第28回 ネットワンシステムズ イノベーションセンター『netone valley』(東京都・品川区)
どのような空間ならば、「学び」は促進されるのか。
企業のオフィスや研修施設をめぐり、学びを促進させる工夫を解説する。
[取材・文]=田中 健一朗 [写真]=山下裕之
社内課題から生まれた構想
東京モノレールの大井競馬場前駅からほど近い場所に立地する7階建てのビル。最上部にネットワンシステムズのロゴが掲げられたこの建物こそが、同社がイノベーション創発の拠点として開設した『netone valley』である。
「新たな価値を生みだすこと」と「新しい未来を切り拓くこと」をキーワードに、4つのコンセプトである、①イノベーションの創発、②新たなスタイルを確立する新ワークプレイス、③進化し続ける“匠の技術”を体現、④ライフを中心とした新しい働き方を実現すべく、日々、様々な施策やイベント、コラボレーションが行われている。
『netone valley』の構想が生まれた背景には、ネットワンシステムズが2013年に丸の内へ本社移転した際に取り組んできたワークスタイル変革が深く関わっている。本社移転においては、「社員一人ひとりがいかに自律的に働く環境を設けられるか」を前提とし、同社では、①ワークプレイス、②ICTツール、③人事制度(シフト勤務、フレックス、テレワーク)の3つを重点的に整備・強化してきた。
その後、社内でアンケートや意識調査を3年間実施するなかで、新たな切り口での変革が必要であることが問題として浮き彫りとなった。
「人との交流の機会」を増やし「知的生産性」の向上を目指す
社員自身が、仕事の質そのものを変えていくための意識変革、そしてイノベーションの創発において、「社員同士の関心」や「相互理解」は不可欠となる。一連の調査結果を踏まえて、ネットワンシステムズではオフィスやワークプレイスの再定義を行うこととなった。