CASE 4 IHI 景観とデザインが学び合いを促す 交流が生まれ、 次世代リーダーが育つ宿泊型研修施設
2015年4月、IHIがオープンした人材開発交流センター「I-STEP湘南」。
「グループの理念・価値観を共有する場」「活発にコミュニケーションする場」「共に学び成長する場」の3つのコンセプトを実現する。
稼働半年間の成果、今後の課題とは。
● 学びと交流 インタラクティブな仕掛け
三浦半島のほぼ中央、逗子と横須賀の境辺りにある「I-STEP湘南」は、IHIの宿泊型研修所だ。地下1階と地上5階建ての施設は、延べ9854平方㍍。ホテルと見紛うほどの造りで、下層から順に「研修」、「共用」、「宿泊」という3つのエリアに分けられている。
研修室は大・中・小、10 室があり、52 名まで収容できる国際会議室も備えている。食堂、大浴場、宿泊134 室(143 名)のほか、和室、バー、カラオケルーム、ジム、さまざまなミーティングスペースもあるなど、至れり尽くせりの充実ぶりだ。
「設計にあたっては、人材開発グループが中心になってアイデアを出しました。また類似施設を構える他社の事例を丹念に聞き取りもしました。本社内だけでなく、グループ各社の人たちとも共に学び、交流できる場にすべく、動線や入館した時の第一印象には心を砕きました。単に研修を受けて解散するだけの“合宿所”にはしたくなかったのです」(人材開発グループ部長 秋元潤氏)
中を歩くと、国際会議室を除く全ての研修室がガラス張りであることに気づく。内装の色にも気が配られている。活発な議論やプレゼンを期待する小会議室は赤系統の色、社内外の講師が講義などを行う大・中会議室は青や緑が基調となっている。全体にオープンでリラックスできる環境は、研修につきもののストレスの緩和、“やらされている感”の払拭に役立っているようだ。
各会議室のレイアウトや備品にも気が使われている。机や椅子の大半は可動式で、研修の目的や形態に応じて、座席配置などを変更できる。例えば小会議室の壁のホワイトボードは全面がつながっており、面と面の間の四隅にはR状のカーブが施されている。こうすることで、書き込みが途切れず、議論を続けたり深めたりできるという。このボードは全面マグネット仕様で、テーマや問題点を記した模造紙を気軽に貼ったり移動したりもできる。
「研修や学びの中身を、できるだけインタラクティブにしたいという思いを込めました。手を使うことで、活発な議論を引き出してほしいと考えています」