CASE1 NECマネジメントパートナー|「仮説→施策→測定」のサイクルを回せ エンゲージメントサーベイで実現するカルチャー改革 若林健一氏 NECマネジメントパートナー デジタル変革推進本部 シニアマネージャー
データを基にファクトを把握し、社員の声に向き合う―。
NEC グループはBI・AI テクノロジーを活用したエンゲージメントサーベイ分析を開始。
データドリブンに施策を展開し、カルチャー変革に挑んでいる。
デジタルの力を活用し、エンゲージメントを高める仕組みとは。
また、AI チームをゼロから立ち上げ、育成する方法とは。
組織変革に挑むNEC マネジメントパートナーの若林健一氏に聞いた。
トップの信念で始動した改革
データドリブンにカルチャー変革プロジェクトを進めるNECグループ。取り組みの1つが、BI・AIテクノロジーを活用したエンゲージメントサーベイだ。推進役を担うNECマネジメントパートナーデジタル変革推進本部所属シニアマネージャーの若林健一氏は次のように説明する。
「実施の背景には、2018年1月にNECグループが発表した2020中期経営計画があります。計画の3本の柱のうち、重視したのが『実行力の改革』。このときからカルチャー変革の取り組み『Project RISE』が走り始めました」
経済の構造が大きく変わる時代、多くの企業が既存事業の見直しを迫られている。
「NECグループが標榜する社会価値創造型企業になっていくためには、NEC Wayのもとに多様な人材がつどい、イノベーションを追求する会社へ進化していく必要があります。個人のベクトルと会社のベクトルを合わせていく、すなわち人がエンゲージメント高く働き、従業員から選ばれる会社になっていかなくてはなりません。そういった会社の方向性とうまく合致したことで、エンゲージメントサーベイ分析の重要性が増してきたのでは」と若林氏は振り返る。
「従業員サーベイ自体は20年以上前から行っていましたが、『Project RISE』発足以降、データを基に、よりしっかりファクトを把握しよう、社員の声に真摯に向き合い、データドリブンに施策を実行していこうという流れが加速しました」
具体的には年に2回の「One NEC Survey」、3カ月に1回の「Pulse Survey」を実施する。前者が定期的な組織の健康診断とすれば、後者は問診や検温のようなもの、と若林氏。設問は全社共通で、「One NEC Survey」が約70問、「RISE Pulse Survey」が約20問だ。
「グループ共通の5つの行動指標『Code of Values』についても質問しています。育成や評価の基準となる指標で、サーベイではそれぞれを理解しているか、行動に移せているか、上司や所属する組織は実践できているかなどを尋ねています」
BI、AIで変わったデータ活用
BI、AIによってデータ活用のスタイルは大きく変わったという。
「以前はバラバラの仕様で部門ごとに報告書を作成していました。事業部長が『職種別ではなく年齢別が見たい』などと言うと、『調べてもう一度報告します』ということになり、さらに1週間ぐらいかかってしまう、といったこともざらでした。いまではBIツールをいじりながら、『年齢別ではこうです』『職種別ではこんな感じです』と話ができる。その場で考えて施策を決めることもできます」
標準テンプレートに落とし込んでいる(図1)ので、「去年の報告書と違う」「見方がわからない」ということも起きづらい。コミュニケーションコストは大きく削減されたという。