おわりに 「50代」をどう捉えるかは自分しだい
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95%がモチベーションダウン?
本特集を企画するにあたり、編集部では50代以上の社員756名にアンケート調査を行った。調査結果をご覧になられて、皆さんはどのような感想を持たれただろう。ポストオフや定年までのカウントダウンが始まるなか、彼らのモチベーションと「働かなければいけない」という現実との間にはいまだ大きな乖離があるように見える。
しかし、彼らのホンネはどうか。2014年から50代の一般社員に対しキャリア支援を行っているNTTコミュニケーションズ(CASE2)によると、面談を行った50代の7割強が「もっと頑張りたい」「このままじゃダメ」という想いを持っていたそうだ。企業は言うまでもなく、モチベーションが下がってしまった本人こそ、「この現状をなんとかしたい」「もっと生き生きと働きたい」と望んでいる。そのために個人一人ひとりは50代をどう捉え、組織はどのような支援を行えばよいのか。本特集を振り返り、考えてみたい。
スモールステップで行動を起こす
臨床心理士であり、企業内でのキャリア相談や研修に多く携わってきた宮城まり子氏(OPINION1)によると、企業で働く50代の多くは「もう50だし」「どうせ50だから」と、現在の自分の立ち位置を否定的に捉えているという。さらにそういう人ほどキャリアの価値を職位や肩書にしか見いだせず、「私には何も強みがない」と自己評価するそうだ。これはキャリアを会社や組織に任せきりにして、自律的なキャリア開発を怠ってきたことに起因する。50代は異動や転勤を強制されてきたり、転職や副業の選択肢も少ないなど、自分でジョブコントロールをする機会を与えられてこなかった。宮城氏は受け身にならざるを得なかった背景を踏まえたうえで、これからは組織に自分のキャリアを預けず、主体的に自分のキャリアをつくっていく必要性を説いた。