第19回 大日本印刷 プレゼンテーション&コラボレーション施設 『P&I ラボ・テクノロジー』 (東京都・品川区)
どのような空間ならば、「学び」は促進されるのか。
オフィス学を研究する東京大学准教授の稲水伸行氏が
企業のオフィスや研修施設をめぐり、学びを促進させる工夫を解説する。
自社の強みである印刷(Printing)と情報(Information)をビジネスパートナーとなる企業の技術・アイデアと掛けあわせ、今までにない新たな価値を共創すべく、2015年から事業ビジョンとして「P&Iイノベーション」を掲げている大日本印刷(以下、DNP)。
新たな事業ビジョンの実現を目的として誕生したのが、プレゼンテーション&コラボレーション施設である『P&Iラボ』だ。オフィスや研修施設とは異なるが、場の新しい活用事例として取り上げたい。
「P&Iラボ」は3つのエリア、6施設から構成され、それぞれテーマを掲げてデザインされている。市ヶ谷本社の「P&Iラボ・コラボレーション」と大阪・なんばの「P&Iラボ・大阪」は共創をテーマに、社内外の交流やディスカッションを促進するようにつくられている。一方、同じく市ヶ谷にある「P&Iラボ・パブリッシング」は出版、「P&Iラボ・パッケージング」はパッケージ(包装)、DNP五反田ビルに位置する「P&Iラボ・テクノロジー」は技術、「P&Iラボ・スペースクリエイション」は空間開発をそれぞれテーマとした展示がなされている。
身近な技術の「今昔」がひとめでわかるキュレーション
印刷技術を発展・応用させたDNPの「独自技術」を起点としたイノベーションをパートナー企業に紹介し、新たなコラボレーションを進めるために2017年に設立されたのが、今回紹介する「P&I ラボ・テクノロジー」だ。
「P&Iラボ・テクノロジー」は4つの展示エリアに分かれている。来場者※が最初に訪れる展示となるのが、1つめのエリア『暮らしを変えたDNPの技術』だ。DNPの創業から現在に至るまでの歴史や技術の発展について、印刷プロセス(編集・入稿・レイアウト→製版・刷版→印刷→製本・加工)から培った①「企画・設計・情報処理」、②「微細加工」、③「精密塗工」、④「後加工」を基に整理され、網羅的に展示されている。