第29回 新時代の管理職へのヒント 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
日本を熱狂させたWBC
前号では、昨年末に開催されたサッカーワールドカップの話題に触れたところだが、2023年3月に野球の祭典WBC(World Baseball Classic)が開催された。東京をはじめ世界各所でのグループラウンド、そしてアメリカでの決勝戦では熱戦が繰り広げられたわけだが、日本は見事完全優勝という結果を残した。大谷翔平選手や吉田正尚選手の活躍、ダルビッシュ有選手のリーダーシップ、村上宗隆選手の大復活もあり、決勝戦中継の視聴率は40%台を叩き出した。まさに日本中を熱狂の渦に巻き込んだわけだ。
また、大会終了後に発売された『WBC2023メモリアルフォトブック』(世界文化社)は熱戦を振り返ることができる垂涎もので、瞬く間にベストセラーにもなった。
これからの管理職に求められるものとは……
WBCを楽しみながら、個人的に注目していたのは栗山英樹監督のマネジメントだ。10年間務めた日本ハムファイターズでの監督時代から指導者としての手腕に注目していた。結果として、選手マネジメント、選手を会見で語る際の愛情溢れる目、一丸となる空気の醸成力など、コーチ陣も含め、実に見事であったと思う。レギュラー選手のみならず、出番の少ない選手にも気を配り、それを言葉にできることも素晴らしい。いわば、新時代マネジメントの1つの形を示したように思う。
我々のビジネスシーンに目を向けると部下の世代交代が進み「厳しさ×親しみやすさ」というのが1つの管理職要件のような気がした。また、Z世代(1990年代後半から2010年代生まれ)のマネジメントは鍵になってくるだろう。
今回は以下の視点で選書してみた。
①先人も学んできた大切なセオリーを学ぶことができる書籍
②管理職が知っておくべき「これから」が学べる書籍
③「部下」について学び、マネジメントに活かすことができる書籍
④これからのビジネススキルとAIの進化が学べる書籍