CASE3 パーソルキャリア|退職者とのつながりは社員にとってもプラス アルムナイネットワークを積極的に活用しキャリアオーナーシップを育む 中村友香氏 パーソルキャリア 人事本部 リクルーティング統括部 エグゼクティブマネジャー 他

転職サービスの「doda」をはじめ、様々な人材サービスを展開するパーソルキャリア。
働く人々が自らのキャリアを主体的に選択する「キャリアオーナーシップ」を育む社会の創造を目指す同社は、社内のオンボーディング/オフボーディングにおいても、キャリアオーナーシップを重視した施策を行い、従業員体験価値の向上につなげている。
[取材・文]=増田忠英 [写真]=パーソルキャリア
キャリアオーナーシップを育むサイクルを回し続ける
「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」をミッションに掲げるパーソルキャリア。同社人事本部リクルーティング統括部エグゼクティブマネジャーの中村友香氏はミッションについて次のように説明する。
「ミッション推進を通して目指していることは、『キャリアオーナーシップを育む社会を創造する』ということです。キャリアオーナーシップとは、一人ひとりがどのような人生を歩みたいのか、そのなかでの『はたらく』はどうありたいのかを考え、主体的に選択していくことだと捉えています。このミッションの推進に向けて当社は、社内においても個々人のキャリアオーナーシップが推進できるよう、様々な取り組みを行っています」

同社ではキャリアオーナーシップを醸成するために、「自らの可能性と機会を知る」→「キャリアを自ら選択する」→「自らのなりたい姿に向けて経験を積む」というサイクルを回し続けることが重要だと考えている(図1)。そのために、自ら異動希望を提出できる「キャリアチャレンジ制度」、労働時間の一部を使ってグループ内の他部署の仕事を体験できる「ジョブトライアル制度」、自身の経歴などを基にグループ内の他企業からスカウトを受けられる「キャリアスカウト制度」、副業(複業)ができる制度などを整備している。
「これらの制度、また日々のキャリアに関する対話を通じて、キャリアオーナーシップの醸成だけではなく、従業員体験価値が向上し、社員が当社で働き続けることに意味づけができると考えています」(中村氏)
オンボーディング組織をつくり中途入社者への支援を強化
キャリアオーナーシップを軸に従業員体験の向上に取り組む同社だが、オンボーディングについてはこれまで、人事と各事業のHRBPや現場が協力して対応してきた。しかし事業部ごとの対応の差を解消するため、24年4月より、採用を統括するリクルーティング統括部内にオンボーディングを設計する「採用企画グループ」(専任2名、兼務3名)を新設。入社から半年後までフォローできるよう、オンボーディング全体を設計し直した。
背景として、「事業拡大に伴い採用人数が増え、各事業部に任せる形では限界が出てきたことが大きい」と中村氏。特に2022~23年は1,000名を超える大量採用を行い、多い月には中途入社者が100名前後に上った。
採用企画グループが最初に取り組んだのが、オンボーディングにおける課題の収集だ。直近の中途入社者と受け入れ先の上長、それぞれに対して困っていることについてのアンケート調査を行い、課題を整理していった。中村氏と同じ人事本部リクルーティング統括部で、採用企画部のゼネラルマネジャーを務める武藤梨恵氏はこう話す。
「業務支援におけるオンボーディングはどの事業部でも行われてきたと思います。課題は中途入社者が、当社における暗黙のルールがなかなか理解できなかったり、誰に何を聞いていいのかがわからないという人的ネットワークの部分でした」