新型コロナウイルスの影響で、この春に急遽テレワークを導入した企業も少なくない。けれども、本来望ましいテレワークのあり方とはどのようなものなのか。テレワーク研究の第一人者である比嘉邦彦氏に、前後編にわたり解説いただいた。
1988年州立アリゾナ大学経営・経営情報システム専攻でPh.D.を修得。同大学講師、ジョージア工科大学助教授、香港科学技術大学助教授などを経て1999年より現職。テレワークをメインに21世紀の情報システムのあり方、組織改革、地域活性化などについて、独自の観点で研究し続ける。日本テレワーク学会特別顧問、日本テレワーク協会アドバイザーを務めるほか、官公庁のテレワーク推進事業に関連した委員・委員長・評価委員などを多数務める。主な著書に『クラウドソーシングの衝撃』(インプレスR&D)など。
世界中が感染の脅威にさらされた新型コロナウイルス。日本でも3月に入ると、大人数での会議を控えたりオフピーク通勤を取り入れたりなど、企業活動も通常時とは異なる対応に追われました。4月7日には緊急事態宣言が出され、その前後で全社での在宅勤務を取り入れる企業が増えました。
今年は7月に東京オリンピックが開かれる予定だったこともあり、首都圏の企業を中心にテレワークの体制を整えることは急務でした。しかし前倒しで対応しなければならない事態となり、十分に準備を行えずに見切り発車で開始したところがほとんどなはずです。急激な働き方のシフトチェンジによって、次のような課題が浮き彫りになりました。
事実、あるシンクタンクが4月実施した1万人規模のアンケート調査では、在宅勤務によって平均の生産性が通常の7割程度となったという報告もあります。しかし、だからといって、テレワークは生産効率が悪いと判断するのは早計です。なぜなら以前より本格導入している企業を見れば、生産性向上や採用面で成果を上げたところはいくらでもあるからです。規模や業種は関係ありません。むしろ中小の土木関連会社や事務機器の販売会社など、一見テレワークは相容れないような分野でポジティブな効果を見せている例もあります。
今回の生産性低下の原因は、感染症対策のために導入を急いだからと見るのが適切でしょう。違う言い方をすれば、従来の働き方はそのままにテレワークを当てはめようとしたから、ひずみが生じているのです。たとえば、ハンコ文化はその筆頭です。いまだに紙にプリントした稟議書を回し、上長の決済印を必要とする――こうしたルールを見直せば、途端にテレワークのハードルが下がるといったことも起こり得るでしょう。
わたしはかねてより、「テレワークは三方よし」と語ってきました。本来は経営とビジネスパーソン、そして社会に対し、いろんなメリットが期待できる働き方なのです。
テレワークは、働く場所と時間の制約から解放されます。育児・介護理由などによる離職・退職の予防策として有効ですし、地方在住者や健康上の理由で日中連続的に働くことが難しい人など、これまでオフィス勤務が前提だったために採用できなかった人たちを、戦力にできます。
たとえば都内にオフィスを設けると、従業員一人当たりのコストは月に7万円といわれます。仮にテレワークに移行して従業員100人ほどの会社でオフィスの維持費を8割削減できたならば、毎月550万円超の出費を抑えられる計算です。テレワークの導入に多少コストがかかったとしても、数年もかからず回収できる見込みは高いでしょう。逆に同じだけの金額を売上で補うのは、相当大変です。裏を返せば、毎日同じ場所に集まって顔を合わせて働くことに、これだけのコストをかけていたということです。果たしてどれだけの正当性を説明できるでしょうか。
コスト削減というと、普通はトレードオフが前提ですが、テレワークの場合は負の作用をほとんど見ることなく、コストカットが可能です。
イノベーション創発に人材の多様性が欠かせないことは、よく知られていることです。ですからGAFAをはじめ世界中の企業が、コワーキング拠点の設置などをして他者との交流機会を増やすしかけを設けています。しかし、そうした場の効果は一時的であると、複数の研究から明らかになってきています。リアルな場には移動の制約がつきまとうからです。利用者は限定的になり、肝心の多様性は損なわれがちです。どんなに優秀な集団でも、似たような成功体験しか持ち合わせていなければイノベーションは生まれません。
しかし、オンラインのネットワークは、いとも簡単に仕事の垣根や国境を越えることができます。自分とまったく異なる境遇や離れた価値観の人たちとの交流により、組織全体が強くなるのです。
都市圏を中心に多くのビジネスパーソンは、会社や仕事を基準に住む場所を決めています。あるいは、通勤に1時間から1時間半かけることも珍しくありません。それがテレワークによって、どこに住んでいても東京の会社に勤めることができるようになります。実家の近くで家族と共に暮らす、豊かな自然に囲まれた場所で過ごすなど、望ましい住まいのあり方は人それぞれ。住む場所の選択は、人生の満足度にも大きく影響するはずです。
