第18回 顧客は従業員 誰もが自分の意志で学び、行動できる場をつくる 丸山武志氏 キユーピー 人事本部 人材育成センター チームリーダー
世界の食と健康に貢献するキユーピー。生産現場などの多様な経験とキャリア選択を経て、人材育成センターのチームリーダーを務める丸山武志氏に、キャリアの変遷と人事の役割を聞いた。
生産現場で感じた違和感が生産技術に生きる
「立派なビジョンや志があったわけではないんですよ」
取材中、繰り返し出てきたあくまでも謙虚な前置き。そう語りながらも、同社の教育改革を一身に担うのは、丸山武志氏だ。技術職の親戚が多かったことから、将来はモノづくりの仕事がしたいと思っていたという丸山氏。キユーピーに入社後は、生産現場に配属された。
「配属された工場は、全国展開前の商品をテストする機能も兼ねていたので、あらゆる商品の生産に携わりました。現場は多忙を極め、目の前の仕事に忙殺される日々でしたね。
一方で、現場の人にとっては使いづらい生産設備や生産性の低いレイアウトに、入社当時から違和感を抱いていました」
折しも丸山氏が入社したのは、Windows95が発売された年。アナログからデジタルに置き換わる転換期を迎え、生産現場の設備も入れ替えが行われることに。そこに可能性を感じた丸山氏は、20代半ばで生産技術職への異動を希望する。
当時は工場再編全盛期。丸山氏が手掛けたプラントの設計と施工には、生産現場での経験が生きたという。
「技術者は、何でもカスタムしすぎるんですよ。何億円もする機械があるにもかかわらず、現場は手作業をしているなんてこともよくありました。だから私は、現場で使い続けられるもの、カスタムしないでミニマムな機能を備えたものにこだわっていました。その結果、当時導入した機械が、20年以上たった今でも稼働しています」