第15回 学びのない人生はない タフネスとオープンネスの“いい加減”なマネジメント 小野 琴理氏 ファンケル ファンケル大学 教育企画部 教育企画運営グループ 課長
無添加化粧品の草分け的存在であり、健康食品分野でも多くのファンをもつファンケル。
ヘルシーで親しみやすいブランドの背景には、企業内大学での徹底した教育体系が存在する。
その一翼を担うのが、若き女性リーダーの小野琴理氏だ。
会社を選んでいるのは自分だ
一通りインタビューを終え、扉ページの全身ショットを撮影したときである。背筋をすっと伸ばし、体の真ん中に芯が通った姿勢が美しい。白のスーツ姿は、清潔感がいっそう際立った。思わず「モデルさんみたいですね」と声をかけると、「接客業でもあるので、立ち方にも決まりがあるんです。新入社員研修では必ず全員が練習します」と教えてくれた。
化粧品・健康食品大手ファンケルの小野琴理氏は、同社の教育機関「ファンケル大学」で、教育企画運営グループの課長を務める。新卒で入社した6年目の終盤、2013年のファンケル大学立ち上げのタイミングで今のポジションに就いた。20代での女性管理職の登用は、同社でもほとんど前例がない。
「会社も思いきったことをしましたよね!」(小野氏、以下同)
あっけらかんと笑う。豪快さと胆力の強さが垣間見え、彼女に託したくなるのがわかる気がした。
子どものころから人に教えるのが大好きで、教師に憧れていた。しかし教員家系がゆえに「教師の大変さをわかっていない」と両親の猛反対にあい、大学では経営学を専攻する。所属していたゼミの研究テーマもあって、就職活動ではエレクトロニクス業界を中心に志望。だがどんな企業であっても「最初に内定を出してくれた会社に就職する」と決めていた。
「エントリーの時点で学生が会社を選んでいることに、あるとき気がついたんです。だから企業が自分を選んでくれた時点で、相思相愛ではないかと。ファンケルは企画から製造、販売まで一貫して自社で行っている垂直統合の企業組織が、エレクトロニクス企業とも似ていました。もともと肌が弱く、無添加化粧品が身近な存在だったことからエントリーしたところ、ご縁に恵まれた形です」
入社して最初の配属は、お客様窓口に来る問い合わせのうち、オペレーターの後方支援部隊であるクレーム専門部署だった。