CASE3 アクセンチュア|無意識のバイアスに気づく機会を提供し、社員一人ひとりの“自分ごと”に 新しい「当たり前」をつくり活かす インクルージョン&ダイバーシティ 堀江章子氏 アクセンチュア インクルージョン&ダイバーシティ統括 執行役員
社員がダイバーシティを「自分ごと」ととらえるには、まずは会社がダイバーシティを
どうとらえているかを明確にし、その考え方が社員に浸透していることが重要だろう。
アクセンチュアではダイバーシティを企業戦略として位置づけ、真剣に向き合う姿勢を社内外に見せている。
平等性を高めるのは成果を出すため
ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業は数多くあるが、アクセンチュアでは「インクルージョン&ダイバーシティ」とよんでいる。これは「インクルージョン(=受け入れること)」の文化を特に大切にしているためで、「みんな違うのは当たり前と認め、受け入れたうえで、その違いを活かしていく」という考え方に基づくものだ。インクルージョン&ダイバーシティ統括執行役員の堀江章子氏は、同社におけるダイバーシティの位置づけについて次のように説明する。
「インクルージョン&ダイバーシティ(以下I&D)には設立当初から企業戦略として取り組んでいます。このI&D が実現できていないと、サービスやアウトプットの質、また競争力や社員の帰属意識の低下にもつながるため、企業活動における必須条件ととらえています。
当社では社歴や国籍の違いなどの属性によって得られる機会や権利に差がなく、どんなバックグラウンドをもっていても活躍できます。この前提がないと、様々な立場の人たち同士がコラボレートしながら成果を出していくことはできないと考えています」(堀江氏、以下同)
制度とツールの両面でサポート具体的な取り組み内容について見ていこう。同社では6つのコアバリューを掲げ(図)、2006年から「ジェンダー」「クロスカルチャー(外国籍社員との異文化理解の推進)」「障がい者」「LGBTQ」の4領域で活動を展開している。
❶ジェンダー
現在は取締役会の36%、グローバル経営委員会の27.5% が女性で構成されており、2025年までに社員の男女比をそれぞれ50%ずつにすることを目標に掲げている。
日本法人は当初、他の国よりも女性管理職が少なかったという。まずはジェンダー領域での課題認識からはじめ、育児制度改定や国際女性デーイベントなどを実施。その結果、女性の満足度や勤務を継続する意欲が向上した。続いて女性管理職の増加を目指し、役職別の教育研修や啓蒙活動を行うなど、個々人の成長に合わせて昇進の機会を与えるしくみを導入。昇進時のコミュニケーションについても管理職層にノウハウを共有している。
「たとえば、『こういう役割があるけど、やってみる?』と打診すると、女性は『ちょっと考えさせてください』と答えることが多いですが、それは決してノーという意味ではありません。そのことを上司が誤解したまま機会を奪ってしまわないよう、研修の場などで伝えています」
そして現在は、時間的に制約のある社員のキャリア構築、在宅勤務制度の全社拡充や短日・短時間勤務制度、またワーキング・ペアレンツを支援する制度なども実施している。