リモートワークには様々なメリットがある一方で、うまく活用できないとマイナス要因にもなりかねない。デジタルコンサルティング事業を行うプリンシプルでは4年前、「リモート経営」がうまくいかず業績が低迷。その原因分析と、成功に導くために行った改善策を聞いた。
2011年創業。デジタルマーケティング支援、デジタルトランスフォーメーションにおけるコンサルティング等を行う。2019年・2020年にはGreat Place to Work(R) 働きがいのある会社ランキング「従業員25~99人部門」ベストカンパニーを受賞。
資本金:1640万円(2020年4月現在)
従業員数:98名(2020年4月時点)
プリンシプルでは創業時からリモートワーク制度を導入していました。社員は週1回のリモートワークが可能で、育児など特別な理由があれば上司の承認を得て週1回以上のリモートワークをすることもできます(※コロナ禍により現在はリモートワーク日数を柔軟に対応中)。それに加え、有給休暇を5日間取得した場合は追加で5日間のリモートワークが可能になる制度も設けました。これはワーケーション※と有給休暇取得の双方を推進するためのもの。10日間以上連続して取得できるため、海外で働くこともできます。ワーケーションは気分転換になりますし、新しい文化や人に触れることで成長にもつながります。また、当社がめざすグローバル展開にもリモートワークは不可欠です。いつもと違う場所で働く経験を通じて刺激を受けてもらいたいと考えています。
※ワーケーション……「work(仕事)」と「vacation(休暇)」を組み合わせた造語。休暇を兼ねて旅先などでリモートワークを行う働き方のこと。
そして創業から6年ほどが経った2016年、私は家族とともにアメリカのシリコンバレーに移住し、会社の「リモート経営」に踏み切りました。ところが、これがうまく軌道に乗らず、業績が下降し初めての赤字へ。その原因は、次のように分析しています。
本音は雑談の中にあることが多く、そこから会社全体の課題を把握することにもつながります。国内にいる間は数十人の社員の様子を直接把握することができていましたが、現場との距離が離れたことで、社員への声かけやちょっとした雑談ができなくなり、社員の感情がつかみづらくなりました。
また、オフィスにいれば出社しているかどうかがひとめでわかるので気軽に声をかけられますが、そうした気楽なブレストや即席ミーティングもできなくなりました。ビデオ会議ツールも導入しましたが、対面に比べるとスピード感に欠けます。特にスタートアップでは、アイデアを思いつたらすぐにミーティングすることが重要。その場で「これはどう思う?」と聞けばすぐに済む内容を、「すみませんが、この件でミーティングの時間をもらえませんか?」とわざわざアポイントを取ることになってしまう。連絡を取るにしても、「この時間は席にいないかも」と想像して気をつかってしまう点もデメリットでした。
コミュニケーションが減っていくにつれて、現場もうまく回らなくなってきました。その主な原因は、「仕組み化」ができていなかったことにあります。「この人がいないと仕事が回らない」という属人的な状態のまま、権限委譲のルールを十分に決めずにリモート経営を始めたため、現場に丸投げするような形になってしまったのです。権限委譲をしたものに関しても、委譲前に現場にいた人が繰り上げ的にマネジメントのポジションにつくことになり、現場の営業が弱くなっていました。
その後は1年間をかけて改善に取り組み、結果的にスムーズなリモート経営ができるようになりました。改善内容は次の通りです。
まずビジネスチャットツールを導入し、気軽な声かけができるようにしました。複雑な内容やセンシティブな話題は、文章だけでは真意が伝わらないこともあるので、そうした場合はすぐにビデオツールに移動して行います。
「リモートでありながら、オフィスにいる」という状況を実現し、即席ミーティングなどを行って業務をすばやく動かすために、カメラとマイクのついた遠隔ロボットを導入。日本の会社にロボットを置き、分身のように遠隔でロボットを操作しています。出社している人の輪に混ざって雑談をしたり、デスクで仕事をしている人に声をかけたりすることが可能になりました。およそ3年間使ってきましたが、費用対効果を感じています。
さらに部門を越えたコミュニケーションを創出するため、アメリカの企業が数多く導入しているスタンドアップミーティングを参考に、毎朝9時45分から10分間の朝会を実施しています。
朝会ではまず、会社のビジョンやミッションを唱和してから、リモートワークの社員も含めた4人ずつのグループに分かれて1人1分間のスピーチをします。隔週で日本語と英語を交代で使うので、語学の学習の場にもなっています。
ここで重要なのは、同じ時間にみんなが集まるということ。出社時間を自由にしている企業もありますが、当社では全員で同時に仕事をスタートします。特にリモート下においては、自己管理が不可欠です。会社側で毎朝のルーティンを設定することで、社員の自己管理を手助けすることができると考えています。
