第34回 やはり「学び」は最高の投資 続けることの重要性を再認識する 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
「ズレ」を感じる今の時代感
2024年2月中旬、日本の名目GDPが世界第4位へ転落し、ドイツに抜かれたことが大きく報道された。
予想されていたこととはいえ、もしかしたら、そもそも世界第3位だったという実感すらも薄かったのかもしれない。それは、3位に浮上したドイツでも同様のようだ。
そうした事象の一方で、日経平均株価は、1989年12月末の史上最高値(3万8,915円87銭)をしのぐ勢いで上昇している。ただ、物価上昇と賃金上昇のバランスを考えると、こちらも実感が乏しいかもしれない。
時代感を反映してか、新NISAや投資関連、FIRE(=経済的な自立と仕事の早期リタイア)関連の本がよく売れており、金融リテラシー教育を推進中の日本においては良い傾向だと思う。そして、実感を伴わない「ズレ」の時代には、「自分への投資」も併せて考えておかなくてはならないと最近は切に感じる。
生成AIは存分に活用すべきだが、一方で「考え抜く」スキルがとても大切になっていく予感がしている。
「学びの視点」とは……
ズレを感じる時代には、「原点回帰」「最新」「驚き」が学びのキーワードになると感じており、関連書籍に注目し、片っ端から読み進めている。
50代後半になって、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)や『道をひらく』(松下幸之助著)など、不朽の名著を読み返すと、今更ながら改めて気づかされることも多い。
「最新」のテクノロジーやデータを研究し、自分の感覚の「ズレ」はどうなのかを検証する。
「驚き」の論考も数々の書籍から学ぶことができる。「なるほど」と思わず口から洩れる感覚もとても大切だ。いずれ「驚き」の論考本特集も考えてみたい(乞うご期待!)。
以上の思いを踏まえながら、今回は以下のポイントで選書してみた。