ART 日本美術家列伝 室町~江戸時代前期篇 傑出した才能をもちながらも、謎に包まれた天才絵師 俵屋宗達 矢島 新氏 跡見学園女子大学 教授
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残された作品のクオリティから判断すれば、俵屋宗達は日本美術史で五本の指には確実に入る絵師である。宗達が残した数々の傑作については語りたいことが多すぎて、与えられた紙幅では足りない。しかし宗達の人となりについて語るのは意外に難しい。狩野派の絵師であれば詳しい伝記が残るが、在野の絵師である宗達には、謎が多すぎるのだ。
もちろん先人の研究によって手がかりはそれなりにそろってはいる。たとえば若いころの事績として、慶長7(1602)年に「平家 納経(へいけのうきょう)」の修復を行ったことが知られている。平家納経と言えば平安時代末期の王朝美術の傑作で、大胆で優美なデザイン感覚は折り紙付きだが、その修復を担当した宗達が得たものは、大きかったに違いない。