人生100年時代においては、働き盛り世代の生活も多様になるはずです。育児や介護だけでなく、大学院進学などのリカレント教育と、働くこと以外の選択肢も増えるからです。そうなると、仕事に充てる時間を一時的に減らす必要も出てきます。そうした場合もテレワークによって、柔軟な働き方をかなえることができるでしょう。
特に大学院に進学した社会人は、高度な専門性を有するプロワーカーとしての期待も高くなります。学業と両立し、知見を活かしながら大きな成果を上げる人も現れるでしょう。こうした人材は市場評価も高く、社外で活躍する道も開けます。収入も大幅にアップし、より自由な働き方を手に入れられます。
主婦や高齢者、引きこもりや障害者など、通勤できないために埋もれてしまっていた人材に活躍機会をもたらすことも、テレワークの利点です。自宅にいながらやりがいのある業務に就くことができ、社会とつながることで自己有用感や活力につながります。
なかでも高齢者に対するメリットは、かなり大きなものです。現役世代と同じように働くことは難しくても、生活にハリが出て、心身の健康維持につながることは明らかです。有病者数が減れば国の保険料は抑えられるし、所得が増えれば税収アップにもつながります。過去の厚生労働白書(2016年版)によると、60歳以上の人の6割以上が「65歳を越えても働きたい」と答えていて意欲もあります。これを生かさない手はないでしょう。
地方の過疎化や地域の経済格差は、人や都市機能の一極集中化によるところがあります。過密状態だった人や機能を、テレワークによって分散できれば、地方経済も回るようになります。優秀なタレントが地方にも揃うことで、地域活性化も期待できるでしょう。
テレワーク推進のカギを握るのはあくまで経営です。導入による利益を享受できなければ、及び腰になるのは当然のことです。
けれども今回の一件で、テレワークのよさを実感した経営者もいます。
IT大手のGMOはグループ全体での在宅勤務を1月の段階で決断し、その3週間後に熊谷正寿会長兼社長が「業績に影響がほぼ無い。(中略)そもそもオフィスが必要なのか真剣に考えている」とTwitterに投稿したのは大いに話題となりました※。また楽天会長の三木谷浩史氏も「フェイス・トゥ・フェイス信者だったけれども、テレワークに対する印象が変わった」と述べています※※。
※https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2002/19/news102.html
※※https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200409-00010019-abema-bus_all
これまでは行政の施策に合わせて、テレワークを“仕方なく”導入するつもりでいたけれども、実際に取り入れたところ「ただの食わず嫌いだった」と感じた経営者も少なくないはずなのです。
[取材・文]=田邉泰子
(後編に続く)
劇団「第三舞台」の旗揚げ以降、劇作家・演出家として幅広く活躍してきた鴻上尚史さん。 近年、「世間の同調圧力」に警鐘を鳴らし、様々な悩みを抱える人たちが生きやすくなるための人生相談も人気を博している。 そんな鴻上さんが、コロナ禍のビジネスパーソンに向けて語る、私らしく生きるためのヒントとは。
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コロナ禍は個人や職場における「コミュニケーション」にどのような影響を与えたのか。本編に入る前に日本能率協会マネジメントセンターが行った調査からその実態を探ってみよう。
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国内外に約170の店舗を展開するセレクトショップのビームスでは、入社後の3年間を基礎教育期間とし、店舗におけるOJT教育を中心に若手社員の戦力化に取り組んでいる。 業界や企業を取り巻く環境が大きく変化するなか、現場で見えてきた課題や人事の役割、人材育成の展望について、話を聞いた。
コロナ禍で、日本でもオンライン研修が定着しつつある。 今後コロナが収束し、オンラインも対面も可能な状況になったときに、効果的な研修を実施するには、どのような点に注意して設計すべきだろうか。 10年以上前から研修のオンライン化が進んでいるアメリカの事情に詳しい、ダイナミックヒューマンキャピタルの中村文子氏に聞いた。
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コロナ禍によって、多くの企業が岐路に立っている。そんな今必要なのが、競争力ある企業が独自の経営センスで示す論理の重要性であり、優れた戦略だ。人事戦略もそれに基づき形づくられるべきである。 そこで、『ストーリーとしての成長戦略』の楠木 建氏が登壇した緊急特別セッション『優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス』(20年9月)から、その概要をレポートする(主催:株式会社ドリームインスティテュート)
