようとしている状況にあると考えています。
マネジメントのパラダイムシフトにおいては、「氷山の下を豊かにする工夫」も重要です。
リモートワークを始めて、会議でZoomなどのテレビ会議システムを導入している企業も多いと思われますが、終わった後、「どうも疲れる……」というものと、「始める前より元気になった!」ものに分かれると思います。この違いこそが、氷山の「下を食いつぶした会議」か、氷山の「下が育った会議」かの差だと言えるでしょう。「氷山の下」が食いつぶされると、関係性がどんどんすれ違うようになっていき、組織は崩壊してしまいます。
普段のコミュニケーションが、氷山の下が育ってくるコミュニケーションになるよう、日ごろから気をつけなければなりません。
具体的にはどういうことかといいますと、重要な意思決定をする会議であっても、まず、「チェックイン」として、「マレーシアはロックダウン中。完全に外出できない。“幽閉感”があって、ちょっと気持ちがつらい……」など、特に仕事とは関係のない、そのとき、気にかかっていることについての話をすることから始めます。
すると、お互いの心身の状態や、感じていることをわかったうえで会議を始めることができるようになります。会議終了後も「チェックアウト」として、お互いが感じ合ったことを語り合います。
このように、「思考・ロジック」だけではなく、「感情・身体性」などを、あえて会議の場に出すようなコミュニケーションをとっていけば、「本当に感じているものは何か?」をお互いに大切にしたり、正直に話すようになります。そうしたなかで「無理してまでやらなくてはいけないこと」をやらなくてよくなっていき、氷山の下が自ずと育っていきます。
私自身、リアルでは会えない人たちと信頼関係を結び、組織をつくって、何年も一緒に仕事をしてきました。オンライン環境では、会議はできても、「行動変容」をともなう人材育成や、「個人の変容」をともなう組織開発は不可能だと思われていましたが、実際にやってみると、人材育成だけではなく、組織開発もできると感じています。
トオラス自体が、これまで何度も大きな組織変容を体験し、ときには泣き出したくなるような厳しい状況を乗り越えて、現在に至っています。ですから、オンラインで組織変容や組織開発を「本当にできるのか?」と問われれば、「できますし、やっていますよ」とお答えすることができます。
新型コロナウイルスの影響が、この先どれくらい続くのか、様々な予想が飛び交っていますが、3年くらいは都市封鎖を解いたり、繰り返したりするため、人々が“集まる”ということに対して制限がかかる状況は続くように思われます。
仮にワクチン開発が成功したとしても、どこかの地域で変異したコロナウイルスが全世界に拡大した場合は、3年では済まないかもしれません。私たちは、極めて先行きが不透明な状況に置かれています。
世界の有り様が大きく変わるなか、当然、「なくなっていく仕事」が出てきますが、同時に「新しい仕事」も生まれます。「なくなっていく仕事」に従事していた人が「新しい仕事」に移行していければ、なんとか皆で生きていける社会をつくることもできるでしょう。
だからこそ、「どうしたら、この危機を協力して乗り切っていけるのか」という“問い”に対して、「集合知」を結集し、皆で真剣に考えていかなければなりません。そのための話し合いや、アイデアを出し合う作業を、“集まる”ことが制約された環境下で行うには、オンラインの活用は不可欠なのです。
「新しい仕事」をつくるためには個人・企業を問わず、リモート環境で対話し、「ナラティブ」(人や組織、社会が生きている物語・解釈の枠組み)をつくらなければなりません。私たちは、この3~5年で社会を変えていかなくてはならない状況にいます。従来のトップダウン型経営から脱却し、コミュニケーションデザインを変化させ、「アジャイル型経営」と「共創コミュニティ」をリンクさせたものを軸としながら、対話的にコミュニケーションを行う。そして、物事を企画し、プロジェクトを立ち上げ、動かしていくことが求められます。
「情報化社会」における重要なキーワードのひとつに「非同期」というものがあります。対面で集まって、一緒に話をするのが「同期」です。本日のZoomでのディスカッションもそうですね。一方、Zoomを録画したものを誰かが観て、別の時間軸からコメントなどによって参加することが非同期です。集まって、同じ時間を共有するだけではなく、周りの人の行動によって呼び起こされた人が行動し、さらにそこから触発された別の人が行動するような「行動連鎖」が起こることが、情報化社会においては極めて重要です。
誰かが一括で物事を決めて、統制的に動くのではなく、それぞれが思いついたことを周りの人と対話し、行動し続けたことが複雑に絡み合った関係性のなかで物事がつくられていきます。
