第28回 想像を超える結果をチームで出すために 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
心が震えたサッカーW杯
昨年11月よりカタールで開催されたサッカーW杯は、36年ぶり3回目となるアルゼンチンの優勝で幕を閉じた。決勝戦は歴史に残る名勝負となり、背景にある人間模様も含め、とても感慨深い一戦だった。このW杯で世界を驚かせたのは、我らが日本代表の活躍ではないだろうか。ベスト8以上という「新たな景色」にはあと一歩届かなかったが、それでもドイツ、スペインを撃破しての予選リーグトップ通過の記録は燦然と輝く。
森保監督のチームマネジメント、決断の妙は決してぶれることはなかったし、長友選手の強靭なメンタルや仲間への声かけの映像には心が震えた。全選手素晴らしいと思うが、私はとりわけ中盤を支えていた遠藤航選手に注目していた。遠藤選手は著書で「これまでほとんど目立つことはなかった」と話しているが、ドイツブンデスリーガのチームでキャプテンを務めており、間違いなく日本代表のキーパーソンだったと思う。
大会前にはかなり厳しい状況と予想されていたにもかかわらず、強豪と堂々と渡り合い、したたかに勝利を手にする姿には感動を覚えた。皆で勝利を手にし、喜び合う姿、その姿を見て歓喜するサポーターたち。過去のうれしい経験も、つらい経験もすべてこのときのためにあったのかと感じさせる。この瞬間には、私たちの日々のビジネスにも通ずる「学び」が詰まっているのではないかと思う。
素晴らしいチームをつくるためのヒントが満載
近年、ビジネスシーンにおいて日本の国際競争力が弱まっていることは認めざるを得ないが、W杯をはじめ、世界のスポーツシーンにおける日本勢の活躍を見ていると、「個の向上」はもちろん「チームとしてどう挑んでいくのか」というヒントが多く隠されていると思う。
今回は以下のアプローチで選書してみた。いずれも人材マネジメントに携わる皆さんにはぜひ手に取っていただきたい書籍ばかりだ。
①W杯に出場した選手による書籍
②監督・指導者の視点でチームづくりを考える際に参考になる書籍