組込みソフトウェアを手がけるイーソルでは新卒を毎年採用し、手厚い研修制度で未経験者からプロのエンジニアに育て上げる。2020年はリモート環境下であっても、例年と変わらぬレベルで育成を進めたという。どのような工夫を施し、難局を乗り切ったのか。
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1943年に設立された米国タレント開発協会(ATD、旧ASTD)は、毎年国際大会を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、急遽リアルカンファレンスを中止しヴァーチャルに変更。 2020年6月1日から5日にかけて開催し、その後3カ月間、アーカイブを公開した。 最終的に5人の基調講演を含む38のライブセッションと148のアーカイブ動画等で構成され、71カ国から4,500人が参加したという。 本稿では、ラーニングの転換に参考になる3つの講演のダイジェストを紹介する。
新型コロナウイルスの感染拡大により、OJTなどの企業内教育もオンラインへの転換を余儀なくされている。オンラインでどのようにOJTを行うのか。メンターや上司はどう関わっていけばいいのか。人事・人材開発担当者ができる支援とは。 新入社員研修に続き、オンラインでのOJTを支援している三井物産人材開発に話を聞いた。
コロナの流行に関わらず「働き方」「生き方」が劇的に変化しているこの時代。企業における「学び方」はどう変化していくべきか。以前から「オンライン教育」の必要性を認識し、取り組みを続けてきたファンケルに話を聞いた。
弊社、日本能率協会マネジメントセンターの調査結果※によれば、「Withコロナ」において、マネジャーの意識や行動に3つの変化の傾向が見て取れた。本編に入る前に紹介しよう。 ※2020年は「イマドキの若手社員の仕事に対する意識調査」(6月実施)、2018年は「JMAM管理者実態調査」(9月実施)にて同項目の調査を行った。
2020年6月、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングが発表したレポートでは、「コロナ起点の人材マネジメントの課題分類と対応する施策」が整理されている。 マネジャーのマネジメントスタイル転換の方向性と、人材マネジメント課題解決における人事部門の役割や各施策を進めるうえでの注意点とは。執筆者2名に話を聞いた。
テレワークの長期化は、単に働く場所が変化するという話にとどまらない。 マネジャーの役割、評価の方法、さらには組織の在り方まで、その影響は多方面に波及する。 働き方の変化がとまることはない時代における、マネジメントと人事の役割とは。 同志社大学政策学部教授の太田肇氏に話を聞いた。
テレワークが前提のWith コロナ時代。 一堂に会しにくい状況下で、組織の力を高めることに難しさを感じる人もいるだろう。 その意味で、組織開発の重要性が高まっている。 そこで組織開発の研究者である中村和彦氏に、困難な状況下でも課題を乗り越え、新しいものやアイデアがどんどん生まれる職場をつくるマネジャーの在り方や、テレワークでの望ましい職場運営等について聞いた。
「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。 近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。 同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。
情報機器大手のコニカミノルタの国内事業会社であるコニカミノルタジャパンでは、2013年に働き方を見直すためのプロジェクトをスタート、2017年からは全社員を象にテレワークを解禁し、オフィスにしばられないワークスタイルを広めてきた。 さらに2020年、新型コロナウイルス感染症対策のため、在宅勤務を原則とする働き方にスイッチ。 そこで見えてきた新たな課題と傾向、そしてテレ・マネジメントのポイントについて、人事部トップの伊崎公司氏に話を聞いた。
「成果主義から成長主義へ」をコンセプトに、人事制度改革を進めてきた博報堂。 部下の成長の鍵を握るマネジャーを、様々な施策で支援してきた。 同社で人材育成に長年携わってきた白井剛司氏は「これらの施策は、With コロナ・マネジメントにも活きる」と話す。 コロナ禍においてマネジャーをどう支援していけばいいか、また今後どのように支援しようとしているか、話を聞いた。
