おわりに あなたは、“教養”とは何だと思いますか?
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「人間の死についてどう思いますか」、「死刑制度について賛成ですか、反対ですか」―― これらは本特集の取材のなかで出てきた問い掛けである。いずれも簡単に答えが出るようなものではない。こうした問いに、どのような見解や論点を挙げ、自分の考えを語っていくか―― そこに、教養を識る鍵があるように思える。
本特集では、様々な立場の有識者に「教養」とは何かを聞いた。「善く生きる」「自由になる」「視野が広がる」等、一言にリベラルアーツと結びつけるだけでは語り切れない、それぞれの考え方があることはおわかりいただけたと思う。「教養とは何だと思いますか」「教養は必要だと思いますか、それはなぜですか」―― そんな問いを持ちながら、改めて本特集を振り返ってみよう。
「教養」をどう身につけるか
「本の歴史には面的な広がりと時系列的な広がりがあり、そこには無限の知識が詰まっています」と語るのは、多摩大学教授の堀内勉氏だ。教養を身につける代表的な方法である「読書」をより有効なものにするために、堀内氏は「著者と対話をしながら読むことが大切」という。なぜ著者はその考えに至ったのか、そして自身は著者の考えに対してどう思うのか。さらにそれを仲間と共有し語り合うのも効果的だ。こうした対話の繰り返しにより自身の考えは形成されていく。これが、冒頭に示した問いを考えていく土台となるのだろう。