信頼し「任せる」ことで、人も企業も成長していく 大倉忠司氏 エターナルホスピタリティグループ 代表取締役社長CEO
焼鳥チェーンといえば「鳥貴族」を思い浮かべる人も多いだろう。
今年5月、その親しまれた名前を冠した社名を「エターナルホスピタリティグループ」に変更し、同社は新たなステージに踏み出した。
日本発のグローバル企業を目指す「第2創業期」としての決意を抱く大倉忠司氏に、その背景と展望を聞いた。
[取材・文]=平林謙治 [写真]=行友重治
新社名に宿る“第2創業”の決意
―― 今年9月「鳥貴族」で初となる海外店が台湾にオープンしました。5月には社名も変更し、世界へ挑む決意のほどを印象づけました。
大倉忠司氏(以下、敬称略)
社名変更には“第2の創業”という意味合いもあるんですよ。当社も来年で創業40年(※会社設立からは39年)。おかげさまで鳥貴族の国内店舗数は600を越えました。しかし、持続的成長のためには国内だけで満足することなく、海外事業という次の柱をむしろ国内以上に大きく育てていかないといけません。だから、世界に通用する社名に変えようと。あえて「鳥貴族」の看板を外し、横文字にこだわったゆえんです。
―― 台湾では営業初日の開店前から行列ができたとか。海外での勝算についてお聞かせください。
大倉
海外の日本食ブームで、寿司、ラーメンの次に来るのは焼鳥だと評価されています。私自身も実際に各国を視察した感触から、そう確信しました。何といっても、いま世界で一番消費されている食肉はチキンですからね。2位はポークですが、差は開くばかり。ビーフの国のアメリカでさえ、健康志向の高まりからチキンが注目されています。比較的安価で飼養しやすく、宗教上の食のタブーに触れることもほとんどありません。焼鳥店をはじめ、海外でのチキンフード事業の未来には可能性しか見えないですね。
―― 人材や体制の面でも変化が求められます。
大倉
各国の外食事業に豊かな経験を持つ経営人材を外部から招聘し、そのリーダーシップのもと、グローバル戦略を推進する体制を立ち上げました。海外市場で成長を目指すとなると、やはり既存のメンバーだけでは難しい。当然ですね、国内しか知らないわけですから。第2創業をうたう以上、人材活用や組織づくりも従来のやり方にとらわれないようにしないと。
焼鳥屋のうぬぼれが世界を変える
―― 貴社の企業理念「焼鳥屋で世の中を明るくする」は、社長ご自身の創業の志でもあります。なぜ、そう考えるようになったのですか。
大倉
創業前、別の焼鳥店で働いていました。焼鳥を焼きながら、焼き台の向こうのお客様の表情を見ていると、皆さんがすごくいい顔をしている。食べて飲んで、実に幸せそうなんですよ。『我々にはこんなことができるんだ、この商売をどんどん展開していけば世の中をもっと明るくできるんじゃないか』と。そういう思いが自然と膨らんでいきました。