多くの企業でリモートワークが広がるなか、チームワークの難しさが課題となっています。 『リモートチームでうまくいく』(日本実業出版社)の著書でもある倉貫義人さんにリモートワークでGood Team をつくる方法について聞きました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業内研修の在り方に大きな影響を与えている。 多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行うなか、本田技研工業は早期に新入社員研修のオンライン化を決断・実施し、手応えを感じたという。 オンライン化の経緯や工夫、そして効果とは。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、各企業が積極的にテレワークを導入することとなった。今後もテレワークを実施する企業は増えると思われるが、テレワークの実施にあたり留意すべき法的問題点は少なくない。本稿ではテレワークにおける労働時間管理とサイバーセキュリティについて留意すべき点を取り上げる。
コロナウイルスという現時点で終わりが見えない巨大な敵は、世界そして日本の経済にも大きな打撃を与えている。とはいえ、経済活動を止めるわけにもいかず、当面、国策も企業政策も試行錯誤が続いていく。そんな最中、2020年7月3日開催の首相官邸「未来投資会議」において、新たな「成長戦略実行計画案」が示された。
政府による緊急事態宣言解除後、気がつけばほぼ毎日出社している。本当は、リモートワークの旗振り役にならなければならないのだが、リアルの面談も少しずつだが復活してきており、致し方ないところだ(と自分をなぐさめている)。通勤電車でも、ビフォーコロナに戻ったとは言わないものの、8割方乗客数が復活している気がする。JR東日本では、電車の混雑状況をリアルタイムで顧客に届けるアプリを開発し、首都圏主要路線での展開を進めている。それにしても実に便利な時代である。
内閣府の「景気ウオッチャー調査」を以前から足元景気を見る際に参考にしている。コロナショック後、よくメディアでも取り上げられるようになったのだが、小売店やサービス業の店主・店員やタクシードライバー等の方々に、全国地域別に調査をして取りまとめている報告書であり、コメントが生々しく、今が有事であることを実感させられる。
プロ人材の活用(プロシェアリング)や新しい働き方を支援する久保田氏は「緊急事態宣言によって半ば強制的にテレワークに踏み切った企業が今後どう変革していくかに注目したい」と話す。個々の社員の多様な要望とマネジメントの意向とをどうすり合わせ、双方の成長につなげるか。ポイントを聞いた。
新型コロナウイルス感染症拡防止策としての緊急事態宣言は、日本経済に深刻な影響を与えた。まさに“コロナ・ショック”である。日々刻刻と状況は変化し予測も難しいなか、マクロ経済的には、国や企業にどのような政策・施策が求められるのか。エコノミストの永濱利廣氏に話を聞いた。
感染症拡大で、キャリア観や働き方も転換を迫られている。先行き不透明な状況の中で、私たちはいかに働き、キャリアを築いていけばいいのか。そして、企業はいかに社員をサポートすればいいのか。雇用や人的資源管理を専門とする法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授に、Afterコロナ・Withコロナ時代のキャリア観について聞いた。
テレワーク研究の第一人者である、比嘉邦彦氏へのインタビュー後編。テレワークで課題となりがちなマネジメントのあり方や情報セキュリティーの考え方、またアフターコロナのテレワークの方向性について語っていただいた。
新型コロナウイルスの影響で、この春に急遽テレワークを導入した企業も少なくない。けれども、本来望ましいテレワークのあり方とはどのようなものなのか。テレワーク研究の第一人者である比嘉邦彦氏に、前後編にわたり解説いただいた。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務等が増加する中、研修についてもオンラインでの実施の増加が見込まれる。オンラインで研修を実施するにあたっては、研修資料の作成及び研修の実施に関して、著作権法、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)に注意するほか、情報セキュリティへの配慮も必要である。下記にポイントを記す。
2020年4月22日に開催された「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」。セッション1では、「オンラインによる人材育成・組織開発の新たな価値創造」と題して、リモート組織・トオラス代表の田原真人氏に登壇いただいた。本稿では、「人材育成のオンライン化」と「組織開発と集合知マネジメント」に関する田原氏の解説を紹介する。
