おわりに HRBPは日本の組織課題の突破口となるか
本特集は、「日本の組織のためのHRBP」と題し、欧米発祥のHRBPという役割を日本型組織に適した形で応用することができるか―という切り口で取材を行った。日本に根付き、日本の組織課題解決により寄与する形のHRBPがあるのではないかという仮説だ。
しかしOPINION1の藤間美樹氏は「日本式は考えにくい」と一刀両断。それは単に、HRBPの機能は欧米の人事制度や働き方が背景にあるからというだけではなく、いかに人事が経営と向き合ってきたかという歴史の差があるからだという話を取材前に語ってくれた。
特集を振り返り、HRBP活躍のための要諦を押さえながら、人事が経営と向き合うとはどういうことかを考えてみたい。
日本でも求められるHRBP
そもそもなぜ欧米諸国でHRBPが生まれたのか。この背景について、OPINION2の嶋田聰氏は、「人事における意思決定や施策推進は、本社人事部ではなく事業側に任されている比重が高い」という点を挙げる。
さらに、人材の流動性の高い欧米企業では、リテンションや後継者育成計画の必要性、ロイヤルティーの醸成など、欧米の雇用体制ならではの課題も多い。
そして、日本でもジョブ型人事制度への転換など、日本型雇用システムが急速に変化している今、これまでと違う課題が生まれることが考えられる。こうした状況から、現場にコミットし課題解決を目指すHRBPの必要性は高まってくるだろう。導入を検討している企業は、P.22で挙げられている項目を参考に、当てはまるかどうかをチェックしてみよう。
HRBPの育て方
実際にHRBPを導入するにあたり、重要となるのが「誰が担うか」である。本特集を読んでいただくとわかる通り、求められるスキルは非常に高度だ。