朝会は10分間で終わり、9時55分から10時までの5分間は「雑談タイム」としています。その後はチームごとに分かれ、各自の業務や課題を報告します。リモートワークにおけるマネジメント側の不安要素として、部下の管理ができるかどうかという問題がありますが、このチーム会で個々の動きを把握することで、「サボってしまうのではないか」という懸念を払拭できるのです。
リモートワークの成功において特に重要なのは、時間ではなく成果で評価するシステムをつくることと、それを徹底的に浸透させることだと考えています。働いた時間に応じて給与を払うシステムは、タスクが決まっているルーティン作業の労働に適した考え方です。仕事ができる人ほど短時間で多くの仕事をこなせるので、時給で計算すると損になってしまう。また、時間基準での評価になっていると、マネジャーはつい部下を管理したくなり、リモートワークが難しくなります。成果主義の評価制度を設け、リモート下でも数字が見える環境をつくることで、マネジメント側の負担を減らすことにもつながるのです。
当社では案件ごとの収益性と成果を正確に把握するため、オンラインのタイムカードを導入しました。これは、出退勤を管理するだけではなく、各自がどの仕事に何時間使ったかを毎日入力するものです。特にリモート下では勤務状況を直接見ることができないため、このタイムカードによって目標の達成率を測っています。受注額に対して誰が何時間費やしたかといった数字から社内コストを算出できるので、1案件あたりの収益性も把握できます。また、かつては「頑張って残業しているから」と感情的に評価するケースもありましたが、こうしたデータがあると効率や収益性を数字で見ることができるため、公平性も高まりました。
リモートで働くにあたっては、他者に管理されることがない代わりに、モチベーションの自己管理が欠かせません。そうした場面では、これまで以上に理念浸透が重要になります。我々の理念である「個人と会社のWin-Win」を体現できる人材を採用し、社員と会社の方向が一致していれば、モチベーションは自然と上がります。だからこそ、会社はミッション・ビジョンを明確にし、それに合う人材を採用することが重要なのです。当社では採用基準を明文化し、面接の場では理念との合致度を確認。同じマインドをもった人材が揃うことで、リモート下でも足並みがそろいやすくなりました。
誰にどこまでの権限を与えるかを明確に決め、権限委譲をしました。現在は重要な経営判断以外の事項は社長不在でも進む仕組みになっています。
権限委譲において大切なのは、細かいところに口を出したくなるのを我慢すること。その分野が得意な人に任せたり、社員の意見を尊重したりすることが求められます。経験がある立場の人はつい意見したくなるものですが、社員の貴重な意見をつぶすのはよくありませんし、そもそも相手の意見のほうが正しいこともある。マネジャーは部下の失敗を受け入れる度量をもつべきなのです。まずはトップがそれを実践することが、説得力をもたせるためにも重要です。
現在はアメリカに住んでいるという利点を活用し、社員をシリコンバレーに呼んで研修を行ったり、最新情報を仕入れてブログで発信したりと、社員にも「Win」を還元しています。リモート経営の体制を整えた結果、業績も好転しました。
新型コロナウイルスの影響で急遽リモートワークをせざるを得なくなった企業も多いと思いますが、こうしたときこそ「リモートになったことをどう成長に生かすか」を考えることが重要です。通勤する、対面で会話をするといった当たり前のことをやめさせられて、インターネットを使いながら仕事をするという強制的なデジタルシフトが起こりました。これを「うちではできない」と考えるのか、それともデジタル化のチャンスとして生かすのか。その選択によって終息後の進み方が変わると思うので、恐れずにチャレンジすることが重要だと考えます。
また、危機的状況においては特にリーダーの影響が大きくなります。このときに、デジタルをよくわかっていない人が「リモートワークをやれと言われたから」と取り組んでもうまくいきません。デジタル分野に詳しい社員や意見を持っている若手がいたら、その意見を尊重すること、また時にはリーダーに抜擢することで、組織文化を変えるきっかけにもなるでしょう。
[取材・文]=瀧川美里
[写真]=プリンシプル提供
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コロナ禍によって、多くの企業が岐路に立っている。そんな今必要なのが、競争力ある企業が独自の経営センスで示す論理の重要性であり、優れた戦略だ。人事戦略もそれに基づき形づくられるべきである。 そこで、『ストーリーとしての成長戦略』の楠木 建氏が登壇した緊急特別セッション『優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス』(20年9月)から、その概要をレポートする(主催:株式会社ドリームインスティテュート)
