第24回 大林組 次世代型研修施設『Port Plus® 大林組横浜研修所』(神奈川県・横浜市)
日本初の「高層純木造耐火建築物」となる、
次世代型研修施設『Port Plus® 大林組横浜研修所』を竣工した大林組。
「人材を育成する場」としての機能にとどまらず、
「新たな技術の実証」と「PRの場」の側面を併せ持った施設の概要に迫る。
[取材・文]=田中 健一朗 [写真]=山下裕之
コンクリートのビルが建ち並ぶ、横浜関内のオフィス街の一角で一際目を惹く11階建ての木造ビルが、大林組の次世代型研修施設『Port Plus® 大林組横浜研修所』だ。
かつて大林組は、本社のバックオフィスとして使用していたリバーサイド隅田(墨田区)内に長らく研修施設を設けていたが、同ビルの売却等に伴い、旧横浜支店が所在していた現在の敷地に新たな研修所新築計画を立て、2020年着工、2022年3月に竣工した。
現在、建築、土木関係者のみならず注目を集めるのは日本初となる「高層純木造耐火建築物」であるからだ。柱、梁、床、壁などの主要構造部がすべて木材で造られていながら(防火扉など、一部を除く)、同社が独自に開発した「LVL剛接十字仕口ユニット」の使用により、高い堅牢性はもとより、木の柱梁としては日本初の「3時間耐火認定」を取得した耐火性、震度7クラスまで耐えうる耐震性能を有する。さらに、純木造建築としては国内最高となる44メートルの高さを誇る。まさに同社のスローガンである「つくるを拓く」を体現しているといえる。
人事部教育課課長の松村覚氏は次のように付け加える。
「当社では、脱炭素や環境保全などに向けた取り組みの1つとして、循環型資源である木材利用の拡大・促進による持続可能な社会の実現を目指し、木造建築の普及に積極的に取り組んでいます。『Port Plus®』はその取り組みの足掛かりとして位置づけられています」
同社は2019年6月に発表した中長期環境ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」のなかで、グループ一体で「地球・社会・人」と自らのサステナビリティを同時に追求することを約束している。『Port Plus®』は人材育成の場だけではなく、技術の実証やPRの場としての役割も担うという。