「シリコンバレー企業の HRトレンド」
人材獲得競争が過熱するシリコンバレーでは、優秀な人材を確保するために、どのような人事・人材開発施策がなされているのだろうか。「働きがいのある会社」に常にランクインしているネットアップ(NetApp)社に、同社の取り組みと、シリコンバレーで現在注目されているHR最新トレンドについて聞いた。
価値観と企業文化が最も大事
―13 年連続でFORTUNEが選ぶ「働きがいのある会社」の上位に、また2015 年度「働きがいのあるグローバル企業」世界ランキング(GPTW調査)では4位に選ばれているとのこと。ネットアップとはどんな企業なのですか。
マクドナルド氏
ネットアップはデータストレージ技術を提供する企業です。本社はシリコンバレーにあり、現在、世界各地に150 カ所以上の拠点を持ち、約1 万3000 人の社員を擁するグローバル企業です。
24 年前に創設され、その後『ビジョナリー・カンパニー』(ジム・コリンズ著)のモデル企業を理想としたビジョンを採用しました。その際、イノベーションを起こし続け、顧客に喜ばれる企業であり続けるために、持続可能な企業文化を支える源泉となる7 つの価値観を打ち出しました。その価値観とは「信頼と誠実さ」「リーダーシップ」「シンプル」「適応力」「チームワークと相乗効果」「さらに上をめざす」「目的の達成」です(図1)。
我々は、企業として利潤を追求し、競争に勝ち抜いていかなければなりません。しかし、単に勝利するだけではなく、常に7 つの価値観に基づいた意思決定を行い、この企業文化を体現する行動が伴ったうえでの「名誉ある勝利」を良しとしています。
―グローバル人材マネジメントを行ううえで今、注力している施策は。
マクドナルド氏
何といっても採用です。我々は高いスキルやコンピテンシーを持った個人が入ってくることによって、ビジネス戦略を遂行できるようになるわけですから。さらに、当社と入社候補者の価値観が合っているかどうか、ということも非常に重視しています。具体的に言えば、先の7 つの価値観を行動や態度で具現化できる人であることを求めています。
―そうした「企業文化」に合った人を採用するために、どのような採用活動を行っているのですか。
ソリアノアバッド氏
採用プロセスにおいては、職務遂行能力を見ると同時に、我々の企業文化の中で働ける人なのかどうかを見ます。そして、その人がチームメンバーとしてふさわしくなければ、たとえ能力が高くても採用を見送ります。
面接の際は、過去の行動が未来の行動を決定するという考え方に基づいた「行動面接」を取り入れています。「今まで、どのような役割でチームに貢献してきましたか?」「チームプレーヤーとしてどのように関わりましたか?」など、7 つの価値観に沿った質問を通して過去の行動を探り、その資質を測っています。
コンピテンシーの中で何より重視しているのは、さまざまな役割を持った人とコラボレートできる力です。当社では、「私が」というメンタリティではなく、「我々が」というメンタリティを持ち、チームで働くという意識がとても重要なのです。