第9回 大企業の若手有志がつながるONE JAPAN(後編) 「やりたいこと」の実現に必要なもの ONE JAPAN |中原 淳氏 立教大学 経営学部 教授
日本を代表する大企業50社の若手・中堅の有志団体をつなぐ活動が注目されているONE JAPAN。
「共創」を目指すチームがまさかの大企業病に!?組織の未来について語り合います。
“やりたいことができない”と思い込む若者たち
中原:
ONE JAPAN の活動をとおして、どんなことを感じましたか?
土井:
私もそうですが「東京が魅力的」と思ってしまう東海で働いている人たちの感覚が、あらためてよくわかりました。ONE JAPAN に集まっている方は優秀で意識も高くて魅力的東海地方でも何かやらなければ、優秀な人はどんどん東京に行ってしまう。そんな危機感をもち、ONE JAPAN Tokaiの活動を始めました。
中原:
トヨタの先輩たちは若手が辞めるのを止めませんか。
土井:
もちろん止めます。先輩たちのなかには「今やりたいことができなくても、こんなに安定している会社はないよ。なんで今辞めるの?」と言う方もいます。でも僕たちにとっては、安定していることがうれしいことではない。トヨタだからこそやりたいことがあったり、世の中に大きなインパクトを与えたいといった「想い」をもって入ってきているんです。安定した給料が目的ではないから、想いを実現できなければ辞めてしまう人もいる。その感覚が違う人もいるかもしれません。しかし、今はそんな先輩方も少し変わってきています。先日、安定した会社と話していた先輩が「今変わらないといけない。この会社だったら、社会のために何でもできるよ」と言っていて驚きました。社長が大きな危機感をもち、度々メッセージを出しているのでそれも大きい気がします。
中原:
「こんな会社では何もできない」と思っていたのが「この会社なら何でもできる」と思えるようになったのは、大きな変化ですね。
瀬戸島:
私はONE JAPANの代表者会議に参加したとき、スピード感がめちゃめちゃ速いなと感じました。初参加したとき、懇親会でNHKの神原一光さんに話しかけられました。彼は大企業若手社員働き方1,600人アンケートのため、IT、分析、提言のできる人を探していたのですが、その場で私が協力することが決まり、あっという間に白書が完成し、発表することができました。「こんなふうに自分から企画を立ち上げ、仲間を集め、自分でハンドリングし、スピーディーに実行することができるなんて」と、とても新鮮でした。
中原:
「自分のやりたい企画は40代にならなければできない」と思い込んでいたのが、そうではなかったと。
濱松:
大企業の若手社員の多くが「30代、40代にならないとやりたいことはできない」と、思い込んでいますよね。実はそうでもないのに、なぜかそう思い込まされている。
中原:
本当は人事制度さえ変えることができるのに、会社にいると、変えられないと思い込んでいる。