新型コロナウィルス感染拡大により、世の中の仕組みが大きく変わっていく中で環境変化に柔軟に対応していくためには、社員一人ひとりが、必要なスキルを短期間でインプットし、短期間でアウトプットを繰り返しながら、アウトカム(=成果)を出し続けることが重要です。そのために、これからのHRD部門には、社員の「学習能力」を高め、「学習効果」を最大化することが求められます。
この研究会では、学びの構造を知り、学習手法や学習環境を最適化するラーニングデザインについて、産官学で研究していきます。
人の学びの構造と学ぶ力を高める方法
桐蔭横浜大学 森 朋子氏学習手段の仕分け方法とオンライン教育の設計
早稲田大学 向後千春氏学習効果を高める学習環境のあり方
東京大学 稲水伸行氏2020年10月16日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。今回は、『人の学びの構造と学ぶ力を高める方法~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~』と題して、桐蔭学園の森朋子氏にオンラインで講演いただいた。本稿では、第一部「新しい時代の学力とは」、第二部「学びをデザインする(PDCA)」の2回に分けて紹介する。
専門は学習研究、学習理論。人がどのように学ぶのか、学びのメカニズムとプロセスを解明し、その知見を教育現場に活用する学習研究が専門。
ケルン大学哲学部Magister修了後、大阪大学言語文化研究科前期・後期課程修了(言語文化博士)。
関西大学教授を経て現職。文部科学省中央教育審議会臨時委員(大学分科会)、同 学生調査の実施に関する有識者会議委員、同 教育再生加速プログラム委員、東京大学情報学環反転学習社会連携講座フェローなどを兼務。
著書として、『アクティブラーニング型授業としての反転授業【理論編】』(共編者、ナカニシヤ出版,、2017年)などがある。
講義の後半でお話する重要なテーマは「目標」です。ちなみに、皆さんの中で、明確な人材育成の「目標」があって、すべての研修がその「目標」と紐づいている企業に所属しているという方はいらっしゃいますか? もしそうなら、それはとても素晴らしいことです。ただ残念ながら、多くの企業の場合、何か新しい手法があれば、それに飛びついた“場当たり的”な研修を繰り返してしまいがちな現状があります。それでは、知識が紐づかない“悪循環”だけが生じてしまいます。
そうならないために重要となるのが、プロセスとしての「学びをデザインする」こと、そして「学び全体のマネジメント」です。
前半でお話した「学力の3要素」をもとに、企業が受け入れる学生(「多様な新入社員」)を、三角形のレーダーチャートで表した場合、すべてをバランスよく満たす学生もいれば、「基礎学力の不足」など、偏った三角形になる学生もいます。
そこから、研修など、企業独自のブラックボックスを通過させることで、その企業にとって望ましい「質が保証された社員」になるというのが一般的な設計です。
質を担保するために必要なのは、このブラックボックスを「構造」と「プロセス」の掛け合わせにより、「深い学びを促す仕掛けの集合体」として組織化していくこと。そうすることで、効果的な人材育成の「カリキュラム」を作り出すことが可能となります。
ブラックボックス全体をマネジメントする際に重要となるのがPDCAです。まずは、①会社全体の人材育成目標(P)を定める必要があります。①に対して、受講者たちをどのような方法(D)で導き、受講者が目標にたどり着いたかを評価(C)したうえで、次の一手としての改善(A)を打つことこそが学びのPDCAなのです。
特に①会社全体の人材育成目標(P)は、何もないところから作り上げるものではありません。企業が持つ、これまでの「歴史」「社風」「地域の特性」「専門性」は“変わらない” 要素です。一方、「社会の変化」、「社員が必要とする学力」が“変わる” 要素です。2つの要素を現状把握(S)によって組み合わせた、「見えない学力」と「見えにくい学力」によって、企業の人材育成目標(P)が完成します。(図:「学び全体をマネジメントする」)
時間の都合上、本講義では、目標(P)と方法(D)における考え方や手法、ポイントについてお話していきます。
早くから我が国の健康経営の推進をけん引してきた健康経営会議が2022年11月10日、設立10周年を記念してオンラインセミナーを開催した。後編では、3名のパネリストとモデレーターによるパネルディスカッションをダイジェストでお届けする。
パネリスト
伊藤邦雄氏 一橋大学CFO教育研究センター長
茂木 正氏 経済産業省 商務・サービス審議官
岡田邦夫氏 NPO法人健康経営研究会 理事長
モデレーター
樋口 毅氏 健康経営会議実行委員会 事務局長
[取材・執筆]=菊池壮太 [写真]=健康経営会議実行委員会提供
早くから我が国の健康経営の推進をけん引してきた健康経営会議が2022年11月10日、設立10周年を記念してオンラインセミナーを開催した。健康経営の今後について、人的資本経営の視点も交えながら展開された3名の講師の話をダイジェストでお届けする。
