CASE3 ZVC JAPAN|「何でもオンラインに移行」は間違い Zoomに学ぶオンラインコミュニケーション活用術 佐賀文宣氏 ZVC JAPAN カントリーゼネラルマネージャー
テレワーク推進とともにビデオ会議ツールの利用が広がっている。利便性が高まる一方で、対面時では起きなかったコミュニケーション上の新たな課題が発生しているという指摘もある。
ビデオ会議ツールの浸透で、コミュニケーションはどのように変わったのか。
Zoom を提供する、ZVC JAPAN カントリーゼネラルマネージャー(日本法人代表)の佐賀文宣氏に、社内で実践しているオンラインコミュニケーションの工夫、今後目指すコミュニケーションの在り方について話を伺った。
20年の緊急事態宣言以降、“Zoom飲み”という言葉が登場したほど、一般に広く使わるようになったビデオ会議ツールのZoom。収益の中心は法人利用で、昨年は日本でのビジネスプラン以上のライセンス利用社数が2,500社から2万社以上に増え、売り上げは10倍になった。この急拡大を、Zoom 日本法人代表である佐賀文宣氏はどのようにとらえているのだろうか。
「コロナの前まで、私たちはZoomを組織内コミュニケーションのツールとして提案していました。しかし、コロナ以降は学校の授業に使われたり、里帰りできない人が親戚と話すために使われるなど、ビジネス以外に利用が拡大しました。さらにビジネスでも、社内だけでなく、取引先や消費者とのコミュケーションに使われるケースが増え、オンラインコミュニケーションが組織から外へ広がった1年だと認識しています」(佐賀氏、以下同)
対象が拡大しただけではない。佐賀氏は、「使い方にも変化が見られる」と指摘する。
「日本だと、1年前は音声だけでやり取りする方が多かった。最初の挨拶ぐらいは顔を見せるのですが、あとはビデオ機能をオフにして、資料を映しながら会議をするのです。しかし、いまは通信環境に問題がない限り、顔見せが当たり前になりつつあるようです」
日本人がビデオ機能をオフにしていたのは、恥ずかしがり屋な国民性のせいだけではない。国土が広くて出張が容易ではないアメリカでは、コロナ前からテレカン(電話会議)が広く普及しており、その延長上にあるビデオ会議に対しても抵抗感は少なかった。一方、日本は対面中心で、テレカンが普及していなかった。それゆえビデオ会議は心理的なハードルが高く、当初は顔見せも嫌がったと考えられる。
では、なぜビデオ機能オンが一般的になりつつあるのか。
「表情が見えている方が、音声だけより相手の反応を確認しやすく、それに応じて話し方を変えられます。状況に適した会話をしやすくなるという意味で、コミュニケーションの質は上がっている。ユーザーもそのことに気づいて、顔を出し始めたのでしょう」
コミュニケーションの“3つの壁”を突破する
Zoom は「Video communicationsempowering people to accomplishmore」というビジョンを掲げている。人々が何か目的を達成しようとするとき、より多くを達成できるようにビデオ会議ツールで支援する、という意味だ。