感染症拡大で、キャリア観や働き方も転換を迫られている。先行き不透明な状況の中で、私たちはいかに働き、キャリアを築いていけばいいのか。そして、企業はいかに社員をサポートすればいいのか。雇用や人的資源管理を専門とする法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授に、Afterコロナ・Withコロナ時代のキャリア観について聞いた。
一橋大学社会学部卒業、産業能率大学大学院経営情報学研究科修了、法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程修了、博士(政策学)。NEC、GEにおいて一貫して人事労務関係を担当、米系ヘルスケア会社執行役員人事総務部長を経て、現職。人的資源管理と雇用が研究領域。人材育成学会常任理事、日本労務学会理事、フリーランス協会アドバイザリーボード等。著書に『パラレルキャリアを始めよう!』(ダイヤモンド社)、『越境的学習のメカニズム』(福村出版)など多数。
新型コロナウイルスの感染拡大により、キャリア観や働き方が大きく変わったことは事実ですが、BeforeとAfterで断絶しているわけではないことも押さえておかなければいけません。たとえば、テレワークも今回突然始まったわけではなく、これまでなかなか普及していなかったものが、強制的にやらざるをえなくなったというのが本当のところですよね。
米国のジャーナリスト、トーマス・フリードマンは2018年に発売した著書『遅刻してくれて、ありがとう』で、人間の適応力をも超える地球環境の変化により、これまで必要とされてきた3つの「R」、読み(リーディング)、書き(ライティング)、算数(アリスメティック)、つまり読み書きそろばんだけではなく、次の4つの「C」――
・クリエイティビティ(創造性)
・コラボレーション(共同作業)
・コミュニティ(共同体)
・コーディング(プログラミング)
のスキルが必須になると指摘しています。新型コロナウイルスの感染拡大も地球環境変化のひとつと捉えると、フリードマンが指摘している4つのCは、まさにそのとおりだと感じています。
たとえばテレワークで仕事をするには、今まで以上にコラボレーションやコミュニティが必要になります。また、新しい技術への対応も求められます(コーディング)。何より創意工夫するクリエイティビティの重要性は増すばかりです。
これら4つのCに共通するのは、一度学んだら終わりではなく、変化に応じて学び続けなければいけないということ。私たちは今、変化し続ける環境の中でどう持続的に対応していくのかを問われているのです。
今回、多くの企業がテレワークを導入しましたが、普段できていないことがオンラインで急にできるようになるわけではありません。Wifi環境の整備などの問題はありますが、それは本質ではなく、その場その場で解決すればいいことです。
テレワークがうまくいかない根本の原因は、上司と部下の信頼関係にあります。普段から信頼関係がなければ、テレワークに移行しても信頼できないままです。また、性悪説で社員を管理している企業は、テレワーク中も監視カメラで管理し続けることになるでしょう。それはテレワークの問題ではなく、普段から部下を信頼していなかったり、自由を尊んでいなかったりした構造的な問題が、たまたまテレワークで露呈したにすぎません。今後は、露呈したほころびを補正していくことが重要になります。
その前に、なぜ上司は部下をそばに置きたがるのかを考えてみましょう。日本企業の多くは、職務内容が明確化されておらず柔軟に運用されています。ただしそれは、いつでもその場で話し合いができるからこそ成り立つものです。しかし、テレワーク中にいつでも部下に「あれやってこれやって」と指示するわけにはいきません。
ではどうすればいいのでしょうか。今後は、企業のミッション・ビジョン・バリューを上司と部下ですり合わせ、何をもって成果とするかをきちんと握っておくことが重要になると思います。
もちろん部下にも責任が問われます。企業のミッション・ビジョン・バリューと自分がやりたいことをすり合わせ、どこで頑張って成果を出すのか、上司と対等な話し合いをして握らなければいけません。その積み重ねがキャリアになります。企業の方向性と自分がやりたいことがうまく一致してやりがいを感じられるのなら、その企業にいることが幸せでしょうし、場合によっては転職や副業、パラレルキャリアも選択肢になるかもしれません。