組込みソフトウェアを手がけるイーソルでは新卒を毎年採用し、手厚い研修制度で未経験者からプロのエンジニアに育て上げる。2020年はリモート環境下であっても、例年と変わらぬレベルで育成を進めたという。どのような工夫を施し、難局を乗り切ったのか。
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1943年に設立された米国タレント開発協会(ATD、旧ASTD)は、毎年国際大会を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、急遽リアルカンファレンスを中止しヴァーチャルに変更。 2020年6月1日から5日にかけて開催し、その後3カ月間、アーカイブを公開した。 最終的に5人の基調講演を含む38のライブセッションと148のアーカイブ動画等で構成され、71カ国から4,500人が参加したという。 本稿では、ラーニングの転換に参考になる3つの講演のダイジェストを紹介する。
新型コロナウイルスの感染拡大により、OJTなどの企業内教育もオンラインへの転換を余儀なくされている。オンラインでどのようにOJTを行うのか。メンターや上司はどう関わっていけばいいのか。人事・人材開発担当者ができる支援とは。 新入社員研修に続き、オンラインでのOJTを支援している三井物産人材開発に話を聞いた。
コロナの流行に関わらず「働き方」「生き方」が劇的に変化しているこの時代。企業における「学び方」はどう変化していくべきか。以前から「オンライン教育」の必要性を認識し、取り組みを続けてきたファンケルに話を聞いた。
弊社、日本能率協会マネジメントセンターの調査結果※によれば、「Withコロナ」において、マネジャーの意識や行動に3つの変化の傾向が見て取れた。本編に入る前に紹介しよう。 ※2020年は「イマドキの若手社員の仕事に対する意識調査」(6月実施)、2018年は「JMAM管理者実態調査」(9月実施)にて同項目の調査を行った。
2020年6月、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングが発表したレポートでは、「コロナ起点の人材マネジメントの課題分類と対応する施策」が整理されている。 マネジャーのマネジメントスタイル転換の方向性と、人材マネジメント課題解決における人事部門の役割や各施策を進めるうえでの注意点とは。執筆者2名に話を聞いた。
テレワークの長期化は、単に働く場所が変化するという話にとどまらない。 マネジャーの役割、評価の方法、さらには組織の在り方まで、その影響は多方面に波及する。 働き方の変化がとまることはない時代における、マネジメントと人事の役割とは。 同志社大学政策学部教授の太田肇氏に話を聞いた。
テレワークが前提のWith コロナ時代。 一堂に会しにくい状況下で、組織の力を高めることに難しさを感じる人もいるだろう。 その意味で、組織開発の重要性が高まっている。 そこで組織開発の研究者である中村和彦氏に、困難な状況下でも課題を乗り越え、新しいものやアイデアがどんどん生まれる職場をつくるマネジャーの在り方や、テレワークでの望ましい職場運営等について聞いた。
「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。 近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。 同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。
情報機器大手のコニカミノルタの国内事業会社であるコニカミノルタジャパンでは、2013年に働き方を見直すためのプロジェクトをスタート、2017年からは全社員を象にテレワークを解禁し、オフィスにしばられないワークスタイルを広めてきた。 さらに2020年、新型コロナウイルス感染症対策のため、在宅勤務を原則とする働き方にスイッチ。 そこで見えてきた新たな課題と傾向、そしてテレ・マネジメントのポイントについて、人事部トップの伊崎公司氏に話を聞いた。
「成果主義から成長主義へ」をコンセプトに、人事制度改革を進めてきた博報堂。 部下の成長の鍵を握るマネジャーを、様々な施策で支援してきた。 同社で人材育成に長年携わってきた白井剛司氏は「これらの施策は、With コロナ・マネジメントにも活きる」と話す。 コロナ禍においてマネジャーをどう支援していけばいいか、また今後どのように支援しようとしているか、話を聞いた。
