第46回 相手に成長を促すのなら、まずは自らが成長を 個人と組織のストーリーを語り 成長に寄り添える人事へ 大垣内 好江氏 パーソル テンプスタッフ 取締役執行役員
大垣内 好江氏
「人は自分ひとりでは成長できない、人がいないと変われない」―。そう語るのは、パーソルテンプスタッフ取締役執行役員の大垣内好江氏である。それを実感した自身の体験とは。また、「予想外だった」という人と組織のプロフェッショナルのキャリアを歩むことになるまでの道のりについて、ユーモアたっぷりに語ってくれた。
[取材・文]=平林謙治 [写真]=山下裕之

「半分慣れない」がいい
異業種から現職に迎えられて約1年。人材派遣大手、パーソルテンプスタッフ取締役執行役員の大垣内好江氏は「半分は慣れました。でも、もう半分は、あえて慣れないようにやってきたつもりです」と振り返る。

「会社の雰囲気はすごくいいので、個人的には周囲ともっと距離を縮めたいし、仲良くなりたいのですが、近づきすぎると同質化して、組織や事業の課題が見えなくなってしまいます。適度な距離感を保つためには、半分慣れて、半分慣れないぐらいがちょうどいい。生え抜きでない私が当社の経営に加わる意味は、既存の文化とは異なる新たな視点や価値を提供して、変革をリードすることにあるのですから」
その言葉どおり、大垣内氏に寄せられる期待は大きい。人事全般とガバナンスを管掌し、CRO(最高リスク管理責任者)を務める傍ら、昨年10月にはトップからの権限委譲でコーポレート・トランスフォーメーション(CX)の推進役という使命を託された。
いかにも「人と組織のプロフェッショナル」という印象を受けるが、意外にも本人は「自分は人への興味が乏しくコミュニケーションも苦手だと思っていたので、予想外のキャリアだった」と苦笑する。
実際、子どものころから本の虫で、物語の世界に浸り空想に耽る時間が好きだった。文学だけでなく、学生時代は経済学に没頭し、学者の道を夢見たこともあったという。
「そういう志向だから、自分は人が苦手なんだと思っていたのですが、経験を重ねるうちにどうも違うなと。結局、人の成長や可能性は、自分ではよくわからないんですよ。だから、キャリアに迷うのは当然だし、人は自分ひとりでは成長できません」
大垣内氏はなぜ、そう確信するに至ったのか。そこには紆余曲折の物語があった。

