めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第9回 人材教育担当者が知っておきたい!「ICT」
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須。本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた、情報のプロが最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
人材を育成する立場の方々にとってICT(Information and CommunicationTechnology=情報通信技術)分野に関する知識を持っておくことは、今後極めて重要になっていくであろう。
ICTの進化によって「人材戦略」「採用戦略」「経営戦略」等全ての次の打ち手が変わってくる。人材にかかわる担当者は、実は他部署の方よりも広く俯瞰的に「ICTの進化が何をもたらすのか」に注視しておく必要がある。
特に以下の3点が重要である。1.「働き方」が変わる、2.「学び方」が変わる、3.「世の中」が変わる……。
1.「働き方」が変わる、については、パソコンやタブレット端末とネットワーク環境さえあれば、世界中のどこにいても仕事ができる、いわゆる「ノマドワーカー」の広がりが象徴的だ。多くの若者(これからはきっと定年後シニアも!)が憧れるのは無理もない。就業環境の変化に伴う起業ブームは、日本ではまだまだこれから本当に浸透していく段階である。最近の起業本刊行ブームを見ていてもわかる通り、注目しておく必要がある。
また機械テクノロジーの進化に伴い、人が行う仕事が機械に置き換わりつつある……(本連載2013年5月号で紹介した『機械との競争』(日経BP社)は必読!)。このような現象の今後も見逃してはならない。
2.「学び方」が変わる、については、セミナーや研修で講師から「リアル」に学ぶ重要性と、eラーニングでネット上で「どこにいても学べる」環境の進化、この両面をしっかりと押さえていく必要がある。人材教育においては当然いずれも欠かせない。eラーニングの世界は、日本においてもかなり環境が整いつつある。アメリカのTED(Technology EntertainmentDesign)に代表されるように、世界の著名人のスピーチを無料で聞ける環境は「ICT進化×学び」の融合の最たるもので、素晴らしい時代になったものだと実感する。日本においても2014年春から大学講義の無料配信サービス「MOOC」がスタートする予定。リアルでなくては学べないこと、ネット上でしっかり学べること、両方の最新情報をキャッチアップしていただきたい。
3.「世の中」が変わる、については、社会環境、経済環境、ライフスタイル等、全ての環境変化にICTがもたらす影響が大きいことは疑う余地がない。世の中の変化は人材特性の変化(特にこれから入社してくるネット世代の方々)にそのまま直結する。人材担当者に必要なことは、若い世代に受けているビジネス書、あるいはICT関連と世の中の変化を結びつけるビジネス書をよく見て学んでいただくことである。今後につながる取り組みとして、本連載でもこうした書籍は引き続き多数紹介していく予定である。
さて次号だが、新年号にふさわしいテーマとして「経営者の名言からヒントを得る」と題してお届けする予定である。