第35回 さあ、書店に行こう 視座を高め、視野を広げ、そして…… 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
「書店」に愛をこめて……
2024年3月、経済産業省は書店を振興するプロジェクトチームを発足した。書店をこよなく愛する者として、こうした「書店応援」の動きを歓迎したい。近年では全国市区町村の約4分の1が「無書店自治体」となっているが、全国出版協会の調べによれば、日本の書店数は11,495であり(2022年度末現在)、2003年に20,000店以上あったことを考えると、約20年で半分に近い勢いで減少したことになる。
経済産業大臣の齋藤健氏は会見で「私は本屋さんというものは、そこに出かけることによって新しい発見があって視野も広がるし、いい拠点だと思っています。これは何も一中小企業の問題ではなく、まさに日本人の教養を高めるひとつの基盤だと思っているのですが、それが今全国で激減をしているとのことです。したがって、ある意味リアルなコンテンツとして非常に重要なものが、日本列島上からどんどんなくなっていくのはいかがなものかという思いがもともとありました」と述べている。
正直、私自身も出版社の新刊予告を目にした際、ネット書店などで予約すれば発売日に購入できるため、利便性に満足してしまうことは多い。
一方、発想が、“スパークする瞬間”を何度も経験してきたリアル書店という「場」に対し、受けた恩恵には常に感謝しており、馴染みの書店が混雑するだけでもうれしく感じる。
また、「書店に来なければ絶対に手に取らないだろう」という類の書籍(「SF小説」や個人的に苦手とする「理科系知識」関連本等)との“出会い”は常に高揚感を与えてくれる。
年度の初めに学んでおきたいのは
私の書店への思いを馳せたところで、2024年度のスタートにあたり、今回の選書ポイントをお伝えする。
①「問いの力」を強化する書籍
② AIスキルやアート思考を自分に落とし込むための書籍