第20回 時代の節目に自分の判断基軸を持とう 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
新たなリーダーの誕生
2021年9月の自民党総裁選において、河野太郎氏との激戦を制して岸田文雄氏が勝利した。それにより、第100代内閣総理大臣と岸田内閣が誕生した。
日本国内では、新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあるとはいえ、まだまだアフターコロナとは言えない状況だ。それに加え、国際情勢の緊迫、先行きの見えない不安、そして課題先進国たる日本。五里霧中の状況を岸田首相はどう舵を取り、乗り越えていくのか……。いち国民として期待している。
新リーダーの著書は売れる。2020年刊行『岸田ビジョン 分断から協調へ』(岸田文雄著/講談社)は、フリマサイトでも定価以上の値が付いているという報道があった。今年10月からは、新書として再販され新たなリーダーがどのような人物か国民が関心を寄せている。
新首相が描くビジョン
岸田氏は“新しい資本主義の実現”をビジョンとして掲げている。その経済政策を支えるのは、「科学技術立国の実現」「デジタル田園都市国家構想」「経済安全保障」「人生100年時代の不安解消」の4本柱だ。いずれも重要な政策だと思うが、「科学技術立国」として日本の立ち位置を固めていくことは非常に重要だろう。
世界知的所有権機関(WIPO)のイノベーション能力を分析したランキング「2021年グローバル・イノベーション・インデックス」※では、日本は13位(韓国5位、シンガポール8位、中国12位)となっている。また、研究開発費においては、アメリカ、中国に次いで日本となっているが、伸び率は各国に越されている。このような現状から、これからどのようにアプローチし、誰をキーパーソンとしていくのか注目していきたい。
※https://www.wipo.int/pressroom/ja/articles/2021/article_0008.html
時代の節目に読んでおきたい書籍
時代の変わりめには、以下のことを意識し、書店を眺めるようにしている。
①科学技術を鍵として、未来を考察する書籍
②自分にドライブをかける書籍
③技術を持った企業について言及している書籍