第19回 心理的安全性と共感がベース 一人ひとりが能力を発揮し、輝ける環境をつくる 小池陽子氏 ライオン 執行役員 人材開発センター部長
より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献するライオン。「人の輝く姿を見ることが喜び」と語る執行役員人材開発センター部長の小池陽子氏に、キャリアの変遷と仕事のWILLを聞いた。
入社前から広報志望異動がかない、天職と実感
趣味で長年続けているクラシックバレエの賜物か、背筋をすっと伸ばした美しい姿勢が印象的なのは、ライオンで執行役員人材開発センター部長を務める小池陽子氏だ。社内の人材開発や健康経営などの責任者を担う。薬剤師の資格をもつ小池氏だが、入社前から希望していたのは広報だった。
「もともと薬剤師の資格を取ったのも、薬をつくりたいというより、薬についてお客様にわかりやすく伝えたいという思いが強くあったからです。入社後は、オーラルケアの基礎研究をする研究所に配属されたのですが、専門的な内容を翻訳して、わかりやすく伝える仕事がしたいと、広報への異動希望を出していました」
念願かなって入社3年で広報部に異動。すぐに、広報は天職だと実感する。
「結局広報には16年在籍したのですが、当初のイメージどおり、本当に楽しかったですね。広報は共感ベースの仕事。マスコミ対応でも、当社の考えを共感ベースでお伝えし、それを記者の方も書きたいと思っていただけたら、本当に良い記事になるんです。特に、当社の商品は社会課題に応えるものでありたいと思っていますので、短時間の電話取材であっても一期一会、お互いのベクトルを合わせることを意識していました」
また、広報では新商品や研究成果の発表などに立ち合う機会も多かった。
「人の輝く姿を見ていたいんですよね。取材対象者として研究者や開発者が表舞台に出てくる場面に何度も立ち会ったのですが、彼らの能力が開花し、輝いている姿をすぐそばで見るのが大好きでした」
40歳でマーケティングに初挑戦
天職だった広報で16年キャリアを積んだ後、薬品事業部でブランドマネジャーとしてマーケティングに携わることになる。
「自ら希望したわけではなく、管理職のキャリア形成の一環での異動でした。40歳にして初めてマーケティングに携わったので、初めは手ごわかったですよ。もともと数字に強くないので、売り上げや利益率などを分析するのが苦手で……」