第27回 2023年に意識しておきたい「考える」「考え抜く」ということ 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
AIの成長スピードは想像以上
読者の皆様、2023年もよろしくお願いいたします。これからも刺激的な書評連載をお届けできるよう精進していく所存です。
さて、2022年も様々なビジネストピックがあったが、例年以上にテクノロジーの進化が速い1年であった。なかでも AIの成長スピードの速さは特筆ものであった。私が毎週出演しているラジオNIKKEI「ソウミラ~相対的未来情報発信番組」※1でも AIの話題はよく登場するのだが、最近驚かされたのは、Midjourney(ミッドジャーニー)※2の登場だ。これは「画像生成 AI」とよばれるサービスで、私のような絵を描く才能がゼロに近い人間でも「テキストを入力するだけで誰でもプロ級のイラストが作成できる」優れモノ。海外では、このサービスを利用して作成された絵画作品がコンテストで優勝し、アーティストから不満噴出というニュースもあったそうだ。
味気ないと感じる方もいるかもしれないが、私にはこうして AIと人間が徐々に融合していく世界を先行して見せてくれているように映る。
人間はどうしていくべきか
AIがクリエイティブの分野に浸透してきているこの状況で、私たち人間はどのような自分磨きを行っていくべきだろう。このところスキマ時間があれば常にそれらについて思案している。そしてやはり人間の強みは「個性」と「考える力」ではないだろうかと私は思い、この数カ月「考える力」について言及されている書籍を読みふけっている。「考える力」に関する書籍が書店の至る所で平積みされている事実は、ビジネスパーソンの迷いを裏付けているように思う。
今回は「考える」ために読んでおきたい書籍を以下の分野から紹介する。
① 思考整理の際に役立つ書籍
② 答えのない問いに対応する力をつけるための書籍
③ 自分に付加価値という力を培うための書籍