そもそもキャリア=職業というイメージがありますが、本来人生(ライフキャリア)と職業生活(職業キャリア)は切っても切り離せないものです。ただ、これまでは「出社する」「家に帰る」と、会社と家が明確にわかれていたので、ライフキャリアと職業キャリアが別物に見えていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により自宅で仕事をすることが増え、誰もがライフキャリアと職業キャリアの融合に直面せざるをえなくなったのです。そう考えると、これを契機としてライフとワークの比率がどうあるべきか考えるようになったのはいいことだと思います。
アリストテレスは、幸せにおいて「快楽」と「エウダイモニア」は区分されると言っています。エウダイモニアとは、真理を探究し、よく生きることを意味し、自己実現のような有意義なことを達成した時に得られる深い幸せです。これまでは効率第一主義で、快楽を得ることが幸せと捉えられることが多かったのですが、新型コロナウイルスに限らず不確実性が増していく世界では、エウダイモニアの観点が必要になってくるのではないでしょうか。
日本電産の永守重信会長は2020年4月20日の日本経済新聞のインタビューで、「(中略)テレワークも信用していなかった」が、コロナ終息後は「テレワークをどんどん取り入れる劇的な変化が起きる」。「社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。そのために、50くらい変えるべき項目を考えた」と述べています。これまで利益至上で効率第一であった企業も、本当にこのままでよいのか考える時期に来ているのかもしれません。
今後の状況は不透明な部分が多いですが、スキルシェアの活用は増えていくのではないかと思います。スキルシェアはちょっとしたスキマ時間に自分のスキルを教えたり、学生として学んだりすることができるもので、事業者も多いですが、もともとオンラインとは相性がいいのです。
時間や場所や能力がその仕事に適合する人をモザイクのピースと捉えて、複数人で1人分の仕事を行うことを「モザイク型就労」と言います。東京大学の檜山敦先生は、このモデルをシステムに組み込んで、高齢者にジョブマッチングを行っています※。モザイク型就労は、高齢者だけではなく様々な制約がある人を働きやすくする仕組みです。同じように、今回働き方が変化することで、育児や介護などで制約があった人のキャリアの可能性も広がると考えています。今までは働くか働かないかの二者択一だったものが、テレワークが進み、副業やパラレルワークも含めて様々な働き方が可能になるからです。
※東京大学HP https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0508_00004.html
多様な人材が参画してくれることは、企業にとってもメリットがあります。もちろん、企業側も忠誠心の高いフルタイム社員でなければいけないというところから意識転換が求められます。
それでは、このような環境変化の中で、人事・人材開発担当者は社員をどのように支援していけばいいのでしょうか。
ピカソは、「子どもは誰でもアーティストだ。問題は、大人になってもアーティストでいられるかどうかだ」と言いました。アーティストを学習者に置き換えても同じことが言えると思います。ではなぜ、子どもはアーティストであり、学習者なのでしょうか。それは、目の前で起こることに常に好奇心を抱き、ワクワクしているからです。
企業が、複雑で挑戦的な課題に挑戦でき、ワクワクする場でない限り、社員も飽きて仕事に熱意を持てなくなるでしょう。企業は何のために存在し、どのような場であるべきかを今一度考えてみるとよいかもしれません。エウダイモニアもチクセントミハイの「フロー」も、複雑で挑戦的な課題を乗り越えるからこそ感じられるものです。企業がそのような場になれば、社員も今のスキルでは足りなくなるはずなので、学びも生まれます。
また、組織に対するロイヤリティも変化していくでしょう。これまでは大企業の部長であるということがロイヤリティになっていましたが、今後はエウダイモニアや働きがいのようなものに変わっていくのではないでしょうか。今まではロイヤリティの形成は社内運動会でもよかったかもしれませんが、今後は初めにお話ししたように、企業のミッション・ビジョン・バリューと個人のやりたいことのすり合わせがますます重要になります。「あなたがやりたいことは何ですか。会社としての仕事の意味はここにあります」と1on1で明確に言葉にするのです。それはもちろんオンラインでも可能です。