[取材・文]=菊池壯太
[写真]=健康経営会議実行委員会提供
2021年1月18日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 3では、「学習効果を高める学習環境のあり方~オンラインとオフラインでの学習環境設計について~」と題して、『Learning Design』の人気連載「ワーク&ラーニングスペース最前線」でもおなじみの、東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏にオンラインで講演いただいた。後編となる本稿では、「成果としてのクリエイティビティ」と「オフィスに求められること」について、稲水氏による講義の一部を紹介する。
2021年1月18日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 3では、「学習効果を高める学習環境のあり方~オンラインとオフラインでの学習環境設計について~」と題して、『Learning Design』の人気連載「ワーク&ラーニングスペース最前線」でもおなじみの、東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏にオンラインで講演いただいた。前編となる本稿では、「オンライン/オフラインの働き方」について、稲水氏の調査・研究で得られたデータや事例紹介などを交えた講義の一部を紹介する。
2020年12月22日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 2では、「学習手段の仕分け方法とオンライン教育の設計~オンライン教育とオフライン教育 それぞれの強みの探求~」と題して、早稲田大学人間科学学術院教授の向後千春氏にオンラインで講演いただいた。後編となる本稿では、「オンライン教育のニーズと課題は何か」「オンライン教育は社会にどうインパクトを与えるか」について、向後氏の講義の一部を紹介する。
2020年12月22日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 2では、「学習手段の仕分け方法とオンライン教育の設計~オンライン教育とオフライン教育 それぞれの強みの探求~」と題して、早稲田大学人間科学学術院教授の向後千春氏にオンラインで講演いただいた。前編となる本稿では、「21世紀に必要なスキルとは何か」ついて、向後氏の講義の一部を紹介する。
2020年10月16日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。今回は、『人の学びの構造と学ぶ力を高める方法~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~』と題して、桐蔭学園の森朋子氏にオンラインで講演いただいた。本稿では、第一部「新しい時代の学力とは」、第二部「学びをデザインする(PDCA)」の2回に分けて紹介する。
2020年10月16日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。今回は、『人の学びの構造と学ぶ力を高める方法~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~』と題して、桐蔭学園の森朋子氏にオンラインで講演いただいた。本稿では、第一部「新しい時代の学力とは」、第二部「学びをデザインする(PDCA)」の2回に分けて紹介する。
2010年、事業のグローバル化・多角化戦略に舵を切ったSAP。戦略実現のためにグローバル人事が今、注力しているのがイノベーションを起こす人・組織づくりだ。第3回(最終回)では、イノベーションの促進や若い世代の感覚に即した評価制度改革やモチベーション施策(ノーレイティング、1 on 1ミーティングの導入等)、さらには変化の時代に適した「パルテノン型組織」について、引き続き人事・人財ソリューションアドバイザリー本部長の南和気氏、人事本部HRビジネスパートナー シニアコンサルタントの濱岡有希子氏に伺った。
2010年、事業のグローバル化・多角化戦略に舵を切ったSAP。戦略実現のためにグローバル人事が今、注力しているのがイノベーターの育成だ。第1回では、イノベーションの「触媒」役の選抜・育成と「事業コンテスト」を紹介した。今回はもう1つの柱である新卒採用・育成の取り組みについて、引き続き人事・人財ソリューションアドバイザリー本部長の南和気氏、人事本部HRビジネスパートナー シニアコンサルタントの濱岡有希子氏に伺った。
業務管理システム(ERPパッケージ)の提供で知られるSAPは、リーマンショックでの経営危機を経て、2010年、事業のグローバル化・多角化戦略に舵を切った。それに伴い、各国で異なっていた人事も、グローバル人事へと改革が図られた。包括的なタレントマネジメントを支援するソリューションを提供することで知られる同社自身が、自社のカルチャーを変える、ドラマチックな人事改革を行ってきているのである。