今、個人や組織の変容において、望ましい状況と現状が大きくずれている。何か変わらなければ、という際、私たちはそれぞれ「本当は何を感じているのか」を語り出して新しいものを生み出していく必要があり、今はオンラインでしかその環境がありません。過去の成功法則や、カリスマに依存することなく、誰もがそれぞれ感じていることを語り合い、行動し、ドラマを展開していくことが今、求められています。
その語る場というのが、組織開発であり、社会変革・変容であると思います。
皆で語る組織開発の手法で着目すべきものとして、「ワールドカフェ」や「オープン・スペース・テクノロジー」などの大規模ワークショップがあります。総称して「ホールシステムアプローチ」とよばれますが、オンラインでこれらをどうやるか、という方法は実はもう確立されています。
たとえばワールドカフェでは、対面ではメンバーを変えて語り合っていくところを、オンラインでは何日かに分けて回していく、それも前のラウンドでの議論を録画して共有し、1週間の間に見て来る。通常は模造紙に気づきを書くところを、Web上のプラットフォームに意見を集約する、といった方法が取られています。
フューチャーセッションでも、それまでは呼ぶことができなかった多様な関係者を、海外などから招待して継続して議論するなど、従来にできなかった、新しい意見を生み出して動かしていくことができるようになっています。
オンラインでは思考して情報処理してしまいがちなので、それぞれが「感じていること」を引き出すことが重要になります。そのためには、あえて1分間の瞑想などの場をつくるといいでしょう。
また、振り返りの場としてオンラインを使う、というのがいい使い方だと思っています。リアルの研修などですと、体験と振り返りを2日間で行うことがあると思いますが、オンラインで2日間ずっと、というのはつらい。そこで、1回を2時間程度に抑え、1週間など期間をあけて何回かというようにバラして設計する。経験学習でいう「省察(内省)」と「概念化」をオンライン研修で行い、試行と経験はその間の時間に実践する、という形にするとうまく回るのではないかと思います。
正解ない時代において、真に頼りになるものは、「行動」と「違和感」だと思います。「その違和感はどこから来ているのか?」というセンサーをもって進んでいくなかで、同じような違和感を共有している人と出会い、小さなグループが生まれ、何かを語り合う。そして、だんだんと違和感の正体が言葉や形となり、一歩一歩、物事がつくられていく。そこからパラダイムシフトが起こり、新しい社会や語りが生まれていくのではないでしょうか。
同時に、現在、私たちが置かれている状況や感じていることをグローバルで共有し、私たちに一体どんな助け合いができるのかということを話し合うチャレンジが、これからは必要でしょう。その過程で新しい仕事が生まれ、新しい組織の在り方へと結びついていくと考えます。
本日は、そのための“お誘いの時間”だったと思っています。私の話から、皆さんが何かを受け取って、何かへ向けて動き出していただければ、大変うれしく思います。
劇団「第三舞台」の旗揚げ以降、劇作家・演出家として幅広く活躍してきた鴻上尚史さん。 近年、「世間の同調圧力」に警鐘を鳴らし、様々な悩みを抱える人たちが生きやすくなるための人生相談も人気を博している。 そんな鴻上さんが、コロナ禍のビジネスパーソンに向けて語る、私らしく生きるためのヒントとは。
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コロナ禍で、日本でもオンライン研修が定着しつつある。 今後コロナが収束し、オンラインも対面も可能な状況になったときに、効果的な研修を実施するには、どのような点に注意して設計すべきだろうか。 10年以上前から研修のオンライン化が進んでいるアメリカの事情に詳しい、ダイナミックヒューマンキャピタルの中村文子氏に聞いた。
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組込みソフトウェアを手がけるイーソルでは新卒を毎年採用し、手厚い研修制度で未経験者からプロのエンジニアに育て上げる。2020年はリモート環境下であっても、例年と変わらぬレベルで育成を進めたという。どのような工夫を施し、難局を乗り切ったのか。