本日(2020年5月)の段階では、入社してからまだ一度も会社に出社していない新入社員もいます。緊急事態ですが、今後はオンラインとオフライン(リアルな場)を融合したハイブリッドが加速すると考えています。
授業も飲み会もすべてオンラインでできますが、私自身もやってみて余白や偶発性が足りないことを実感しています。Zoomでブレイクアウトルームを作ればディスカッションはできますが、コンテンツに集中する分、偶発的なことはなかなか起きません。飲み会の後でたまたま帰り道が一緒だった人と話が盛り上がったという経験をした人は多いと思いますが、これも余白や偶発性がもたらすものの1つです。
また、地理学の用語で「トポフィリア」と言うのですが、場所への愛着もオンラインでは得られないものです。今は没場所性が進んでどこも同じような場所に見えますが、やはり人間ですから、場所への愛着はあるものです。「家にいる時間が長くなって散歩していたら近所にいい店を発見した」といった話を最近よく聞きますが、そういった場所への愛着はオフラインならではでしょう。オンラインは形式知化されたコミュニケーションになるのでいい面もあるのですが、余白や偶発性、五感で感じる場所への愛着といったものはオフラインにはかなわないと思います。
ただし、とにかく会わなければいけないという考えも変わるべきです。オフライン絶対主義でもなくオンライン一辺倒でもなく、どのようにハイブリッドするかを考えることが重要です。たとえば大学のゼミでも、来たい人は来てもらい、同時にオンラインでも配信するというハイブリッド型も考えられます。ハイブリッド化することで、時間や場所に制約がある人もゆるやかに参加できたり、選択の幅が増えたりすることは大きなメリットです。
新型コロナウイルスの感染拡大は多くの災禍をもたらしていますが、その分、我々は知恵を絞って新たな可能性を見いださなければいけないと思います。
[取材・文]=谷口 梨花
劇団「第三舞台」の旗揚げ以降、劇作家・演出家として幅広く活躍してきた鴻上尚史さん。 近年、「世間の同調圧力」に警鐘を鳴らし、様々な悩みを抱える人たちが生きやすくなるための人生相談も人気を博している。 そんな鴻上さんが、コロナ禍のビジネスパーソンに向けて語る、私らしく生きるためのヒントとは。
ワークスタイルが大きく変化するなかで注目されているのが、「ハイブリッドワーク」だ。 ワークスタイルや組織開発の専門家である沢渡あまね氏は、オフィスワークとテレワークの組み合わせを超えた「3つのハイブリッド」を提唱している。 どのような考え方なのかを聞いた。
気になるテーマをオピニオンリーダーはどう考える? 有識者、実務家の方による意見を紹介!
テレワークやハイブリット型の働きかたのなかで新人の育成や組織適応は可能なのか。調査をもとに実態を読み解く!
今回は特別総集編。過去に紹介した施設を振り返りながら、オフィスや研修施設に求められる「3つの機能」について、稲水先生に語っていただきました。
オフィス家具最大手のオカムラ。次世代のリーダーとなる社員に良い経験を与え、自ら“チャンスを掴む”ための人材育成について語っていただきました。
コロナ禍は個人や職場における「コミュニケーション」にどのような影響を与えたのか。本編に入る前に日本能率協会マネジメントセンターが行った調査からその実態を探ってみよう。
コロナ禍で利用が広がったオンラインコミュニケーションツールは、 今後のコミュニケーションの変化とともにどのように進化していくだろうか。 先進技術が人の価値観・行動にどう影響を与えるか、未来社会の姿について研究している三菱総合研究所先進技術センターの川崎祐史氏に、今後の企業におけるオンラインコミュニケーションの在り方について聞いた。
シリアルの世界トップシェアブランド「ケロッグ」を国内で展開してきた日本ケロッグでは、 テレワーク中の運動不足とコミュニケーション不足解消のため、バーチャルイベントを開催。 施策を通じて同社がつかんだ「コミュニケーション」のもつ意味や、強い組織をつくるための秘訣とは。
気になるテーマを気になるあの人はどう考える? オピニオンリーダーたちの意見をご紹介します!
