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「大学新卒者採用において重視する行動特性(コンピテンシー)に関する調査」結果発表
コンピテンシー評価の実施状況の実態を探る
●労働政策研究・研修機構
労働政策研究・研修機構では、大学新卒者に対する採用選考活動において、企業がコンピテンシー評価をどのように実施しているかヒアリング調査を実施。若年求職者に対する能力開発や、企業の人事担当者が人材育成・能力開発を検討するための基礎資料となることを目指した。本調査では、コンピテンシー評価が利用されることが多い、四年制大学文科系専攻者を総合職に採用する場合に限定。コンピテンシー評価を実行していると自称する企業をすべて実施企業とみなして抽出した。続いて可能な限り、幅広い業種を調査できるように中卒以上の就職先業種分布を利用して、最終的に23社を決定。従業員規模は5000名以上が40.0%、1000~4999名が29.9%と大企業が中心となった。
コンピテンシー評価法に対する肯定的な意見として最も多かったのは評価過程における変化についてで、「評価基準が客観化された」と回答した企業は23社中7社、続いて「採用活動が効率化された」を3社、「人材像が明確化された」「新しい視点を取り入れることができた」をそれぞれ2社が挙げた。また、採用結果における変化でも、「評価したい能力を見極めることができた」が6社、「マッチングが高まった」が3社、「採用される人材の平均点が高くなった」が2社と続いた。これらから、企業が見極めたい能力が明らかになっている時に有効であることがわかった。
反面、否定的な意見は、評価方法の複雑さによるものが多く、「評価基準の統一化が図れなかった」が5社、「短時間に見極めるのは困難」「学生にする質問の選択や、回答の解釈の仕方がわからない」が各1社。また、採用結果への不満に関する回答も多く、「採用される人材の画一化」が3社、「コンピテンシー評価と実感や実績とが一致しない」が2社となり、まず企業が求める人材の要件を明確化することが必要であることを浮き彫りにした。
企業が採用選考で評価する項目は大きく分けると知的能力、課題達成志向、コミュニケーション能力、自己コントロール能力、人柄、対人印象、マッチングの7 つ。このうち、企業がコンピテンシー評価に該当するとした割合が50% を超えたものは課題達成志向とコミュニケーション能力、該当しないとした割合が50% を超えたものは知的能力、対人印象、マッチングであった。
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独立行政法人 労働政策研究・研修機構
担当:研究調整部 研究調整課 TEL:03-5991-5104