おわりに 組織・個人と共に歩む人事は成長の案内人
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個人と組織双方の視点で見る
本誌は例年、新春号でトレンドキーワードを予想しているが、いま改めて2022年の予想を振り返ってみた。「ハイブリッドワーク」「LXP」「ISO 30414」「リスキリング」「アンラーニング」「SF思考」「ナラティブ」「Z世代」―― 昨年挙げたなかで、やはり特筆すべきキーワードは「リスキリング」であろう。岸田首相が大規模な投資を明言し、もはやバズワードともいえるこの言葉だが、当時の取材で印象的だったことがある。それは、リスキリングが「(前略)新たなスキルを獲得する/させること」と定義されており、『獲得する/させる』と、組織と個人双方の視点からの表現が併記されていることだった。
さて、話を今号に戻そう。今年はキーワードを「個を活かす」「自分と向き合う」「新しい学び」の3分類に分けている。そのうち前2つは、「個を活かす=どのように個を自律させ組織で活躍してもらうか」「自分と向き合う=どう自身の強みを見いだし伸ばすか」という意味で、組織視点・個人視点だといってもいい。つまり、今年のトレンドキーワードも双方向の視点が鍵になりそうである。このことをヒントに、これから求められる人材開発の在り方について考えてみたい。
それぞれの多様性を活かす取り組み
『挑戦する一人ひとりが個性を発揮し、組織として活かしあうこと』を目的にダイバーシティにインクルージョンを、さらに機会の公平性を目指しエクイティを加えDEIとしたのはパナソニックグループだ。同社はDEIの考えのもと、昇格選考プロセスを見直したとのことで、これまでは土俵に上がってこなかった属性の人材が登用されていくことが期待される。