多くの企業でリモートワークが広がるなか、チームワークの難しさが課題となっています。 『リモートチームでうまくいく』(日本実業出版社)の著書でもある倉貫義人さんにリモートワークでGood Team をつくる方法について聞きました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業内研修の在り方に大きな影響を与えている。 多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行うなか、本田技研工業は早期に新入社員研修のオンライン化を決断・実施し、手応えを感じたという。 オンライン化の経緯や工夫、そして効果とは。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、各企業が積極的にテレワークを導入することとなった。今後もテレワークを実施する企業は増えると思われるが、テレワークの実施にあたり留意すべき法的問題点は少なくない。本稿ではテレワークにおける労働時間管理とサイバーセキュリティについて留意すべき点を取り上げる。
コロナウイルスという現時点で終わりが見えない巨大な敵は、世界そして日本の経済にも大きな打撃を与えている。とはいえ、経済活動を止めるわけにもいかず、当面、国策も企業政策も試行錯誤が続いていく。そんな最中、2020年7月3日開催の首相官邸「未来投資会議」において、新たな「成長戦略実行計画案」が示された。
政府による緊急事態宣言解除後、気がつけばほぼ毎日出社している。本当は、リモートワークの旗振り役にならなければならないのだが、リアルの面談も少しずつだが復活してきており、致し方ないところだ(と自分をなぐさめている)。通勤電車でも、ビフォーコロナに戻ったとは言わないものの、8割方乗客数が復活している気がする。JR東日本では、電車の混雑状況をリアルタイムで顧客に届けるアプリを開発し、首都圏主要路線での展開を進めている。それにしても実に便利な時代である。
内閣府の「景気ウオッチャー調査」を以前から足元景気を見る際に参考にしている。コロナショック後、よくメディアでも取り上げられるようになったのだが、小売店やサービス業の店主・店員やタクシードライバー等の方々に、全国地域別に調査をして取りまとめている報告書であり、コメントが生々しく、今が有事であることを実感させられる。
プロ人材の活用(プロシェアリング)や新しい働き方を支援する久保田氏は「緊急事態宣言によって半ば強制的にテレワークに踏み切った企業が今後どう変革していくかに注目したい」と話す。個々の社員の多様な要望とマネジメントの意向とをどうすり合わせ、双方の成長につなげるか。ポイントを聞いた。
新型コロナウイルス感染症拡防止策としての緊急事態宣言は、日本経済に深刻な影響を与えた。まさに“コロナ・ショック”である。日々刻刻と状況は変化し予測も難しいなか、マクロ経済的には、国や企業にどのような政策・施策が求められるのか。エコノミストの永濱利廣氏に話を聞いた。
感染症拡大で、キャリア観や働き方も転換を迫られている。先行き不透明な状況の中で、私たちはいかに働き、キャリアを築いていけばいいのか。そして、企業はいかに社員をサポートすればいいのか。雇用や人的資源管理を専門とする法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授に、Afterコロナ・Withコロナ時代のキャリア観について聞いた。
テレワーク研究の第一人者である、比嘉邦彦氏へのインタビュー後編。テレワークで課題となりがちなマネジメントのあり方や情報セキュリティーの考え方、またアフターコロナのテレワークの方向性について語っていただいた。
新型コロナウイルスの影響で、この春に急遽テレワークを導入した企業も少なくない。けれども、本来望ましいテレワークのあり方とはどのようなものなのか。テレワーク研究の第一人者である比嘉邦彦氏に、前後編にわたり解説いただいた。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務等が増加する中、研修についてもオンラインでの実施の増加が見込まれる。オンラインで研修を実施するにあたっては、研修資料の作成及び研修の実施に関して、著作権法、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)に注意するほか、情報セキュリティへの配慮も必要である。下記にポイントを記す。
2020年4月22日に開催された「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」。セッション1では、「オンラインによる人材育成・組織開発の新たな価値創造」と題して、リモート組織・トオラス代表の田原真人氏に登壇いただいた。本稿では、「人材育成のオンライン化」と「組織開発と集合知マネジメント」に関する田原氏の解説を紹介する。
