おわりに 私と組織で進めるSDGs
SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)が2021年6月14日に発表した「Sustainable Development Report 2021」によると、日本のSDGs達成度ランキングは世界18位と一昨年の15位、昨年の17位と続き、2年連続順位を落とす結果となった。日常生活においてSDGsを目にし、耳にする機会は格段に増えたとはいえ、一人ひとりが自分ごと化するに至るにはまだ時間がかかりそうだ。東京五輪開催に関し起こった権威主義や差別を象徴する問題を思い返しても、我々はこの結果を深く受け止める必要がある。
企業にとってSDGsへの取り組みは急務であり、成長のためのキードライバーであることは相違ない。しかし、その取り組みが国際的に高く評価されるリコー(CASE1)ですら「社会のためにいいことをしよう、といった啓発だけでは浸透しづらい」と難しさを語る。企業は個々人とのギャップをどう埋めて、SDGsを推進させていけばいいのか。またその先にはどんな社会が待っているのだろう。
SDGs推進にはトップのリーダーシップが欠かせない
トップのリーダーシップが印象的だったのが、スウェーデン発のグローバル企業イケア・ジャパン(CASE3)だ。同社のCEOは同時にCSO(Chief Sustainability Officer)も兼ね、社員を含めたステークホルダーへの影響を鑑みながら、ビジネス戦略の一環としてSDGsに取り組んでいた。具体的にはサステナビリティの観点から数値目標を掲げて経営指標と同等に評価する。ガイドライン「IWAY」に準拠しない企業とは取引を行わないほか、従業員をフルタイムやパートタイムで区別せず原則正社員とするなどの人事制度もそれに当たるだろう。