CASE2 日本マイクロソフト|徹底したデジタル化を支える、人事制度や風土づくり オンラインでコラボレーションを活性化 日本マイクロソフト流ワークスタイル 日本マイクロソフト 働き方改革推進チーム
日本マイクロソフトでは2016年よりテレワークも含めた“ いつでも・どこでも” 働ける制度を運用している。
オフィス出社率は新型コロナにともなう緊急事態宣言直前の時点ですでに1.7%。
遠隔でもコミュニケーションの質と量を確保することで、生産性は高いままだ。
同社の働き方改革推進チームに、驚異的な成果を生み出す秘策を伺った。
リモートワークを支える活発なコミュニケーション
新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、テレワークが一気に広がった。ホワイトカラーを中心に自宅などオフィス以外で働くことを可能にした立役者の1社がマイクロソフトであることは、誰しも認めるだろう。
同社が開発したコラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」(以下、Teams)のDAU(Daily ActiveUsers :日々利用しているユーザー数)は、全世界でこの1年で2,000万人から1億1,500万人に増加したという。
「Teams はWord やExcel など、Office 365に含まれるアプリケーションを別々に立ち上げることなく使えます。ファイル共有やチャット、ビデオ会議などの機能をもち、ビジネスに必要なコミュニケーションを包括的にカバーするものです。日本国内でも、昨年4月の緊急事態宣言前後からユーザー数が爆発的に増えました」(日本マイクロソフト働き方改革推進チーム、以下同)
確かにこの1年で、私たちのビジネスコミュニケーションは姿かたちを変えた。社内のやり取りにチャットが使われるようになり、会議室に移動することに代わり、耳にイヤホンを付け、モニター上のビデオ会議ツールのアイコンをクリックするのが日常の光景となった。
では、ビジネスツールの本家であるマイクロソフトの働き方はどう変わったのか。同社では今回の新型コロナによるパンデミックを、ハイブリッドワークプレイス(ハイブリッドな職場)の成長と進化の機会ととらえているという。そのうえで「社員とその家族の健康と安全」を第一に対策を行っている。
「現在はグローバルのエグゼクティブが隔週のペースで、コロナの状況と会社の方針を全社員にメールで発信しています。各地域のオフィスへの出社の可否は感染状況を鑑み、弊社独自の6段階の基準で決定しています」
取材した4月中旬時点で、日本は在宅勤務を強く推奨」し、オフィスへの出社は原則禁止のステージ3とされている。一時はオフィス出社も可能なステージ4(ソフトオープン)の時期があったが、その時期も含めると1年以上にわたって在宅勤務が推奨されている。同社はコロナ禍にともなう緊急事態宣言前の2020年春の時点で従業員のオフィス出社率が1.7%と、ほぼ全員がリモートワークに移行していた。混乱もなく、仕事は滞ることなく進んでいる。
同社において、テレワーク下でのコミュニケーションを支えているのは、やはりTeamsだ。自社サービスだけに、その使い方は見事と言わざるを得ない。
Teams は通常、プロジェクトごとに「チーム」と呼ばれるグループを立ち上げて使われる。
同社ではそれぞれのチームに、社内外を問わず数十名のメンバーを登録し、チームのなかにはさらに複数のチャネル(カテゴリー)を設けている。それぞれのチャネルを覗いてみると、メッセージだけに頼らず、ドキュメントやリンクを共有したりGIF 画像や動画で感情を示したり、アンケートフォームで投票を募ったりと、画面は実に賑やかだ。かつてなら職場で交わされたあらゆる種類のやり取りが、テキスト上に落とし込まれている。チャット上で議論が盛り上がれば、「ビデオに切り替えよう」とおもむろにビデオ会議がスタートするのも日常の光景だ。
「移動中に会議に参加する人も珍しくありません。複数のデバイスにアプリを入れているので、移動中はスマートフォンで会議に入ってチャットで発言する、机に着いたらパソコンに切り替えてオンマイクで会話に参加する、というような感じです。社員が自分で判断し、“いつでも・どこでも”自由に働くことを実践しています」
ビデオ会議も発言するだけでなく、聞き手は拍手や顔文字のアイコンを送るなど、様々な形で意思疎通を図っている。
ビジネスモデルの転換が働き方にメスを入れた
同社のいつでも・どこでも働けるしくみは「テレワーク勤務制度」とよばれる。端的にいえば、個々の役割を果たせるのであれば 、働く場所も時間も干渉されることはない制度だ。法令遵守が前提となるが、数日間集中的に働いて休日を確保してもいいし、毎日コンスタントに働くスタイルをとってもいい。仕事とプライベートの兼ね合いを考えながら従業員が自分で「Work Life Choice」するのである(図1)。