CASE1 日本ケロッグ|バーチャルイベントで活性化! 健康とコミュニケーションがつくる組織のつながり 門野映子氏 日本ケロッグ 執行役員 人事総務部長
シリアルの世界トップシェアブランド「ケロッグ」を国内で展開してきた日本ケロッグでは、テレワーク中の運動不足とコミュニケーション不足解消のため、バーチャルイベントを開催。施策を通じて同社がつかんだ「コミュニケーション」のもつ意味や、強い組織をつくるための秘訣とは。
まさに「隗より始めよ」である。
自撮り写真に「苦手のランニング、30分終えて放心状態です」とのコメントを添えて、社内SNS に投稿したその人こそ、日本ケロッグ合同会社(以下、日本ケロッグ)執行役員人事総務部長の門野映子氏。社員の運動不足とコミュニケーション不足という、在宅勤務中の2つの“不足”を同時に解決しようと、同社独自の取り組みを牽引してきたキーパーソンだ(写真)。
健康づくりとコミュニケーション活性化がどうつながるのか。まずはその点から門野氏に聞いた。
「コロナ禍で在宅勤務が進むなか、社員の運動不足やストレスの解消が経営課題として浮上してきました。弊社では、1度目の緊急事態宣言が出た直後から、オンラインでフィットネス体験ができるエクササイズアプリを導入したのですが、これを各自がただ別々に利用するだけではもったいない。リアルでなくても、オンラインでつながって仲間と一緒に走ったり、競いあって筋トレしたりするような一体感が醸成できれば、コミュニケーションの活性化にも使えるんじゃないかと。そんな発想から始まったんです。アプリのベンダーさんと相談しながら、より多くの社員を巻き込むための仕掛けづくりを進めていきました」(門野氏、以下同)
発端は「働き方改革」から
その仕掛けの中身を紹介する前に、話を少し過去に戻したい。日本ケロッグにとっても、同社の管理部門を統括する門野氏にとっても、社内の「コミュニケーション」は、実はコロナ禍に見舞われる以前から極めて重要なテーマだった。
同社は1962年の設立以来、シリアルの世界トップシェアブランドを日本で展開してきた。しかし、2013年を境に競合他社の台頭など、市場環境が激変。それまでのやり方では競争に勝てないとの危機意識から、社内でも働き方改革を進める機運が高まり、2016年より「業務の効率化」のプロジェクトが始動した。
「当時はまだ昔ながらの働き方で、時間のムダがすごく多い印象でした。
通勤や移動、長すぎる会議に時間をとられ、社員が本来やるべきことに注力できていない環境だったのです」
自分の仕事に専念したいときは、必ずしも会社でやる必要はないし、時間や場所に縛られず、各自が働きやすい勤務スタイルで働いたほうが、ムダもなくていい。ムダを省くことで生まれた時間は、外に目を向け知見を広げる、自己研鑽に充てるといったこともできる。門野氏は従来の就業規則を変更し、利用制限を設けない在宅勤務制度やコアタイムなしのフルフレックス制度など、働き方改革のトレンドを先取りした施策の導入を推し進めていった。
薄れていくつながりへの危機感
一方で、オフィス空間の改革にもこだわり、同社は2018年にフリーアドレス制を導入。20年2月には新オフィスへの移転を実現した。