CASE1 日本オラクル|つながり強化に寄与 高いエンゲージメントを生む、現場主導のオンボーディング 明石 真理恵氏 日本オラクル 人事本部 HR Consultant
オラクルの日本法人として1985年に設立された日本オラクル。
クラウド化の波に乗り、現在は社員約2,500名の総合ITシステム&サービスベンダーへと成長を遂げている。
今回、取材に対応してくれた人事本部HR Consultantの明石真理恵氏もコロナ禍入社組の1人。
当事者としての実感も交えながら、新入社員へのエンゲージメント施策を解説してもらった。
[取材・文]=村上 敬 [写真]=日本オラクル提供
現場主導の人事施策
日本オラクルは「Our Culture Starts with You」、カルチャーは会社ではなく一人ひとりがつくるものであることを標榜している(図1)。重視する軸として「ダイバーシティとインクルージョン」「コーポレート・シチズンシップ」の2つを定め、社員一人ひとりが率先してカルチャーを創造していくことが推奨されている。
人事施策も、自律性を大切にするカルチャーに支えられていると語るのは人事本部HR Consultantの明石真理恵氏。会社から介入する形で提供する施策は最小限。セルフサービス(日本語では「自律」と訳している)を基本とし、正解を教えるのではなく、社員が自ら考え行動する環境づくりに力を入れている。
自律を求められるのは個人にとどまらず、部門長やチームマネジャーに人事権限が委譲され、採用から育成まで各現場が担う。
「マネジャーは採用責任者として、一連のプロセスもツールを使ってマネジャー自身が行います。コーポレートのHR部門は全体施策も担いますが、各現場を支えるHRBPとしての役割が大きいと言えます」(明石氏、以下同)
このように、日本オラクルはセルフサービスを前提とした自律型組織だ。ただ、個の自律が進むと組織に遠心力が働き、組織のまとまりが失われる恐れがある。組織としてパフォーマンスを高めるには、一人ひとりに自律を求めると同時に求心力を利かせなければならない。そこで重要になるのがエンゲージメントだ。
一般的にエンゲージメントは、組織への貢献意欲を示す「従業員エンゲージメント」と、仕事へのやりがいにつながる「ワークエンゲージメント」に分けられるが、同社ではあえて区別はしない。
「ワークエンゲージメントが低い人は会社に貢献しようとも思わないし、従業員エンゲージメントが低いけれど仕事が好きで同じ会社にずっといる人も珍しい。オラクルでは組織の求心力にとって、どちらも重要だと捉えています」
チャット上の教え合いがキャリア採用者同士の絆を育む
実際に同社では、どのように社員のエンゲージメントを向上させているのか。特に効果があるとみられる施策が、オンボーディングである。