2020年4月22日、「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。ここでは当日のセッション2、ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮森千嘉子氏の講演より、イノベーションを起こすチームづくりに欠かせない異文化対応力を磨き、文化の違いを活かすポイントを紹介する。本稿では当日の内容に加え、グローバルなテレワーク環境で信頼関係を築き、維持する具体的な方法についても加筆いただいた。
リモートワークには様々なメリットがある一方で、うまく活用できないとマイナス要因にもなりかねない。デジタルコンサルティング事業を行うプリンシプルでは4年前、「リモート経営」がうまくいかず業績が低迷。その原因分析と、成功に導くために行った改善策を聞いた。
デジタル人材、HRテック、ピープルアナリティクス、AR / VR 型トレーニング、AI 人事、エンプロイーエクスペリエンス――。デジタルテクノロジーの隆盛にともない、組織・人事領域でもデジタルにまつわる様々なBuzzword を耳にするようになりました。Buzzwordとは特定の分野で一定期間、話題になるものの、定義や意味が曖昧な用語を指します。「世の中で大きな変化が起こっているな」という感覚を抱いても――これがまさに“バズっている”状況といえますが――、変化に対応するため自社や自分にとってどんな打ち手が必要となるのか、具体的なイメージが描きにくいという人は多いかと思います。そこで本連載ではBuzzword に焦点を当て、用語の意味合いを解説するとともに、コンサルティング事例や先進活用例をもとに、各社の組織開発や人材開発の場面でBuzzwordを生かすヒントを紐解いていきます。
2020年現在、コロナウイルスが猛威をふるっている。多方面で大きな影響が出ており、私たちも、感染症の恐ろしさをあらためて実感させられることになった。いま一度感染症について考えてみたい。感染症とは、細菌やウイルスが体に入って増殖することにより起こる病気である。細菌は細胞をもつ生き物。一方、ウイルスは細胞をもたず、人や動植物の細胞の中に入って増殖していく。冬に感染症が多いのは、細菌やウイルスが、湿度も温度も低いところを好んで発生することが一般的だからだ。また、空気が乾燥していることで、ウイルスの体内への侵入を防ぐ役割をもつ人の粘液や体液の働きが低下する。そのため、人の体の抵抗力や体力が落ちやすくなり、冬は感染症のリスクが増えるのだ。
東京五輪・パラリンピックに向けて推奨されてきたテレワークによる在宅勤務は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、想定外のかたちで企業に浸透しつつあります。しかし、なかには拙速ともいえる導入事例も少なくありません。労務管理、マネジメントなど、人事はどう対応すべきでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大が世の中に暗い影を落としている。欧米において感染者が急拡大しており、日本でも(本稿執筆時点では)まだオーバーシュート、いわゆる急拡大には至っていないものの、感染者数は確実に増加トレンドにある。リーマンショックを超える衝撃とまで形容されるコロナショックはいったい、いつ収束を迎えるのか。気が気でない読者も多いだろう。
2020年5月4日、政府による緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、新型コロナウイルス感染者数の推移を慎重に見守りながら、前倒し解除の可能性も出てきた。とはいえ、完全に世の中が元に戻るのではなく、ウィズコロナ時代に突入するのは間違いない。働き方においては、宣言解除後も、リモートワークの引き続きの実施を中心に、「リモート+リアル」のバランスを取りながら、各社取り組んでいくことになるだろう。
2020年のゴールデンウイークは、近年誰も経験したことがない「人の大移動をともなわない」不思議な休暇期間となった。歓迎すべき事象ではないが、歴史にこの期間のことは刻まれるだろう。政府による緊急事態宣言も5月末まで延長された。今だからこそできることを模索し、実行していきたいと考えている(読書も1つの手段であることは間違いない)。
2020年4月22日、学びのオンライン化をオンラインで考えるイベント「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。本稿では、当日のセッション3、元ミネルバ大学日本連絡事務所長の山本秀樹氏の講演より、同校における、答えのない問題を解ける人材が育つオンライン授業とプロジェクト学習による教育法を先行事例として紹介する。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行っている。先が見えない状況が続くなか、企業内研修はどうあるべきか。オンライン化はどう進めていけばよいのか。「人材開発」「組織開発」を専門とする立教大学経営学部中原淳教授からの緊急提言をお届けする。