第36回 縦横無尽に学び続ける時代…… 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
注目しておきたい国家ビジョン
経済産業省「産業構造審議会経済産業政策新機軸部会」議論の行方には前々から注目している。
バックキャスティング(未来の絵姿を描きながら、現在にさかのぼってシナリオを描いていく手法)が重要な時代において、国が描くビジョンを知ることは必須であろう。私も企業研修等の場において、この新機軸部会の議論内容が2040年の日本の在り方を考えるうえでいかに重要であるかを説明している。「第3次中間整理」(2024年6月公開)には以下のような記述がある。
・自社に必要な人材を採用できる企業は、賃上げは当然のこととして、さらに従業員の生きがい(社会貢献意識や柔軟な働き方)も提供する。
・リスキリングに取り組む個人は、年齢に縛られず学び直しを行い続けることで、賃金が上がりやすくなる。
生成AI進化時代において、「一人ひとりが豊かに生活できる2040年頃の日本」を目指すうえで、「人が常に学びながら、ライフスタイル面でも生きがいを感じながら、幸せに生きていく」ことは大切である。企業側が「生きがい」を提供する考えもそうだが、やはり個々人が自分の学びの柱を打ち立てていくことが重要だ。「学びのアップデート」は本誌・本連載においても大きなテーマである。自分の可能性を縦横無尽に拡げ、少し苦手と感じる領域に関しても学んでいく姿勢が人生を豊かなものにしていくように思う。
学び続ける時代において注目しておきたい書籍とは
今回もとっておきの書籍を紹介する。以下が選書ポイントである。
①世界視点で従来に捉われない学びが得られると思しき書籍
②日本が学ぶべき「勢い」を感じることができる書籍