第22回 鍵は自分と向き合うこと 人と組織のポテンシャルを信じて 藤間朝子氏 ジョンソン・エンド・ジョンソン 日本法人グループ 人事本部
世界最大級のヘルスケアカンパニー、ジョンソン・エンド・ジョンソン。
コンシューマー向けセクターの人事責任者を担うのが、今回登場する藤間朝子氏だ。
全セクター横断の人財育成にも携わっていた藤間氏は、いま、HRBPとして事業部の成長サポートに尽力する。
その思いや、様々な経験を重ねたキャリアストーリーについて聞いた。
人のアップダウンに寄り添う
ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ(以下J&J)では、医療用医薬品、医療機器、アイケア、消費者向け製品の各領域に特化した4つの事業部門(セクター)によるグループ経営を採用し、それぞれに事業部人事を置いている。
藤間朝子氏は、消費者向け製品を扱うコンシューマーセクターの人事責任者。同部門のリーダーと組織に寄り添い、戦略人事の観点から事業の成長をサポートする役割を担う。HRBP(HRビジネスパートナー)とよばれる人事スペシャリストだ。
「J&Jでは前職の経験を活かして、全セクター横断の人財開発業務を担当していたときもありました。しかし人財開発という立場では、研修など“教育”の場面でしか個人や組織と関わることができません。同じ人と組織にあらゆる面から、より継続的に貢献したいと思ったのがHRBPを志したきっかけです」
前職はIT系の日系企業におけるコーポレートユニバーシティで人財開発をコンサルティングする立場だった。もっと生き生きと活躍したい、学びたいと望む個人や組織を相手に教育を提供し、成長を支援する役割だ。しかし、人はそんなふうに前向きでいられるときばかりではない―― 。J&Jの人事に転職して初めてその現実に思い至ったと、藤間氏は振り返る。
「実際のキャリアライフにはアップダウンがありますからね。仕事上のスランプだけでなく、たとえば人間関係やプライベートに問題を抱え、成長したくても軌道に乗れないとか、誰でもそんなときがあるでしょう。そして、そんな個人の集合体である組織にも、浮き沈みがあります。事業が好調で組織がうまく機能するときもあれば、業績が低迷して組織を縮小せざるを得ない局面もある。その両面に深く寄り添い、どんな状況でもサポートしていけるようになりたいなと」
HRBPの理想像は“孟子”!?
人財開発担当から、事業部のHRBPへ―― 。異動を機に「何が変われば自部門の人と組織が変わるのか」を探っていく過程で、藤間氏が改めて意識するようになったのが、経営リーダーの影響力だという。
「リーダーは言動の一つひとつにもやはり大きなインパクトがあるんですよ。影響力が強いからこそ、自己を正しく認識して、組織をより良い方向へとナビゲートしていけるよう、適切なサポートが必要だと強く感じました」