第22回 独学のススメ 能力を高めて、可能性を広げていこう 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
「未来人材会議」では何が議論されているのか
2021年12月から経済産業省「未来人材会議」が始まっている。本会議は「未来を見据え、産学官が目指すべき人材育成の大きな絵姿を示すとともに、採用・雇用から教育に至る幅広い政策課題に関する検討を実施するため設置する」と紹介されている。課題としている項目で気になったのは以下の2つだ。
①デジタルやグリーンなどのメガトレンドや技術革新により、スキル陳腐化のスピードも遥かに上がる見込み。生涯学び続けることが不可欠となる。
②日本企業の人への投資はむしろ減少し、個人も自ら学ばないのが日本の現状。
自ら学んでいる方も相当数はいると思うが、これからの日本を考えると、企業も可能な限りビジネスパーソンに対して学びの場を提供していくことが重要ではないかと考える。
ドライブがかかる「独学」思考
独学を進めていく際、まず手に取ってもらいたいのが『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(読書猿著/ダイヤモンド社)。800ページもある分厚さから“鈍器本”とよばれる本書は、発売1年で20万部を超える異例のヒットとなった。本書が売れているのは、勉強熱心な読者の存在も大きいが、先行き不透明な未来への焦燥、これからの時代に幅広い知見の習得が求められると認識している方が多いことが背景にあると思う。
私自身、理系科目がとにかく苦手で、高校時代に文系へ転向した過去がある。しかし今後、理系分野の知識は間違いなく必須となるだろう。昔の忘れ物を拾いにいくのではなく、未来のために新たな気持ちで学んでいきたいと考えている。
今回は「独学」に役立つ8冊を、以下の観点で紹介する。
①独学の技法の王道を教えてくれる書籍
②知的生産の観点から学び方を教えてくれる書籍
③少し変化球的な観点で学び方を教えてくれる書籍
④世の中の失敗事例から学ぶという視点を教えてくれる書籍