第10回 自分は、“気さくなおじさん”でありたい 社員を喜ばせるGiveの姿勢を大切に “身近な人事”で成長を支える 杉本敏明氏 日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社 管理本部 人事総務部 部長

日本ペイントホールディングスグループの一翼を担い、塗装前の表面処理分野をリードする日本ペイント・サーフケミカルズ。
同社の人事トップである杉本敏明氏は、営業職から転身した社内でも異例の経歴の持ち主だ。
過去の経験と失敗を糧に、独自の哲学で若手の成長を支援しており、グループの枠を超え、社員たちからの信頼も厚い。その軌跡に迫った。

過信が招いたスランプ
自動車や建造物の塗装には、長く美しい状態を保つために下処理が不可欠だ。日本ペイントホールディングスで、塗料を塗る前に用いる表面処理剤などを手掛ける日本ペイント・サーフケミカルズ。その人事と総務部門を率いるのが、管理本部人事総務部部長の杉本敏明氏である。
杉本氏をひと言で表すなら、“Giveの人”だ。管理職でありながら、お茶汲みも厭わない。自らを「すぎ企画」と称し、社内イベントも企画する。毎年恒例のビアパーティーでは、率先して余興の前座をこなすという。
「仮装や漫才で、毎年ボケ倒しています。スベってもいいんです。その方が、後に続く新人のプログラムが盛り上がるでしょう? 自分は場を温めれば十分なんです」
入社から17年間は営業ひとすじ。前半の十余年は、関東エリアで建築用塗料の市場開発を担った。折しも、時は都心の再開発ブーム。お台場や汐留、六本木に高層ビルの建築が相次いだ。大手ディベロッパーの代表電話から突破し、大型契約にこぎつけたこともある。成功はやりがいをもたらすと同時に、“1人でもできる”という自信を植えつけた。
それが揺らいだのは、2004年に大阪・名古屋エリアのサーフ部門へ異動したときだ。自信満々で臨んだが、これまでのやり方が通用しない。スタンドプレーが行きすぎて、社内の技術部門と連携が図れずにいたのだ。
「塗料はとても繊細です。同じ用途でも製造ラインや塗装ロボットごとにベストな配合は変わり、特にサーフ部門で扱うものは、より技術的要素が大きい。そこを理解せずに、1人で突っ走っていたんです」
取引先と勝手に商談を進める営業に、技術者たちは反発した。「もっと周りを巻き込め」という上司の助言を頭では理解しながら、当時はどこか納得できない自分がいた。
行動を変えた妻のひと言
営業で結果を残せず悶々としながら、家で愚痴をこぼすこともあった。だが妻の反応に同情はなく、痛烈なひと言を浴びることになる。
「あなた文句は言うけれど、会社の人のために何かやっているの?」