第33回 2024年のスタートにあたり……Are you ready? 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
2023年のベストセラーに見る時代感
2024年を迎えたが、それにしても時間の経過が速い。本年も有益なブックレビューをお届けできるよう精進していく所存である。
2023年12月、恒例のベストセラーランキングが公開された。まさに“時代感”の映し鏡だと思うので、ぜひ皆さんにもご覧いただきたい。
日本出版販売「年間ベストセラー※」における総合第1位は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(小杉拓也著/ダイヤモンド社)であった。なるほど、タイトルが「タイパ」につながるし、暗算が現在も重視されている等、諸々気づきがある。
単行本ビジネス書部門を見てみると、2023年はひさびさに首位が入れ替わった。
見事、第1位に輝いたのは、『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著/ダイヤモンド社)。
第2位は前年まで3年連続第1位だったロング&ミリオンセラー『人は話し方が9割』(永松茂久著/すばる舎)。
話し方関連書籍が1位と2位。なるほど、これが今の時代感である。
ベスト10の顔触れを見て驚いたのは安藤広大氏の著書が3冊ランクインしていることだ。『とにかく仕組み化』『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(いずれもダイヤモンド社)は次世代幹部育成の研修等でも人気があり、シリーズでのミリオンセラーは確実だ。ベストセラーになる「意味」は、やはり確実に存在する。もちろん著者が支持されていることは大きいが、ビジネス書においては、不透明な時代感に、優先的にカバーしていきたいスキルや領域がランキングにそのまま浮かび上がっているのだろう。
2024年年頭に読んでおきたい本とは?
今回は2024年のスタートにあたり、読んでおきたい本という視点で選書した。
① 抜群の目利きの視点が学べる書籍