2020年4月22日、「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。ここでは当日のセッション2、ホフステード・インサイツ・ジャパンの宮森千嘉子氏の講演より、イノベーションを起こすチームづくりに欠かせない異文化対応力を磨き、文化の違いを活かすポイントを紹介する。本稿では当日の内容に加え、グローバルなテレワーク環境で信頼関係を築き、維持する具体的な方法についても加筆いただいた。
リモートワークには様々なメリットがある一方で、うまく活用できないとマイナス要因にもなりかねない。デジタルコンサルティング事業を行うプリンシプルでは4年前、「リモート経営」がうまくいかず業績が低迷。その原因分析と、成功に導くために行った改善策を聞いた。
デジタル人材、HRテック、ピープルアナリティクス、AR / VR 型トレーニング、AI 人事、エンプロイーエクスペリエンス――。デジタルテクノロジーの隆盛にともない、組織・人事領域でもデジタルにまつわる様々なBuzzword を耳にするようになりました。Buzzwordとは特定の分野で一定期間、話題になるものの、定義や意味が曖昧な用語を指します。「世の中で大きな変化が起こっているな」という感覚を抱いても――これがまさに“バズっている”状況といえますが――、変化に対応するため自社や自分にとってどんな打ち手が必要となるのか、具体的なイメージが描きにくいという人は多いかと思います。そこで本連載ではBuzzword に焦点を当て、用語の意味合いを解説するとともに、コンサルティング事例や先進活用例をもとに、各社の組織開発や人材開発の場面でBuzzwordを生かすヒントを紐解いていきます。
2020年現在、コロナウイルスが猛威をふるっている。多方面で大きな影響が出ており、私たちも、感染症の恐ろしさをあらためて実感させられることになった。いま一度感染症について考えてみたい。感染症とは、細菌やウイルスが体に入って増殖することにより起こる病気である。細菌は細胞をもつ生き物。一方、ウイルスは細胞をもたず、人や動植物の細胞の中に入って増殖していく。冬に感染症が多いのは、細菌やウイルスが、湿度も温度も低いところを好んで発生することが一般的だからだ。また、空気が乾燥していることで、ウイルスの体内への侵入を防ぐ役割をもつ人の粘液や体液の働きが低下する。そのため、人の体の抵抗力や体力が落ちやすくなり、冬は感染症のリスクが増えるのだ。
東京五輪・パラリンピックに向けて推奨されてきたテレワークによる在宅勤務は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、想定外のかたちで企業に浸透しつつあります。しかし、なかには拙速ともいえる導入事例も少なくありません。労務管理、マネジメントなど、人事はどう対応すべきでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大が世の中に暗い影を落としている。欧米において感染者が急拡大しており、日本でも(本稿執筆時点では)まだオーバーシュート、いわゆる急拡大には至っていないものの、感染者数は確実に増加トレンドにある。リーマンショックを超える衝撃とまで形容されるコロナショックはいったい、いつ収束を迎えるのか。気が気でない読者も多いだろう。
2020年5月4日、政府による緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、新型コロナウイルス感染者数の推移を慎重に見守りながら、前倒し解除の可能性も出てきた。とはいえ、完全に世の中が元に戻るのではなく、ウィズコロナ時代に突入するのは間違いない。働き方においては、宣言解除後も、リモートワークの引き続きの実施を中心に、「リモート+リアル」のバランスを取りながら、各社取り組んでいくことになるだろう。
2020年のゴールデンウイークは、近年誰も経験したことがない「人の大移動をともなわない」不思議な休暇期間となった。歓迎すべき事象ではないが、歴史にこの期間のことは刻まれるだろう。政府による緊急事態宣言も5月末まで延長された。今だからこそできることを模索し、実行していきたいと考えている(読書も1つの手段であることは間違いない)。
2020年4月22日、学びのオンライン化をオンラインで考えるイベント「JMAMオンラインカンファレンス on Zoom」が開催された。本稿では、当日のセッション3、元ミネルバ大学日本連絡事務所長の山本秀樹氏の講演より、同校における、答えのない問題を解ける人材が育つオンライン授業とプロジェクト学習による教育法を先行事例として紹介する。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が研修の延期や中止、計画の見直しを行っている。先が見えない状況が続くなか、企業内研修はどうあるべきか。オンライン化はどう進めていけばよいのか。「人材開発」「組織開発」を専門とする立教大学経営学部中原淳教授からの緊急提言をお届けする。