めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第6回 今学ばずしていつ学ぶ?統計学!
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須。本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた、情報のプロが最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
空前の(?)統計学ブームが到来している。リアル書店の店頭を観察すると、随分と「統計学」に関するビジネス書が増えたものだと感心する。電子書籍においても、ビジネス関連で売れ続けているのが、西内啓氏の『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)。氏は同書で、「あらゆる学問のなかで統計学が最強である」と断言し、その有効性を具体的に述べている。統計学は古くからビジネスシーンにおいてもその重要性が説かれてきたが、それが今ブレイクした格好だ。ちなみに統計学と聞き、皆様は何を連想されるだろうか。「多変量解析」「アンケート調査」「テキストマイニング」̶̶総じて「何か難しそう……」というイメージがあるかもしれない。理屈では重要性がわかっていても、(理系の方はともかく)文系の方はちょっと敬遠してしまう、というのが正直なところではないだろうか。書店で統計学の本を手に取り、購入を悩んでいる(?)人々を見ていると、そのように感じる。かく言う私も学生時代は典型的な文系人間であり、正直とっつきにくい印象を拭えなかった。しかし、社会人になり「統計学」に触れるようになると、その深さと面白さにどんどん引き込まれていった。社会人歴23年を数える今となっては、自信を持って断言できる。「統計学」は学んでおくべきである!と。統計学の基本をマスターすることは「必要条件」、いや「必須条件」に変わりつつある。統計手法によって解決できる課題は多い。自身の事業企画書や提案書の背景データ1つとっても、一定の統計データを読み解き、分析できるスキルがあれば説得力のあるデータを自身で作成することができ、問題解決は早い。経営型人事を志向する組織にとっては、現在の社員のスキル向上は当然として、新入社員においても入社時研修で統計学を取り入れてほしいと願う。ビッグデータをビジネスに活かすというのが最近の流れであるが、ビッグデータブームが統計学ブームに火をつけたのは間違いない。「自社や世の中に出回っている大量のデータを分析し、そこから本質や次なる事業のヒントを読み取る」今、企業や公的機関がさまざまなトライを行っている。これを実践するためには、統計学を学んでおく必要があるのだ。