国内外に約170の店舗を展開するセレクトショップのビームスでは、入社後の3年間を基礎教育期間とし、店舗におけるOJT教育を中心に若手社員の戦力化に取り組んでいる。 業界や企業を取り巻く環境が大きく変化するなか、現場で見えてきた課題や人事の役割、人材育成の展望について、話を聞いた。
コロナ禍で、日本でもオンライン研修が定着しつつある。 今後コロナが収束し、オンラインも対面も可能な状況になったときに、効果的な研修を実施するには、どのような点に注意して設計すべきだろうか。 10年以上前から研修のオンライン化が進んでいるアメリカの事情に詳しい、ダイナミックヒューマンキャピタルの中村文子氏に聞いた。
コロナ禍で浸透が進むオンライン面接。従来の対面とは異なり、移動や準備のための負担が軽減できるなど、企業・学生双方にメリットがある一方、オンラインとリアルとのギャップによるミスマッチや、今後、オンラインに依存したコミュニケーションが常態化することに対する不安の声も上がっています。
コロナ禍によって、多くの企業が岐路に立っている。そんな今必要なのが、競争力ある企業が独自の経営センスで示す論理の重要性であり、優れた戦略だ。人事戦略もそれに基づき形づくられるべきである。 そこで、『ストーリーとしての成長戦略』の楠木 建氏が登壇した緊急特別セッション『優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス』(20年9月)から、その概要をレポートする(主催:株式会社ドリームインスティテュート)
組込みソフトウェアを手がけるイーソルでは新卒を毎年採用し、手厚い研修制度で未経験者からプロのエンジニアに育て上げる。2020年はリモート環境下であっても、例年と変わらぬレベルで育成を進めたという。どのような工夫を施し、難局を乗り切ったのか。
コロナ禍で浸透が進むオンライン面接。従来の対面とは異なり、移動や準備のための負担が軽減できるなど、企業・学生双方にメリットがある一方、オンラインとリアルとのギャップによるミスマッチや、今後、オンラインに依存したコミュニケーションが常態化することに対する不安の声も上がっています。
1943年に設立された米国タレント開発協会(ATD、旧ASTD)は、毎年国際大会を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、急遽リアルカンファレンスを中止しヴァーチャルに変更。 2020年6月1日から5日にかけて開催し、その後3カ月間、アーカイブを公開した。 最終的に5人の基調講演を含む38のライブセッションと148のアーカイブ動画等で構成され、71カ国から4,500人が参加したという。 本稿では、ラーニングの転換に参考になる3つの講演のダイジェストを紹介する。
新型コロナウイルスの感染拡大により、OJTなどの企業内教育もオンラインへの転換を余儀なくされている。オンラインでどのようにOJTを行うのか。メンターや上司はどう関わっていけばいいのか。人事・人材開発担当者ができる支援とは。 新入社員研修に続き、オンラインでのOJTを支援している三井物産人材開発に話を聞いた。
コロナの流行に関わらず「働き方」「生き方」が劇的に変化しているこの時代。企業における「学び方」はどう変化していくべきか。以前から「オンライン教育」の必要性を認識し、取り組みを続けてきたファンケルに話を聞いた。
弊社、日本能率協会マネジメントセンターの調査結果※によれば、「Withコロナ」において、マネジャーの意識や行動に3つの変化の傾向が見て取れた。本編に入る前に紹介しよう。 ※2020年は「イマドキの若手社員の仕事に対する意識調査」(6月実施)、2018年は「JMAM管理者実態調査」(9月実施)にて同項目の調査を行った。
2020年6月、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングが発表したレポートでは、「コロナ起点の人材マネジメントの課題分類と対応する施策」が整理されている。 マネジャーのマネジメントスタイル転換の方向性と、人材マネジメント課題解決における人事部門の役割や各施策を進めるうえでの注意点とは。執筆者2名に話を聞いた。
テレワークの長期化は、単に働く場所が変化するという話にとどまらない。 マネジャーの役割、評価の方法、さらには組織の在り方まで、その影響は多方面に波及する。 働き方の変化がとまることはない時代における、マネジメントと人事の役割とは。 同志社大学政策学部教授の太田肇氏に話を聞いた。
テレワークが前提のWith コロナ時代。 一堂に会しにくい状況下で、組織の力を高めることに難しさを感じる人もいるだろう。 その意味で、組織開発の重要性が高まっている。 そこで組織開発の研究者である中村和彦氏に、困難な状況下でも課題を乗り越え、新しいものやアイデアがどんどん生まれる職場をつくるマネジャーの在り方や、テレワークでの望ましい職場運営等について聞いた。
「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。 近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。 同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。
