第37回 「世界視点」を磨くために意識しておきたいこと 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
内閣府「世界経済の潮流」は必読
仕事柄、日本の未来や産業構造、生活者の変化には常に注目しており、様々な業界の経営層との意見交換の機会も年々増えている。話題としてよく登場するのが、日本の未来もさることながら、「世界情勢をどう読み解いていくか?」である。
日々、JETROのレポートや「ビジネス短信」、ブルームバーグやウォール・ストリート・ジャーナルなど海外主要メディアの報道をチェックしているが、最近は、英フィナンシャル・タイムズの記事を「NIKKEI FT the World」で読めるのは本当にありがたい。
媒体に積極的に目を通すうえで重要なのは、関心を持つこと。すなわち、大きな“流れ(潮流)”を理解することで、自分の頭のなかでニュースやデータが紐づきやすくなっていく。そこでぜひお勧めしたいのが、毎年2回刊行される内閣府「世界経済の潮流/世界経済白書」である。メインテーマから時代感を感じ取り、紹介されているデータを基に意外な発見へとつなげ、世界のスタンダードな経済指標に目を通し、日本の未来に思いを馳せるのだ。
ちなみに、今年7月に公表された最新版のサブタイトルは「AIで変わる労働市場」で、内容は全文150ページを超えるが、AIの話題は前半第1章の約40ページ。「AI対応度指標」の国際比較や、以前から様々な議論が存在する、世界におけるAI代替可能性職業への言及等、世界ベースのトレンドをスピーディーに学べることがありがたい。「第3節:AI活用に向けたリスキリングと教育」は読者の皆さんには特にご注目いただきたい。これからの人材育成のヒントを多く得ていただけると思う。
日本の「勝ち筋」を探るために読んでおきたい書籍
白書は有益情報の宝庫である。これを機会に、様々なジャンルの白書を手に取っていただきたい。さて、今回は世界を意識しつつ、将来の日本の「勝ち筋」を探るという観点から、ユニークな書籍を選んでみた。
①官僚やMBA視点でこれからのビジネススキルが学べる書籍
②世界、そして日本でたゆまぬチャレンジを続ける経営者関連書籍
③「現場力」に強くフォーカスした書籍