めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第37回 注目したい「 読書術」
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
本連載も4年目に突入した。これからも「書籍」を通じて、読者の皆様に旬の話題、そして今後の時代を読み解くうえで知っておきたいビジネストレンドをお届けしていく所存である。
さて今号では、原点回帰ともいうべき「読書術」について取り上げる。残念なことに時代の流れは、いわゆる「書籍離れ」である。出版科学研究所の調査によれば、2015年の紙書籍の推定販売額は1兆5220億円(前年比5.3%減)となり、1996年を境に長期下落傾向が続いている(ちなみに電子書籍の市場は成長基調にある)。
その一方で、時代のトレンドを鋭く反映する大型書店の店頭には、「読書術本」がずいぶんと増加したように私の目には映る。これは、読書の効果が軽んじられつつある昨今の風潮に対し、警鐘を鳴らす意味合いがあるのかもしれない。
日本、そして海外を代表する優秀な経営者は例外なく読書家である。今をときめく経営者の一人であるテスラモーターズCEOのイーロン・マスク氏は“読んで読んで読みまくる人物”であることもよく知られている。
人事担当者は読書術を身につけ、社員にも読書を推奨していく必要がある。社員のキャリア形成のために、次世代リーダー向け、入社前の新人向けといったステージ別の課題図書を与え、読書をさせることは必須にして良いと思う(ステージ別必読書は今後、本連載で取り上げる予定)。そうした取り組みが、物事を多面的に見る力を養う手助けになる。
最近、企業のマネジャークラスの方にお目にかかると、「自社社員の視野が広がらないことが課題」という悩みをよく吐露される。この解決の近道は、さまざまな分野の書籍を読んでおくことである。
ここで読書術関連書籍を整理しよう。
①経営者による読書術
優れた経営者がどのような読み方をしているのか、というのは参考になる。主要ビジネス雑誌で見られる「社長の読書術」「私を変えた1冊」といった記事は必読だ。