情報機器大手のコニカミノルタの国内事業会社であるコニカミノルタジャパンでは、2013年に働き方を見直すためのプロジェクトをスタート、2017年からは全社員を象にテレワークを解禁し、オフィスにしばられないワークスタイルを広めてきた。 さらに2020年、新型コロナウイルス感染症対策のため、在宅勤務を原則とする働き方にスイッチ。 そこで見えてきた新たな課題と傾向、そしてテレ・マネジメントのポイントについて、人事部トップの伊崎公司氏に話を聞いた。
「成果主義から成長主義へ」をコンセプトに、人事制度改革を進めてきた博報堂。 部下の成長の鍵を握るマネジャーを、様々な施策で支援してきた。 同社で人材育成に長年携わってきた白井剛司氏は「これらの施策は、With コロナ・マネジメントにも活きる」と話す。 コロナ禍においてマネジャーをどう支援していけばいいか、また今後どのように支援しようとしているか、話を聞いた。
多くの企業でリモートワークが広がるなか、チームワークの難しさが課題となっています。 『リモートチームでうまくいく』(日本実業出版社)の著書でもある倉貫義人さんにリモートワークでGood Team をつくる方法について聞きました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業内研修の在り方に大きな影響を与えている。 多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行うなか、本田技研工業は早期に新入社員研修のオンライン化を決断・実施し、手応えを感じたという。 オンライン化の経緯や工夫、そして効果とは。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、各企業が積極的にテレワークを導入することとなった。今後もテレワークを実施する企業は増えると思われるが、テレワークの実施にあたり留意すべき法的問題点は少なくない。本稿ではテレワークにおける労働時間管理とサイバーセキュリティについて留意すべき点を取り上げる。
コロナウイルスという現時点で終わりが見えない巨大な敵は、世界そして日本の経済にも大きな打撃を与えている。とはいえ、経済活動を止めるわけにもいかず、当面、国策も企業政策も試行錯誤が続いていく。そんな最中、2020年7月3日開催の首相官邸「未来投資会議」において、新たな「成長戦略実行計画案」が示された。
政府による緊急事態宣言解除後、気がつけばほぼ毎日出社している。本当は、リモートワークの旗振り役にならなければならないのだが、リアルの面談も少しずつだが復活してきており、致し方ないところだ(と自分をなぐさめている)。通勤電車でも、ビフォーコロナに戻ったとは言わないものの、8割方乗客数が復活している気がする。JR東日本では、電車の混雑状況をリアルタイムで顧客に届けるアプリを開発し、首都圏主要路線での展開を進めている。それにしても実に便利な時代である。
内閣府の「景気ウオッチャー調査」を以前から足元景気を見る際に参考にしている。コロナショック後、よくメディアでも取り上げられるようになったのだが、小売店やサービス業の店主・店員やタクシードライバー等の方々に、全国地域別に調査をして取りまとめている報告書であり、コメントが生々しく、今が有事であることを実感させられる。
プロ人材の活用(プロシェアリング)や新しい働き方を支援する久保田氏は「緊急事態宣言によって半ば強制的にテレワークに踏み切った企業が今後どう変革していくかに注目したい」と話す。個々の社員の多様な要望とマネジメントの意向とをどうすり合わせ、双方の成長につなげるか。ポイントを聞いた。
新型コロナウイルス感染症拡防止策としての緊急事態宣言は、日本経済に深刻な影響を与えた。まさに“コロナ・ショック”である。日々刻刻と状況は変化し予測も難しいなか、マクロ経済的には、国や企業にどのような政策・施策が求められるのか。エコノミストの永濱利廣氏に話を聞いた。
感染症拡大で、キャリア観や働き方も転換を迫られている。先行き不透明な状況の中で、私たちはいかに働き、キャリアを築いていけばいいのか。そして、企業はいかに社員をサポートすればいいのか。雇用や人的資源管理を専門とする法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授に、Afterコロナ・Withコロナ時代のキャリア観について聞いた。
テレワーク研究の第一人者である、比嘉邦彦氏へのインタビュー後編。テレワークで課題となりがちなマネジメントのあり方や情報セキュリティーの考え方、またアフターコロナのテレワークの方向性について語っていただいた。
新型コロナウイルスの影響で、この春に急遽テレワークを導入した企業も少なくない。けれども、本来望ましいテレワークのあり方とはどのようなものなのか。テレワーク研究の第一人者である比嘉邦彦氏に、前後編にわたり解説いただいた。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務等が増加する中、研修についてもオンラインでの実施の増加が見込まれる。オンラインで研修を実施するにあたっては、研修資料の作成及び研修の実施に関して、著作権法、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)に注意するほか、情報セキュリティへの配慮も必要である。下記にポイントを記す。
