CASE2 LINE|事業の成長に伴走する戦略的パートナー 自社に適したHRBP組織をつくるためのロードマップ 大野道子氏 LINE People Partner室 副室長 他
世界230以上の国と地域で利用されているコミュニケーションアプリ「LINE」をはじめ、様々なサービスを展開するLINE。
同社の人やサービスの成長を戦略的に支えているのがHRBP(HRビジネスパートナー)チームだ。
HRBP組織の歩みや、HRBPに必要な資質、その育成方法について、HRBP組織全体をマネジメントするPeople Partner室副室長の大野道子氏と、チームマネージャーの小向洋誌氏に聞いた。
ミッションは、人・組織の課題解決
LINEでHRBP組織が設立されたのは2018年。HRBP組織全体をマネジメントするPeople Partner室副室長の大野道子氏は、当時をこう振り返る。
「私は2019年、まさにHRBP組織の立ち上げフェーズに入社したのですが、それは、当時のマネージャーのビジョンや思いに深く共感したからです。HRBPの役割について、『急成長していくLINEにおいて、事業成長をミッションとする組織リーダーとともに、人・組織の課題に向き合い、組織の立て直し等に伴走するHRBPの存在が必ず必要になる』と言われ、今でも強く印象に残っています」
HRBPの経験も豊富な大野氏は、組織を形づくるところから着手した。
カンパニー制を採用している同社では、FintechやAIなど事業領域ごとにカンパニーが存在する。また、本社機能として開発やマーケティング、バックオフィスなどの部門もある。
「本当はカンパニーや部門ごとにHRBPをアサインしたかったのですが、当時のHRBPチームは兼務を入れても3名ほど。そこで、まずはボリュームゾーンのエンジニア組織や、カンパニーとしてスケールしていかなければいけないEコマース領域などの戦略事業から優先付けをし、トライアル的にHRBPをつけるようにしました」(大野氏)
「HRBPって何?」からのスタート
今でこそLINEのHRBPは、人・組織の課題解決に向けた「組織の戦略的パートナー」という位置づけが浸透しつつあるが、当時はHRBPの役割を理解してもらうことに苦労したという。
「現場のメンバーは、『HRBPって何をしてくれる人?』という状態でした。『人が足りないので、採用をやってくれたら助かります』といった個々の困りごとはたくさん抱えていても、課題に向き合うことには慣れていませんでした。そこから課題解決に向けたマインドセットができるまで、1年くらいかかりましたね」(大野氏)
現場との信頼関係を構築するために、まずは人事のプロであると認識してもらうことから始めたと大野氏は明かす(図1)。