CASE3 BIPROGY 「 送る側」の想定外の効果も明らかに 感謝と称賛を送り合うカードで個人や組織の強みを可視化 小谷野 圭司氏 BIPROGY グループマーケティング部 マーケティング戦略室 室長
クラウド型称賛カード「PRAISE CARD」を展開するBIPROGY。
事業化にあたっては自社で実証実験を行い、現在は全社的に活用が広がっているという。
事業開発を主導したグループマーケティング部マーケティング戦略室室長の小谷野圭司氏は、「いずれPRAISE CARD を社会インフラにしたい」と意気込む。
感謝と称賛が活発になることで、組織や社会にどのような変化が起きるのか、話を聞いた。
[取材・文]=村上 敬 [写真]=編集部
コミュニティ間の空隙を埋める価値に注目
BIPROGYという社名にまだなじみがない人もいるかもしれない。同社は独立系SIer大手の日本ユニシスが2022年に社名変更して誕生した。金融機関の基幹システムを手掛けるなどインフラのシステム開発に強みがある一方で、様々なICTサービスを提供。その1つが感謝や称賛を送り合うデジタル版カード「PRAISECARD」である。
「もともと感謝と称賛をテーマにしようと思っていたわけではありません。弊社のブロックチェーン技術を活用してトークンエコノミーの世界を実現できないかということで、2018年に中小の店舗がマーケティング用に電子バウチャーを配布する実証実験を行ったのです。その実験のなかで、店舗側が思い入れのある商品にメッセージを添えて電子バウチャーとして届けると、来店時にバウチャーと商品を交換する際、店舗の方の気持ちが利用者にしっかりと伝わる様子が見られました。この観察を受けて、まずは金銭では測れない非金銭的価値に着目してみることになったのです」(グループマーケティング部マーケティング戦略室室長の小谷野圭司氏)
非金銭的価値をトークンとして流通させたら面白い変化を起こせるのではないか―― 。そう考えて、共同開発することになる博報堂と一緒にディスカッションをスタートさせた。
「コミュニティの内部では強いつながりがあっても、コミュニティとコミュニティの間には構造的空隙ができやすい。そこを超えて、つながりをつくる可能性のある非金銭的価値は何か。そう考えたときに浮上したのが感謝と称賛でした。私はマーケティング組織でマネジメントを担当していますが、そのリーダーシップスタイルはサーバント型で、感謝や称賛で人やチームが動くという実感は強かったんです。また、このプロジェクトが始まったときにパンデミックが発生したこともあり、コミュニケーション不足が危惧されるなかで、今後も感謝と称賛はますます重要になるという予感がありました」
クローズ型・非インセンティブを選択した理由
「PRAISE CARD」の概要を紹介しよう。これはスマホアプリやweb上で、独自の称賛カードを送り合う仕組みだ。カードは標準のものが10パターン用意されているが、自社の価値観に合わせてカスタマイズすることもできる。BIPROGYの場合は、企業変革タスクフォースの若手メンバーとディスカッションをして、「フォーサイト インサイト」「パッション」「グッドパートナー」など、自社が大切にする価値を20種類程度選んでカードにした。たとえば誰かの仕事に情熱を感じたら、PRAISE CARDで「パッション」カードを選んでその相手に送る。
用意されたカードは、人を称賛するものだけではない。
「感謝と称賛のカルチャーが根づいていない組織では、いきなり称賛カードは送りにくいでしょう。まずはカードを送る習慣をつけてもらうために、『お疲れさま』といった挨拶系や、『ハッピーニューイヤー』などの季節に関するカードもつくりました」
カードには30字以内のコメントをつけることもできる。