2020年4月22日に開催された「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」。セッション1では、「オンラインによる人材育成・組織開発の新たな価値創造」と題して、リモート組織・トオラス代表の田原真人氏に登壇いただいた。本稿では、「人材育成のオンライン化」と「組織開発と集合知マネジメント」に関する田原氏の解説を紹介する。
2020年4月22日、「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。ここでは当日のセッション2、ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮森千嘉子氏の講演より、イノベーションを起こすチームづくりに欠かせない異文化対応力を磨き、文化の違いを活かすポイントを紹介する。本稿では当日の内容に加え、グローバルなテレワーク環境で信頼関係を築き、維持する具体的な方法についても加筆いただいた。
リモートワークには様々なメリットがある一方で、うまく活用できないとマイナス要因にもなりかねない。デジタルコンサルティング事業を行うプリンシプルでは4年前、「リモート経営」がうまくいかず業績が低迷。その原因分析と、成功に導くために行った改善策を聞いた。
デジタル人材、HRテック、ピープルアナリティクス、AR / VR 型トレーニング、AI 人事、エンプロイーエクスペリエンス――。デジタルテクノロジーの隆盛にともない、組織・人事領域でもデジタルにまつわる様々なBuzzword を耳にするようになりました。Buzzwordとは特定の分野で一定期間、話題になるものの、定義や意味が曖昧な用語を指します。「世の中で大きな変化が起こっているな」という感覚を抱いても――これがまさに“バズっている”状況といえますが――、変化に対応するため自社や自分にとってどんな打ち手が必要となるのか、具体的なイメージが描きにくいという人は多いかと思います。そこで本連載ではBuzzword に焦点を当て、用語の意味合いを解説するとともに、コンサルティング事例や先進活用例をもとに、各社の組織開発や人材開発の場面でBuzzwordを生かすヒントを紐解いていきます。
2020年現在、コロナウイルスが猛威をふるっている。多方面で大きな影響が出ており、私たちも、感染症の恐ろしさをあらためて実感させられることになった。いま一度感染症について考えてみたい。感染症とは、細菌やウイルスが体に入って増殖することにより起こる病気である。細菌は細胞をもつ生き物。一方、ウイルスは細胞をもたず、人や動植物の細胞の中に入って増殖していく。冬に感染症が多いのは、細菌やウイルスが、湿度も温度も低いところを好んで発生することが一般的だからだ。また、空気が乾燥していることで、ウイルスの体内への侵入を防ぐ役割をもつ人の粘液や体液の働きが低下する。そのため、人の体の抵抗力や体力が落ちやすくなり、冬は感染症のリスクが増えるのだ。
東京五輪・パラリンピックに向けて推奨されてきたテレワークによる在宅勤務は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、想定外のかたちで企業に浸透しつつあります。しかし、なかには拙速ともいえる導入事例も少なくありません。労務管理、マネジメントなど、人事はどう対応すべきでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大が世の中に暗い影を落としている。欧米において感染者が急拡大しており、日本でも(本稿執筆時点では)まだオーバーシュート、いわゆる急拡大には至っていないものの、感染者数は確実に増加トレンドにある。リーマンショックを超える衝撃とまで形容されるコロナショックはいったい、いつ収束を迎えるのか。気が気でない読者も多いだろう。
2020年5月4日、政府による緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、新型コロナウイルス感染者数の推移を慎重に見守りながら、前倒し解除の可能性も出てきた。とはいえ、完全に世の中が元に戻るのではなく、ウィズコロナ時代に突入するのは間違いない。働き方においては、宣言解除後も、リモートワークの引き続きの実施を中心に、「リモート+リアル」のバランスを取りながら、各社取り組んでいくことになるだろう。
2020年のゴールデンウイークは、近年誰も経験したことがない「人の大移動をともなわない」不思議な休暇期間となった。歓迎すべき事象ではないが、歴史にこの期間のことは刻まれるだろう。政府による緊急事態宣言も5月末まで延長された。今だからこそできることを模索し、実行していきたいと考えている(読書も1つの手段であることは間違いない)。
2020年4月22日、学びのオンライン化をオンラインで考えるイベント「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。本稿では、当日のセッション3、元ミネルバ大学日本連絡事務所長の山本秀樹氏の講演より、同校における、答えのない問題を解ける人材が育つオンライン授業とプロジェクト学習による教育法を先行事例として紹介する。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行っている。先が見えない状況が続くなか、企業内研修はどうあるべきか。オンライン化はどう進めていけばよいのか。「人材開発」「組織開発」を専門とする立教大学経営学部中原淳教授からの緊急提言をお届けする。