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1943年に設立された米国タレント開発協会(ATD、旧ASTD)は、毎年国際大会を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、急遽リアルカンファレンスを中止しヴァーチャルに変更。 2020年6月1日から5日にかけて開催し、その後3カ月間、アーカイブを公開した。 最終的に5人の基調講演を含む38のライブセッションと148のアーカイブ動画等で構成され、71カ国から4,500人が参加したという。 本稿では、ラーニングの転換に参考になる3つの講演のダイジェストを紹介する。
新型コロナウイルスの感染拡大により、OJTなどの企業内教育もオンラインへの転換を余儀なくされている。オンラインでどのようにOJTを行うのか。メンターや上司はどう関わっていけばいいのか。人事・人材開発担当者ができる支援とは。 新入社員研修に続き、オンラインでのOJTを支援している三井物産人材開発に話を聞いた。
コロナの流行に関わらず「働き方」「生き方」が劇的に変化しているこの時代。企業における「学び方」はどう変化していくべきか。以前から「オンライン教育」の必要性を認識し、取り組みを続けてきたファンケルに話を聞いた。
弊社、日本能率協会マネジメントセンターの調査結果※によれば、「Withコロナ」において、マネジャーの意識や行動に3つの変化の傾向が見て取れた。本編に入る前に紹介しよう。 ※2020年は「イマドキの若手社員の仕事に対する意識調査」(6月実施)、2018年は「JMAM管理者実態調査」(9月実施)にて同項目の調査を行った。
2020年6月、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングが発表したレポートでは、「コロナ起点の人材マネジメントの課題分類と対応する施策」が整理されている。 マネジャーのマネジメントスタイル転換の方向性と、人材マネジメント課題解決における人事部門の役割や各施策を進めるうえでの注意点とは。執筆者2名に話を聞いた。
テレワークの長期化は、単に働く場所が変化するという話にとどまらない。 マネジャーの役割、評価の方法、さらには組織の在り方まで、その影響は多方面に波及する。 働き方の変化がとまることはない時代における、マネジメントと人事の役割とは。 同志社大学政策学部教授の太田肇氏に話を聞いた。
テレワークが前提のWith コロナ時代。 一堂に会しにくい状況下で、組織の力を高めることに難しさを感じる人もいるだろう。 その意味で、組織開発の重要性が高まっている。 そこで組織開発の研究者である中村和彦氏に、困難な状況下でも課題を乗り越え、新しいものやアイデアがどんどん生まれる職場をつくるマネジャーの在り方や、テレワークでの望ましい職場運営等について聞いた。
「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。 近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。 同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。
情報機器大手のコニカミノルタの国内事業会社であるコニカミノルタジャパンでは、2013年に働き方を見直すためのプロジェクトをスタート、2017年からは全社員を象にテレワークを解禁し、オフィスにしばられないワークスタイルを広めてきた。 さらに2020年、新型コロナウイルス感染症対策のため、在宅勤務を原則とする働き方にスイッチ。 そこで見えてきた新たな課題と傾向、そしてテレ・マネジメントのポイントについて、人事部トップの伊崎公司氏に話を聞いた。
「成果主義から成長主義へ」をコンセプトに、人事制度改革を進めてきた博報堂。 部下の成長の鍵を握るマネジャーを、様々な施策で支援してきた。 同社で人材育成に長年携わってきた白井剛司氏は「これらの施策は、With コロナ・マネジメントにも活きる」と話す。 コロナ禍においてマネジャーをどう支援していけばいいか、また今後どのように支援しようとしているか、話を聞いた。
多くの企業でリモートワークが広がるなか、チームワークの難しさが課題となっています。 『リモートチームでうまくいく』(日本実業出版社)の著書でもある倉貫義人さんにリモートワークでGood Team をつくる方法について聞きました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業内研修の在り方に大きな影響を与えている。 多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行うなか、本田技研工業は早期に新入社員研修のオンライン化を決断・実施し、手応えを感じたという。 オンライン化の経緯や工夫、そして効果とは。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、各企業が積極的にテレワークを導入することとなった。今後もテレワークを実施する企業は増えると思われるが、テレワークの実施にあたり留意すべき法的問題点は少なくない。本稿ではテレワークにおける労働時間管理とサイバーセキュリティについて留意すべき点を取り上げる。
コロナウイルスという現時点で終わりが見えない巨大な敵は、世界そして日本の経済にも大きな打撃を与えている。とはいえ、経済活動を止めるわけにもいかず、当面、国策も企業政策も試行錯誤が続いていく。そんな最中、2020年7月3日開催の首相官邸「未来投資会議」において、新たな「成長戦略実行計画案」が示された。
政府による緊急事態宣言解除後、気がつけばほぼ毎日出社している。本当は、リモートワークの旗振り役にならなければならないのだが、リアルの面談も少しずつだが復活してきており、致し方ないところだ(と自分をなぐさめている)。通勤電車でも、ビフォーコロナに戻ったとは言わないものの、8割方乗客数が復活している気がする。JR東日本では、電車の混雑状況をリアルタイムで顧客に届けるアプリを開発し、首都圏主要路線での展開を進めている。それにしても実に便利な時代である。
内閣府の「景気ウオッチャー調査」を以前から足元景気を見る際に参考にしている。コロナショック後、よくメディアでも取り上げられるようになったのだが、小売店やサービス業の店主・店員やタクシードライバー等の方々に、全国地域別に調査をして取りまとめている報告書であり、コメントが生々しく、今が有事であることを実感させられる。
プロ人材の活用(プロシェアリング)や新しい働き方を支援する久保田氏は「緊急事態宣言によって半ば強制的にテレワークに踏み切った企業が今後どう変革していくかに注目したい」と話す。個々の社員の多様な要望とマネジメントの意向とをどうすり合わせ、双方の成長につなげるか。ポイントを聞いた。
新型コロナウイルス感染症拡防止策としての緊急事態宣言は、日本経済に深刻な影響を与えた。まさに“コロナ・ショック”である。日々刻刻と状況は変化し予測も難しいなか、マクロ経済的には、国や企業にどのような政策・施策が求められるのか。エコノミストの永濱利廣氏に話を聞いた。
感染症拡大で、キャリア観や働き方も転換を迫られている。先行き不透明な状況の中で、私たちはいかに働き、キャリアを築いていけばいいのか。そして、企業はいかに社員をサポートすればいいのか。雇用や人的資源管理を専門とする法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授に、Afterコロナ・Withコロナ時代のキャリア観について聞いた。
テレワーク研究の第一人者である、比嘉邦彦氏へのインタビュー後編。テレワークで課題となりがちなマネジメントのあり方や情報セキュリティーの考え方、またアフターコロナのテレワークの方向性について語っていただいた。
新型コロナウイルスの影響で、この春に急遽テレワークを導入した企業も少なくない。けれども、本来望ましいテレワークのあり方とはどのようなものなのか。テレワーク研究の第一人者である比嘉邦彦氏に、前後編にわたり解説いただいた。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務等が増加する中、研修についてもオンラインでの実施の増加が見込まれる。オンラインで研修を実施するにあたっては、研修資料の作成及び研修の実施に関して、著作権法、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)に注意するほか、情報セキュリティへの配慮も必要である。下記にポイントを記す。
2020年4月22日に開催された「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」。セッション1では、「オンラインによる人材育成・組織開発の新たな価値創造」と題して、リモート組織・トオラス代表の田原真人氏に登壇いただいた。本稿では、「人材育成のオンライン化」と「組織開発と集合知マネジメント」に関する田原氏の解説を紹介する。
2020年4月22日、「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。ここでは当日のセッション2、ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮森千嘉子氏の講演より、イノベーションを起こすチームづくりに欠かせない異文化対応力を磨き、文化の違いを活かすポイントを紹介する。本稿では当日の内容に加え、グローバルなテレワーク環境で信頼関係を築き、維持する具体的な方法についても加筆いただいた。
リモートワークには様々なメリットがある一方で、うまく活用できないとマイナス要因にもなりかねない。デジタルコンサルティング事業を行うプリンシプルでは4年前、「リモート経営」がうまくいかず業績が低迷。その原因分析と、成功に導くために行った改善策を聞いた。
デジタル人材、HRテック、ピープルアナリティクス、AR / VR 型トレーニング、AI 人事、エンプロイーエクスペリエンス――。デジタルテクノロジーの隆盛にともない、組織・人事領域でもデジタルにまつわる様々なBuzzword を耳にするようになりました。Buzzwordとは特定の分野で一定期間、話題になるものの、定義や意味が曖昧な用語を指します。「世の中で大きな変化が起こっているな」という感覚を抱いても――これがまさに“バズっている”状況といえますが――、変化に対応するため自社や自分にとってどんな打ち手が必要となるのか、具体的なイメージが描きにくいという人は多いかと思います。そこで本連載ではBuzzword に焦点を当て、用語の意味合いを解説するとともに、コンサルティング事例や先進活用例をもとに、各社の組織開発や人材開発の場面でBuzzwordを生かすヒントを紐解いていきます。
2020年現在、コロナウイルスが猛威をふるっている。多方面で大きな影響が出ており、私たちも、感染症の恐ろしさをあらためて実感させられることになった。いま一度感染症について考えてみたい。感染症とは、細菌やウイルスが体に入って増殖することにより起こる病気である。細菌は細胞をもつ生き物。一方、ウイルスは細胞をもたず、人や動植物の細胞の中に入って増殖していく。冬に感染症が多いのは、細菌やウイルスが、湿度も温度も低いところを好んで発生することが一般的だからだ。また、空気が乾燥していることで、ウイルスの体内への侵入を防ぐ役割をもつ人の粘液や体液の働きが低下する。そのため、人の体の抵抗力や体力が落ちやすくなり、冬は感染症のリスクが増えるのだ。
東京五輪・パラリンピックに向けて推奨されてきたテレワークによる在宅勤務は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、想定外のかたちで企業に浸透しつつあります。しかし、なかには拙速ともいえる導入事例も少なくありません。労務管理、マネジメントなど、人事はどう対応すべきでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大が世の中に暗い影を落としている。欧米において感染者が急拡大しており、日本でも(本稿執筆時点では)まだオーバーシュート、いわゆる急拡大には至っていないものの、感染者数は確実に増加トレンドにある。リーマンショックを超える衝撃とまで形容されるコロナショックはいったい、いつ収束を迎えるのか。気が気でない読者も多いだろう。
2020年5月4日、政府による緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、新型コロナウイルス感染者数の推移を慎重に見守りながら、前倒し解除の可能性も出てきた。とはいえ、完全に世の中が元に戻るのではなく、ウィズコロナ時代に突入するのは間違いない。働き方においては、宣言解除後も、リモートワークの引き続きの実施を中心に、「リモート+リアル」のバランスを取りながら、各社取り組んでいくことになるだろう。
2020年のゴールデンウイークは、近年誰も経験したことがない「人の大移動をともなわない」不思議な休暇期間となった。歓迎すべき事象ではないが、歴史にこの期間のことは刻まれるだろう。政府による緊急事態宣言も5月末まで延長された。今だからこそできることを模索し、実行していきたいと考えている(読書も1つの手段であることは間違いない)。
2020年4月22日、学びのオンライン化をオンラインで考えるイベント「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。本稿では、当日のセッション3、元ミネルバ大学日本連絡事務所長の山本秀樹氏の講演より、同校における、答えのない問題を解ける人材が育つオンライン授業とプロジェクト学習による教育法を先行事例として紹介する。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行っている。先が見えない状況が続くなか、企業内研修はどうあるべきか。オンライン化はどう進めていけばよいのか。「人材開発」「組織開発」を専門とする立教大学経営学部中原淳教授からの緊急提言をお届けする。